ゼロウェイストとは、無駄や浪費を最小限にとどめて、ごみを出さないようにする取り組みのことです。その名の通り、「ごみ(Waste)をゼロ(Zero)に」を目標に掲げ、現在はさまざまな自治体や企業が活動を展開しています。近年注目を集めている海洋プラスチックごみや食品ロスの削減も、ゼロウェイストにつながる活動の一環です。
ゼロ・ウェイスト宣言都市
オーストラリアの首都・キャンベラは、1996年に世界初となる「ゼロ・ウェイスト宣言」を発出。その後、カナダのトロントやアメリカのサンフランシスコなど世界中に広がっています。ニュージーランドでは、自治体の70%がゼロ・ウェイスト宣言を出しているほど高い環境意識が伺えます。
日本でゼロ・ウェイストを宣言している都市は、8自治体あります(2024年9月現在)。2003年に徳島県上勝町が宣言して以来、全国に広がりました。
日本のゼロ・ウェイスト宣言都市一覧
徳島県上勝町
上勝町は、は、徳島市から車で約1時間の場所にある、自然豊かな自治体です。山地に覆われ、のどかな田園風景が広がるこの町は、2003年に日本で初となるゼロ・ウェイスト宣言を行いました。さらに、これから新たにチャレンジしたいことなどを含め、2020年12月18日に新しく「ゼロ・ウェイスト宣言」を発表。2030年までに目指したい上勝町の目標を掲げています。上勝町は、ごみ収集は一切行っておらず、瓶や缶などの資源はごみステーションに持ち寄って45タイプに分別し、生ごみなどはコンポストを利用して、各家庭でたい肥化しています。2024年9月の時点で、上勝町のリサイクル率は80%を超えています。町内にある上勝ゼロ・ウェイストセンター「WHY」には、ゼロウェイストについて学習したり、体験できるホテルもあります。
【参照】「ごみから学ぶ」上勝町のゼロ・ウェイストセンター”WHY”オンラインツアーで見たもの
福岡県大木町
久留米市と柳川市の中間に位置する大木町には、人口約14,000人が暮らしています。大町町は「もったいない宣言」を2008年に行い、町内にある環境プラザに燃やすごみ以外を29種類のごみに分別して出します。日本初の取り組みとしては、紙おむつを分別して回収し、リサイクルを行っています。生ごみは、町の中心にあるメタン発酵施設「おおき循環センターくるるん」に集められて液肥化され、大木町を支える農業に使用されています。また、道の駅や地産地消レストランなども併設され、環境・農業・食をつなぐまちづくりの拠点施設となっています。その結果、2005年には年間2,295t出ていた可燃ごみが、2018年には914tまで減少しています。
【参照】使用済み紙おむつのごみは、リサイクルできる!循環的な取り組みの紹介
熊本県水俣市
1950年代に化学工場から有機水銀を環境に排出し、四大公害病のひとつである水俣病が発生した熊本県水俣市。同市はこのときの教訓を活かし、廃棄物がいのちの基盤を奪うことがないようにと、2009年に「ゼロ・ウェイストのまちづくり水俣宣言」を行っています。「埋立に頼らない」という意志のもと、産業廃棄物最終処分場の建設を中止し、生ごみの分別回収を開始。また、市民に無償貸与するなど、生ごみ処理機キエーロの普及促進にも積極的です。「環境モデル都市づくり」宣言もしている水俣市は、2020年に「第3次水俣市環境基本計画」を打ち出し、食品ロスの削減や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進しています。
奈良県斑鳩町
世界最後の木造建築物である法隆寺が位置する斑鳩町は、2012年3月に町内におけるごみ焼却処理の廃止を決断。資源を大切にする暮らしを提唱し、脱焼却・脱埋立てを目指し2017年に「斑鳩まほろば宣言」を行いました。以降、ごみ収集体制や処理方法を見直したことで排出量は年々減少しています。ごみの資源化率は2018年には54.1%を達成しており、全国平均の20%を大きく上回っています。2016年にはごみを35種類に分けられるごみ分別体験ステーションを設けるなどして、さらなる資源化率の向上に取り組んでいます。
福岡県みやま市
福岡県では大木町に続く、二番目のゼロ・ウェイスト宣言都市であるみやま市。次世代を担う子どもたちへの環境学習やごみを発生させない仕組みづくり、また生ごみの資源化の推進とごみ処理費用の削減の両立を目指して、2020年に「みやま市資源循環のまち宣言」を行いました。市が出資しているみやまスマートエネルギー株式会社は、エネルギーの地産地消を目標に掲げ、太陽光発電や蓄電池、電気自動車の導入を推進しています。バイオマスセンター・ルフランの活用や、生ごみ分別の普及を進める分別応援隊の結成など、ユニークな取り組みが特徴的です。
東京都
東京都は、2019年12月に「ゼロエミッション東京戦略」を公表。2050年に都からの二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすると宣言しています。また、2021年1月には前段階の目標として、2030年までに温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」を表明。その際に策定された『ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Report』では、戦略の一環として3Rや食品ロス対策など、ゼロウェイストに関連する取り組みの推進を明らかにしています。
神奈川県逗子市
逗子市は、市のウェブサイトでゼロウェイストについて「モノの無駄遣いをせず、リデュース・リユース・リサイクルなどの7Rを進めることで、焼却・埋め立て処理されるごみをなくしていこうという理念」と説明。市民に協力を呼び掛けています。また、「ゼロ・ウェイストのまち逗子」を構築する事業を、逗子市及び市内環境諸団体・市民と協働するための組織として2009年に設立された逗子ゼロ・ウェイストの会も、活発に活動を展開しています。
神奈川県葉山町
葉山町は2008年にごみゼロをめざすと宣言。環境に負荷を与えない、町民の方々が安心して暮らすことのできる町に向けて、段階的な目標を設定し活動すると明言しています。
【関連ページ】世界のゼロウェイスト宣言都市まとめ・一覧
【参照サイト】ゼロ・ウェイストタウン上勝
【参照サイト】環境省へようこそ!
【参照サイト】逗子市「みんなの力で、ゼロウェイスト!」
【参照サイト】葉山町
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