プラスチックごみ削減で日本が抱える課題は?解決策も

プラスチック

国内のみならず、世界的に深刻な課題となっているプラスチックごみの問題。国によっては使い捨てプラスチック製品を禁止するなど、プラスチックごみの対策に強い姿勢で乗り出しています。日本でもプラスチックごみの対策に力を入れていますが、実は世界に比べてやや遅れをとっているという指摘もあります。日本のプラスチックごみリサイクルの現状、課題、今後の対策について解説します。

日本のプラスチックごみリサイクルの現状と問題点

2019年における国内のプラスチックごみ排出量は850万トン。その内訳は家庭から排出される「一般廃棄物」が412万トン、オフィスや工場から排出される「産業廃棄物」が438万トンとなっています。これらは81.6%がリサイクルなど有効利用され、18%が焼却や埋め立てなどで処分されています。

プラスチックごみ排出量のうち8割以上がリサイクルされているのなら、日本はリサイクル優等生なのでは?と思われる方も多いかもしれません。しかしそこには次のような問題が隠されていました。

1. リサイクルの半分以上を占める熱回収

国内におけるプラスチックごみのリサイクル率は約8割ですが、実はすべてがプラスチック資源として循環しているわけではありません。プラスチックごみのリサイクル方法にはいくつか種類があり、その内訳は以下のようになっています。

  • マテリアルリサイクル:22%
  • ケミカルリサイクル:3%
  • サーマルリサイクル:61%

【参考】プラスチック循環利用協会 2019年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況

マテリアルリサイクルとは、プラスチックからプラスチックへ生まれかわるリサイクルのこと。たとえばペットボトルごみがペットボトルに生まれ変わるような場合を指します。また、ケミカルリサイクルとはプラスチックごみを分解し、プラスチック素材へ生まれ変わるリサイクルのことです。

ここで問題となるのがサーマルリサイクルです。サーマルリサイクルとはプラスチックごみの焼却の際に発生する熱エネルギーを利用することを指し、火力発電や温水プールなどに使われています。

埋め立てごみを減らすなどのメリットもあり、一見リサイクルされているように思えますが、プラスチック資源として循環しているわけではありません。また、燃焼する際に二酸化炭素を排出し、地球温暖化の一因となってしまいます。海外においてはサーマルリサイクルはリサイクルとみなされておらず、廃プラスチック処理の方法としては優先順位は低く設定されています。しかし最近では国内でも「サーマルリサイクルはリサイクルではない」という認識が浸透しつつあり、現状からの脱却が期待されています。

2. 廃プラスチックの海外輸出停止

日本をはじめとする先進諸国は、これまで中国などのアジア諸国へ廃プラスチックをリサイクル資源として輸出していました。2019年のマテリアルリサイクルのうち、42.8%はリサイクルの原材料として海外輸出されたものです。

しかしこれらを受け入れる国のほとんどは途上国であり、廃プラスチックを管理するしくみが必ずしもきちんと整備されているわけではありません。実際に廃プラスチックを輸入している国の多くが海洋プラスチック流出の原因となっているというデータもあります。

さらに輸出されている廃プラスチックの中には汚れているものも多く、リサイクルの際に引き起こされる河川などのの環境汚染などの面から、2017年度末よりまず中国が輸入を停止しました。さらに他の国々も追随し、2019年にはバーゼル条約の締結により汚れた廃プラスチックの輸出が規制され、実質的に輸出は不可能となりました。これにより国内では多くの廃プラスチックが行き場を失っていると考えられています。

プラスチックごみ削減に向けた対策

2020年「レジ袋有料化」でマイバックの携帯が日常に

2020年7月1日より、プラスチック製買物袋が有料化になりました。それまで何気なくもらっているレジ袋が有料になったことで、多くの人がエコバッグやマイバッグを持ち歩くようになりました。環境省が実施した「環境省 令和2年11月レジ袋使用状況に関するWEB調査」でも、レジ袋有料化をきっかけに、マイバックを使用する人の割合が、3割から7割以上い増えたことがわかります。

「レジ袋有料化は、プラスチックごみについて考え、ライフスタイルを見直すきっかけになったと言えるのではないでしょうか。

有料化の対象外となるサステナブル素材

プラスチック製買物袋の有料化は、過剰な買物袋の使用を減らしていくことが目的です。一方で、環境性能が認めらたものは、有料化の対象外となります。対象外となる買物袋は以下の3点です。

  • プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの
  • 海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
  • バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
  • 【参考】経済産業省 プラスチック製買物袋有料化 2020年7月1日スタート

    2022年「​​プラスチック資源循環促進法」がスタート

    国内のプラスチックごみの問題を受けて、2021年6月に成立した「プラスチック資源循環促進法」は、プラスチックごみの削減とリサイクルの促進を目的とする新たな法律です。プラスチック製品の設計や製造の段階から廃棄まで、プラスチックを扱うすべての自治体や事業者を対象に、包括的にプラスチック資源が循環する仕組み「3R+Renewable」の構築をめざして制定されました。

    プラスチック資源循環促進法は、2022年4月に施行される予定です。今後、自治体や企業は、この新法に沿って、プラスチック製品の製造・使用・廃棄に取り組むことになります。消費者の生活においても、プラスチック製品の使用頻度やリサイクル方法が変わるなどの影響を受けることが予想されています。

