1,586キロのごみを削減!京都音博が切り開く「ごみゼロ」フェスの可能性

京都音博

音楽フェスと言えば、音楽に浸り、日常を忘れる特別な時間です。しかし、その裏側では「大量のごみ」が生じるという課題があります。そんななか、京都音楽博覧会(通称:京都音博)が、ごみ削減のためのユニークな取り組みで注目を集めています。

京都音博は2007年にスタートし、17回目の昨年10月には、槇原敬之さんや「くるり」のオリジナルメンバーである森信行さんも登場し、1万人以上の観客が音楽を楽しみました。京都音博主催者であるロックバンド「くるり」の岸田繁さんによる「資源が”くるり”プロジェクト」は、京都音博のごみの削減と資源循環を目的として始まったものです。

京都音博

2023年の京都音博では、約1万人の観客が音楽を楽しみました。

プロジェクトでは、フライヤーやチラシなどの配布を避け、リユース食器を導入するなど、ごみ削減に取り組んでいます。また、食べ残しなどの生ごみをコンポストで堆肥化したり、不要になった衣服の回収といった、資源循環の取り組みへの参加も呼びかけています。イベント終了後には、京都音博当日に出た「燃えるごみ」を分析。さらなる循環のシステムの構築を目指していくそうです。

今回は、京都音博のCO2削減量を計算しまとめた「株式会社ごみの学校」の寺井正幸さんによる「環境レポート」と、「くるり」の岸田繁さん、当日の生ごみの回収を取りまとめた「株式会社梅小路まちづくりラボ」の足立毅さんによるクロストークをレポートします。

京都音博のCO2削減効果は?「環境レポート」公開

まず、ごみの学校代表の寺井正幸さんより、昨年10月に行われた京都音博の「環境レポート」が発表されました。寺井さんが代表を務めるごみの学校では、「ごみを活かしてわくわくする社会をつくろう」というコンセプトで、教育プログラムやコミュニティイベントなどを行っています。

近年、音楽フェスやイベントがごみ問題に直面しているなか、京都音博は2007年の開催当初から、ごみをできるだけ出さないことを目標に掲げ、さまざまな取り組みを行ってきました。

2日間で1,586キロのごみと、810キロのCO2を削減

今回、ごみの学校が、京都音博で行ったさまざまな取り組みがどれほどの効果をもたらしたかを検証し、その結果を「環境レポート」にまとめました。レポートによると、イベント全体でごみを1,586キロ、CO2を810キロ削減できたといいます。

フライヤーやチラシの配布を控えることで紙ごみを143キロ、CO2を232キロ削減。また、リユース食器を導入したことで、使い捨て食器から生じるプラスチックごみを760キロ、CO2を63キロ削減しました。

「汚れた紙や、飲食物で汚れたプラスチックの使い捨て容器のリサイクルは困難ですが、京都音博では、初めからごみを生じさせないシステムができていました。」(寺井さん)

京都音博

リユース食器は使用後に回収し、洗って何度も再利用されます

今年の京都音博では古着の交換会も開催され、435キロもの廃棄衣類が削減されました。衣類を燃やすと大量のCO2が発生しますが、この取り組みによって1,168キロものCO2削減につながりました。

京都音博

使用済衣服の回収ボックス『RELEASE⇔CATCH(リリース・キャッチ)』による古着の回収

また、食べ残しなどの生ごみは水分を多く含むため、燃やす際には大量のエネルギーが必要です。この問題に取り組むため、昨年から京都音博では生ごみを回収し、コンポストで堆肥化を行う新しいプロジェクトを開始しました。この取り組みにより、247キロの生ごみが回収され、CO2も54キロ削減されました。

京都音博

梅小路公園内に設置されたコンポスト

回収された生ごみは、200人近い市民ボランティアや地元の小学生によって、梅小路公園内に設置されたコンポストで堆肥化され、約3,000リットルの「完熟堆肥」が完成しました。完成した堆肥は、今後公園内の花壇に使われる予定です。

京都音博

生ごみから完熟堆肥が完成し、引き渡し式が行われました

燃えるごみの課題も

依然として課題も残ります。京都音博が行われた2日間で、1,240キロを超える「燃えるごみ」が発生しました。

ごみの学校の分析によると、燃えるごみの約3分の1は食品に関連する「紙」で、特に近隣のスーパーやコンビニから持ち込まれたものが目立ちました。その次に多かったのが使用済のフォークやスプーンで、全体の約12%を占めています。その他には、プラスチックの雑がみや食品由来の複合素材などが含まれていました。

「来年は使用済みのフォークやスプーン、持ち込まれたごみを持ち帰ってもらうような新しい取り組みを導入することを検討しています。」(寺井さん)

なぜ、京都音博はごみが少ないの?

京都音博

足立毅さん、寺井正幸さん、岸田繁さん

次にクロストークセッションが開催され、登壇者が意見を交換しました。

寺井さん:ごみの学校ではさまざまなフェスやイベントで出たごみの量を調査していますが、そのなかでも京都音博は特にごみが少ないイベントとして際立っています。

また、リユース容器を当たり前にきれいに洗って分別ステーションに持ってきてくれたり、きちんとゴミを分別していたりするところが、他のフェスとは違うなと感じています。どうやってお客さんを巻き込んでいるのかを聞いてみたいです。

京都音博

 京都音楽博覧会2022

岸田さん:音楽が好きなお客さんが、純粋に音楽を聴きに来ているからごみが出ないのかな。

フェスでごみを出さない最も簡単な方法は、フェス自体を開催しないことですが、私はミュージシャンとして、音楽体験を提供したいと考えています。外で音楽を聞くことってなかなかないので、年に1回ぐらいそういう経験をみんなにしてもらってもいいのかなと思って始めたのが、京都音博ですね。

しかし、この公園は私のものではなく公共の場であるため、ごみを出さないような取り組みは、初めから意識して実施しています。

京都音博

 京都音楽博覧会2023

足立さん:京都音博では、以前から出演者の時間割が記載されたゴミ袋を配布し、イベント終了後にはそのゴミ袋にごみを入れて持ち帰るように呼びかけてきました。

このような取り組みが積み重なることで、来場者には京都音博に来た際には、もとよりきれいな状態で帰るべきだという意識が芽生えているのではないでしょうか。

岸田さんが言うように、来場者が音楽に集中していることもゴミが少ない理由のひとつかもしれませんが、主催者であるくるりの「ごみを出さないように」というメッセージが、徐々に参加者の心に響いているのではないかと強く感じています。

編集後記

京都音博では、ミュージシャン、市民、行政が協力し合い、ごみ削減に力を合わせて取り組んでいる様子が見られました。また、地域住民のネットワーキングなど、資源循環を超えたさまざまな利点もありました。

京都音博のこのような取り組みは、環境に配慮したイベント運営の新たな可能性を示し、他のフェスやイベントにとっても大きなヒントとなるのではないでしょうか。

【参照サイト】京都音楽博覧会2023 公式サイト 2023年10月8日(日)・10月9日(月)
【参照サイト】ごみの学校
【関連ページ】音楽フェスでごみゼロは可能!京都音博2023のエコな取り組みをレポート

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Life Hugger 編集部

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