ゼロウェイストとは、無駄や浪費を最小限にとどめて、ごみを出さないようにする取り組みのことです。その名の通り、「ごみ(Waste)をゼロ(Zero)に」を目標に掲げ、現在はさまざまな自治体や企業が具体的なゼロウェイスト活動を展開しています。また、近年注目を集めている海洋プラスチックごみや食品ロスの削減も、ゼロウェイスト活動の一環です。
ゼロウェイスト宣言都市
オーストラリアの首都・キャンベラは、1996年に世界で初となる「ゼロウェイスト宣言」を発出しました。その後「ゼロウェイスト宣言」をする都市が増え続け、C40(C40 Cities Climate Leadership Group)を通じて、今では世界27都市が“Advancing Towards Zero Waste Declaration”というゼロウェイスト宣言をしています(2022年2月時点)。
※C40とは:気候変動に向けて連携・活動している、世界の90以上の都市のネットワーク。
“Advancing Towards Zero Waste Declaration”を行った都市の一覧
オークランド、ボストン、コペンハーゲン、ロンドン、ロサンゼルス、メルボルン、ミラノ、モントリオール、ニューヨーク、パリ、フィラデルフィア、ポートランド、ロッテルダム、サンフランシスコ、ストックホルム、シドニー、テルアビブ–ヤフォ、東京、トロント、バンクーバー、ワシントンDC、 カタロニア、ナバラ、ニューベリーポート、サンノゼ、サンタモニカ、ウェールズ
【参照】C40(C40 Cities Climate Leadership Group)
上記からいくつかの都市を抜粋し、具体的な取り組みを紹介します。
世界のゼロウェイスト宣言都市一覧(抜粋)
サンフランシスコ(米国)
サンフランシスコは、2003年に「2020年までに埋め立てごみをなくし、生ごみはすべて堆肥化、他のごみは全てリサイクルする」という目標を設定。家庭系・事業系のごみを収集運搬しているRecology社とともにごみの分別、リサイクルを進めた結果、2012年には市内のごみの80%をリサイクルやリユース、堆肥化することに成功しました。
2019年にはサンフランシスコ空港での使い捨てペットボトルの水販売を禁止するなど、先進的な対策を実施しています。2020年にごみをゼロにする目標は達成できませんでしたが、2030年までの達成を目指して現在もさまざまな取り組みを進めています。
【参照】Recology社
【参照】Policies Related to Zero Waste(SF Environment)
【参照】アメリカ初。サンフランシスコ空港が使い捨てペットボトルの水販売を禁止
オークランド(ニュージーランド)
ニュージーランド最大の都市オークランドは、2018年に「2040年までにゼロウェイストを目指す」と宣言しました。その際に、環境・地域委員会は2018年度廃棄物管理・最小化計画(The Auckland Waste Management and Minimisation Plan 2018)を採択。コンポスト(堆肥化)の促進から不法投棄への対処、民営化など具体的な優先事項を9つ掲げ、取り組みを進めています。
市はゼロウェイストの市民の理解、参加を促すためにWebサイトを運営。ごみの分別の仕方からゼロウェイストに取り組む団体へのファンド提供、個人の表彰、ゼロウェイスト関連のイベント開催など、さまざまな手法でゼロウェイストの拡大を試みています。
【参照】廃棄物を出さない街へ。ニュージーランド最大の都市が「ゼロ・ウェイスト」に動きだす
【参照】Make the Most of Waste(Auckland Council)
ロッテルダム(オランダ)
オランダの人口第二の都市ロッテルダムは、2018年にシンクタンクのMetabolic社やインキュベーション施設であるBlueCityの協力を得て、“Circular Rotterdam: New jobs in a zero waste economy”という報告書を発表。2030年までにゼロウェイスト都市となり、同時に最大7,000のサーキュラーエコノミー関連の雇用を生み出すという目標を掲げ、達成への道筋、課題を示しました。市は、この内容に基づいて、2019年~2023年の戦略を進めています。
【参照】ロッテルダムのインキュベーション施設「BlueCity」に学ぶ、サーキュラーエコノミーの始め方
バンクーバー(カナダ)
カナダ西部の都市・バンクーバーは2009年に「Greenest City Action Plan」を発表し、2020年までに「世界で最もグリーンな都市」を目指すと宣言しました。2019年には「世界で最も持続可能な都市2019」で8位になり、このアクションプランに関しては、2020年の時点で計画の8割を達成できたと言います。
ゼロウェイストに関しては、2018年に「2040年までにゼロウェイストにする」と宣言。“Complete Zero Waste 2040 Strategic Plan”という78ページにもおよぶ計画書を提出し、コンポストや食品ロス対策、修理できる仕組みづくりなど、具体的な取り組みを進めています。
また、バンクーバー市は2022年1月に使い捨てプラスチック削減条例を施行しました。これによってレジ袋は堆肥・生物分解可のものも含めて使用禁止になりました。使い捨てカップを1個25セントで販売し、店側は営業免許更新時にカップ販売数を報告しなければなりません。発泡スチロール製の食品容器、プラスチック製のストローとカトラリーは2020年1月から既に使用禁止されています。
【参照】Zero Waste 2040(City of Vancouver)
【参照】Greenest City Action Plan
【参照】Single-Use Item Reduction Strategy
ナバラ(スペイン)
スペイン北部のナバラ州は、その立地を活かして多くの風力発電所を運営しており、州内のエネルギー需要の8割を再生可能エネルギーでまかなっています。ゼロウェイストにも積極的で、2018年6月には家庭と企業の両方に対して、廃棄物とその課税に関してスペインで最も包括的な法律を導入。サーキュラーエコノミー化を進めています。
東京(日本)
東京都は、2019年12月に「ゼロエミッション東京戦略」を公表。2050年に都からの二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすると宣言しています。また、2021年1月には前段階の目標として、2030年までに温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」を表明。その際に策定された『ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Report』では、戦略の一環として3Rや食品ロス対策など、ゼロウェイストに関連する取り組みの推進を明らかにしています。
【参照ページ】C40 Cities Climate Leadership Group
【参照ページ】岩手町SDGs未来都市共創プロジェクト
【関連ページ】日本のゼロウェイスト宣言都市まとめ・一覧
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日々の暮らしの中で、ゼロウェイストを実践するのに役立つアイデアやコツを集めました。
ゼロウェイストなくらしのガイド
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