「コンポスト」とは微生物など、生き物の力を借りて枯れ葉や生ごみを分解、発酵させて堆肥を作ること。自宅で実践すると生ごみを捨てずに済むため、ごみの量がかなり減り、ごみ出しも楽になります。
コンポストは置き場所や頻度によって、さまざまな方法があります。この記事では、数あるコンポストのなかから取り組みやすいものに絞ってご紹介します。
1. 生ごみを庭やプランターに埋める
庭やプランターがある場合は、そこに野菜くずなどを「埋める」方法がおすすめです。やり方は極めてシンプルで簡単。庭であれば穴を掘ってその中に生ごみを入れ、上から生ごみが見えないように土をかぶせるだけ。プランターの場合は土を入れたプランターに穴を掘り、そこに生ごみを入れて上からしっかり土をかぶせれば完了です。数日~1週間後には、生ごみの分解を確認できるでしょう。
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2. 堆肥が出ない「キエーロ」
「キエーロ」とは、黒土に含まれるバクテリアの力を活かし、生ごみを分解、消滅させるコンポストです。神奈川県の葉山町で生まれ、今では全国に広まっています。ベランダに設置できるミニサイズのものから、庭に設置する大きめのサイズまであるため、家の大きさや住まいの形態に応じて実践できます。キエーロの使い方は簡単。通気性のある木の箱の中に黒土を入れたら、穴を掘って生ごみを入れ、土をかぶせます。これを数日おきに繰り返します。
時期にもよりますが、早ければ数日間で生ごみが消えます。多くのコンポストの場合、しばらくしたら土をガーデニングに使うなどして入れ替える必要がありますが、キエーロは土を替えることなく、半永久的に使い続けられます。
キエーロは量販店では売っていません。そのため、自作する方が多いです。購入したい方は、まずはお住まいの地域の自治体がキエーロをおすすめしているかどうかを調べてみてください。自治体によっては、補助金を利用してキエーロを安く購入できます(違う自治体の方でも買えることがあるようなので、問い合わせてみてください)。
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3. おしゃれな外観が魅力のLFCコンポスト
「LFCコンポスト」は、スタイリッシュな見た目と便利なシステムで人気を集めています。使用するのは、LFCオリジナルのトートバッグ。この中に付属の土を入れ、そこに生ごみを定期的に加えます。手で持てるほどの大きさで、ベランダなどにも気軽に置けます。定期便を利用すると、自分に都合のよいサイクルでコンポスト基材が届きます。若干コストはかかるものの継続しやすく、困った時はアドバイザーに相談できるので、心強いです。
4. 手軽に始められる段ボールコンポスト
段ボール箱に腐葉土、米ぬかを入れておき、そこに生ごみを入れて発酵させる方法です。プランターや庭に埋める方法に比べると少し材料費がかかりますが、基本的には非常にリーズナブルな方法です。腐葉土は100円ショップで入手できますし、米ぬかはお米屋さんに頼めば無料で手に入れられることもあります。
生ごみが出たら穴を掘って投入し、米ぬかをかぶせ、最後に腐葉土をかぶせます。時々かき混ぜることによって、土の中にいる微生物が1週間程度で生ごみを分解してくれます。長く続けていると、水分で段ボールが破れてきてしまうため、木箱などのしっかりした箱で代用しても良いでしょう。
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5.みみずに生ごみを食べてもらう、みみずコンポスト
海外では主流の、みみずコンポスト。コンポストにみみずを入れて、生ごみを堆肥化させます。底がない円柱型の容器を土の上に置き、その中に植木鉢を置いてみみずを入れ、さらには生ごみを入れていく方法です。生ごみをみみずに食べてもらうことで堆肥化が促進されます。
コンポストが初めての方は、まずは気負わずに小さく、ひっそりとスタート。うまくいったら少しずつ規模を拡大してみましょう。コンポスト実践者も「まずは実験感覚で、少しずつ試してみたよ」という方がほとんどです。まずは、始めてみましょう!
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6.簡単に実践できる、バケツコンポストと洗濯ネットを使ったコンポスト
バケツコンポストはその名の通り、バケツを使って生ゴミをたい肥化させる方法です。コンポスト専用の容器は必要ありません。ごくふつうのバケツ(もしくはゴミ箱など)、腐葉土(ふつうの土でも可)、米ぬか(市販の発酵促進剤やもみがら燻炭でも可)を使うだけでできます。
洗濯ネットを使ったコンポストは、洗濯ネットに基材を入れてコンポストにする方法で、水分調整がしやすく、虫が入り込みにくいという利点があります。どちらも材料費を低めに抑えながらスタートでき、やり方も簡単なので、気軽にトライしてみてください。
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7.草木や落ち葉を重ねる、積み重ね式コンポスト(ラザニアコンポスト)
庭やある程度のスペースがある場合は、海外でよく実践されている、生ごみの上に、草木や落ち葉などを重ね入れていく「積み重ね方式」がおすすめです。虫が来ないように、生ごみの上を草木や落ち葉で分厚くカバーするのがポイントで、英語では「ラザニアコンポスト」という呼び方もされています。数カ月でよい堆肥ができあがるそうです。
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8.キッチンでも使える、ボカシコンポスト
ボカシコンポストは、生ごみを肥料に変えるための容器です。生ごみだけを入れた後に発酵促進剤を混ぜることで、生ごみを分解・発酵させ、肥料の素を作ることができます。
できた肥料の素は、ぼかし肥料の素として園芸や野菜の栽培に使えます。また、液肥と呼ばれる液体の肥料の原液もつくることができます。
自宅に置けるタイプもあるので、外に置く場所がない方、外に置きたくない方に、特におすすめです。
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9.コミュニティコンポストに参加する
コミュニティコンポストとは、地域などのグループ単位で行うコンポストです。身近なところでは、地元の自治体で生ごみの分別回収と堆肥化が実施されていれば、そこに定期的に生ごみを出すことでコミュニティコンポストに参加できます。そういった仕組みがない場合は、非営利団体やお店、農家で実施されているコミュニティコンポストに参加するという方法もあります。
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10.【番外編】コンポストを実践しているイベントに参加する
コンポストを体験できるイベントに参加する、という選択肢もあります。たとえば、音楽フェス「京都音楽博覧会」では、2022年から会場内に公共コンポストを設置し、イベント当日に出たごみを肥料にする取り組みを行っています。みなさんが訪れるイベントでも、コンポストに関する取り組みがあるか、ぜひ注目してみてください!
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