    プラスチック資源循環促進法では、主に自治体や事業主に対して、プラスチック製品の製造や廃棄について、いくつかの具体的な措置が盛り込まれています。そうした中で、私たち一般の生活者の日常は、どのように変化していくのでしょうか。プラスチック製品の購入、使用、廃棄のそれぞれのアクションに沿って、見ていきましょう。

    【購入】プラスチック製品の環境配慮設計を推進

    プラスチックの使用量が少ない・リサイクルしやすい構造など、環境に配慮して設計や製造された製品を国が認定するしくみが作られます。環境負荷が低い優れた製品は公表され、国が率先して調達し、使用を推進していきます。また、環境配慮設計に取り組む事業者には、リサイクル材を使用に関わる設備への支援も行われます。

    国が積極的に企業を後押しすることで、今後は、従来のプラスチック製品に代わって、環境に配慮された製品が増えると考えられます。その結果、私たち消費者は、今よりも環境に配慮した製品を選びやすくなります。

    【使用】使い捨てプラスチック製品の削減

    コンビニやスーパー、ホテル、クリーニング店、ネットショップなどに対し、無料で提供している使い捨てプラスチック製品の削減目標を設定し、使用量を減らすことが求めています。特に使い捨てプラスチック製品を年間5トン以上使う大手事業者には、有料化や再利用といった対応を義務づけるという方針が固まりました。

    今回の規制により、事業者は国が指定する「特定プラスチック使用製品」を有料化するか、受け取らなかった場合のポイント還元、受け取る意思確認、再利用、代替素材への転換などで対応することが求められています。取り組みが不十分な場合は社名を公表し、さらに命令に従わない場合は50万以下の罰金を科されます。ただし、年間5トン未満の中小業者や輸入品には強制力はありません。

    2022年4月以降は、コンビニやスーパーのレジで、プラスチックのストローやスプーンを無料で貰うことができなくなります。また、通常ホテルの部屋に設置されている、使い捨ての歯ブラシやカミソリもフロントで使用の有無を尋ねられるようになることが予想されます。

    無償提供が見直される「特定プラスチック使用製品」とは?

    今回の法案成立を受け、2020年4月から無償提供の見直しが始まる「特定プラスチック使用製品」が具体的に発表されました。今回、対象となった使い捨てプラスチック製品は以下の12品目です。

    • ストロー
    • フォーク
    • ナイフ
    • スプーン
    • マドラー
    • ヘアブラシ
    • くし
    • かみそり
    • シャワーキャップ
    • 歯ブラシ
    • ハンガー
    • 衣類用カバー

    【廃棄】プラスチックごみのリサイクル促進

    家庭のプラスチックごみを分別回収している自治体の多くはペットボトルや食品トレイなどをリサイクルプラスチックの対象としています。しかし、今後は文房具や子どものおもちゃなども含めてリサイクルプラスチックとし、これらと合わせて一括回収を行うよう自治体を促します。一括回収を行う自治体に対しては、国が費用を補助することも検討しており、プラスチックごみ回収の合理化が推進され、よりリサイクルしやすい環境整備が行われます。

    住んでいる自治体によっては、ペットボトルや食品トレイ以外は、燃えるごみとして処分していたプラスチック製品をリサイクルプラスチックとして回収することで、「ごみ」の量を減らすことができます。

    「プラスチック資源循環促進法」今後の課題

    「プラスチック資源循環促進法」の実施とともに、日本でもいよいよ本格的にプラスチックごみに対する対策が行われます。プラスチックごみはすでに世界中の海に1億5,000万トンもの量が浮遊し、さらに毎年800万トンが流入していると推測され、漁業や輸送業、観光業に大きな打撃を与えています。また、プラスチックごみは燃やすと二酸化炭素などの温室効果ガスを発生するため、気候変動の要因として挙げられています。消費者である私たちの意識も、プラスチックごみの削減に向けて高めていく必要があります。

    今回の新法では、使い捨てプラスチック製品の無償提供の見直しも盛り込まれており、コンビニなどで無料で配られていたストローやスプーンなどが有料化されるなど、消費者がプラスチック使用製品の使用をを見直すことが期待されています。ただし、規模の小さな事業者に対しては見直しは強制的なものではありません。したがってこれまでと変わらず使い捨てプラスチックが無償で提供する事業者もいると考えられています。

    こうした点で、同法ではプラスチックのリサイクルが優先され、使い捨てプラスチックを減らすことへの優先度が低いといった指摘も寄せられています。

    プラスチックごみ削減のために身近なことから始めよう!

    世界的には「プラスチックごみはまずリデュース、次にリユース、最後にリサイクルという優先度で処理されるべき」という共通認識であり、日本ではまだ法整備などが追いついていない面もあります。

    そこでまずは私たちがプラスチックごみ削減に対する意識を高めることが必要ではないでしょうか。マイボトルやマイ箸などを活用して使い捨てプラスチック製品をできるだけ使わない、プラスチック以外の素材で作られた代替品を使用するなど、身近なことでもできることはたくさんあります。プラスチックごみ削減のためにできることは何か考え、行動していきたいですね。

    【参考ページ】プラスチック循環利用協会 2019年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況
    【参考ページ】環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
    【参考ページ】日本自然保護協会 政府のプラごみ問題施策方針への NGO 共同提言

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