世界中で話題の「ゼロウェイスト」なライフスタイルとは?

ゼロウェイスト

ゼロウェイスト」なライフスタイルが、近年、欧米を中心に世界中で大きく注目を集めており、日本でも話題になり始めています。

ゼロウェイストとは、「できるだけごみを出さないライフスタイル」を表す言葉です。リサイクルには、ごみを再利用できるようにするまでの課程で大きなエネルギーが必要ですが、ゼロウェイストは、ごみそのものを出さないようにするので、環境への負荷がかかりません。

日本のプラスチックごみの現状

プラスチックごみ

ゼロウェイストが注目されている背景には、プラスチックごみ問題への関心が世界中で高まっていることがあげられます。毎日、世界中で使い捨てられるプラスチックは、風に飛ばされたり、海や川に捨てられたりすることによって、海に流れこんでいます。その数は増え続けており、英国のエレン・マッカーサー財団が発表した報告書「The New Plastics Economy: Rethinking the Future of Plastics」によると、2050年には、海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるといわれています。

また、プラスチックごみをウミガメが餌と間違えて食べてしまうなど、海と海洋生物に大きなダメージを与えています。さらに、魚が飲み込んだプラスチックは、魚を食べる人間の体にも取り込まれていき、健康にも影響を及ぼしています。

日本のリサイクルの現状

リサイクル

日本ではペットボトルや食品トレーなどのプラスチックが、リサイクルのために回収されていますが、ほとんどはイメージするような「リサイクル」はされていません。モノからモノへと生まれ変わる「マテリアルリサイクル」は、回収されたプラスチックの8%程度です。約半分は焼却処理をされていて、その熱が利用されることを「リサイクル」と呼んでいます。この時に発生する二酸化炭素は、大気汚染などの大きな原因になっています。

さらに、日本は、回収したプラスチックを発展途上国に輸出しています。処理を押し付けたプラスチックが、その国で環境破壊や大気汚染の原因になってしまっています。また、最大輸入国だった中国が輸入禁止に踏み切ったため、回収した大量の使用済プラスチックごみが、行き場を失ってしまっているのが現状です。

このように、リサイクルでは地球温暖化や環境問題を解決できていません。リサイクルに頼るよりも、そもそもごみになるものを買わない方が環境に優しいのです。

ゼロウェイスト生活の入門書『ゼロ・ウェイスト・ホーム』

ごみをできるだけ出さないゼロウェイストな生活を始めてみようと思った時に、ぜひ読んで欲しいおすすめの一冊が、世界中でベストセラーとなっているベア・ジョンソン著(アノニマ・スタジオ)の『ゼロ・ウェイスト・ホーム』です。この本では、カリフォルニア在住の著者が、毎日の暮らしを通して、どのようにゼロウェイストを取り入れるのかを分かりやすく解説しています。

アノニマ・スタジオ
ベア・ジョンソン(著)・服部雄一郎 (翻訳)
ページ・サイズ:352ページ
定価:1,870円(税込)
発売日:‎ 2016年9月17日

ゼロ・ウェイストな町、徳島県上勝町

徳島県上勝町は、未来の子どもたちにきれいな環境を残すため、「ゼロ・ウェイスト宣言」を2003年に日本で初めて行いました。上勝町はごみ収集を行っていません。生ごみは各家庭でコンポストされ、その他のごみは45分別に細かく分別することによって、リサイクル率は80%を超えています。上勝町にある「HOTEL WHY」では、宿泊を通じて上勝町の暮らしを体感できます。

【関連ページ】【上勝町】ゼロウェイストが体験できる町、徳島県上勝町

今日からできるゼロウェイスト

買い物
『ゼロ・ウェイスト・ホーム』では、ゼロウェイストな暮らしをするために、気軽に実践できる「5R」を紹介しています。

1、Refuse(断る)

レジ袋やストロー、過剰な包装などは、家に持って帰った途端、ごみになってしまうものです。買う時に断ってしまえば、家から出るごみを減らすことができます。また、ネットショッピングの時にも、備考欄に簡易包装で送ってもらえるように書いて注文すれば、梱包材のごみを減らせます。

2、Reduce(減らす)

プラスチック製品は安くて気軽に購入できるのが魅力ですが、すぐに壊れてごみになってしまうことも多いです。長く使える物かを考えて選べば、ごみになるものを減らせます。

3、Reuse(繰り返し使う)

物が壊れたらすぐ新しい物を買うのではなく、修理して使えばごみが減らせます。また、中古の物や古着などを活用するのも、社会全体からごみを減らすことにつながります。

4、Recycle(リサイクルする)

住んでいる市区町村のリサイクル方法を確認して、分別をしっかりすれば、かなりのごみの量を減らすことができます。肉や魚のトレーなどは、スーパーで回収しているところもあります。また、ユニクロなどアパレルブランドでは、店舗に服のリサイクルボックスを設置して古着を回収しています。

【関連ページ】着なくなった服、捨てるの待って!常設で衣服回収を行うアパレルブランドまとめ

5、Rot(堆肥化)

コンポストができる環境なら、生ごみを減らすことができます。ベランダで気軽にできる、おしゃれなコンポストなども出てきています。

これ以上ごみを増やさない買い方や捨て方などを、5Rに当てはめて見直してみてください。

【関連ページ】生ごみが劇的に減る!ゼロウェイスト生活におすすめのコンポスト5選

まとめ

ごみ問題は、食べ物、衣類など、身の回りの物すべてにつながっていて、日々の選択で、増やすこともできるし、減らすことも可能です。100%ごみを出さないことは不可能ですが、できることを小さなことでもいいので少しずつ積み重ねていくことが、未来につながっていくはずです。まずは、普段の生活からゼロウェイストを始めてみましょう!

【参照サイト】環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」第4回資料集
【参照サイト】上勝町ゼロ・ウェイストセンター

ゼロウェイストなくらしのアイデア

日々の暮らしの中で、ゼロウェイストを実践するのに役立つアイデアやコツを集めました。

ゼロウェイストなくらしのガイド

世界で話題の「ゼロウェイスト」な暮らしの基本や、国内外のプラスチックごみ削減に対する取り組みなど、ゼロウェイストを知るための情報をお届けします。