四季折々の美しさと日本の伝統文化が息づく京都。そんな京都で、毎年秋に開催される「くるり」主催の音楽イベント「京都音楽博覧会(京都音博)」は、2023年10月8日-9日の開催で17回目を迎えました。
今年も梅小路公園を舞台に、くるりの呼びかけで集まった国内外のアーティストが、2日間に渡って熱いパフォーマンスを繰り広げました。今年は、脱退していたくるりオリジナルメンバーである森信行さんも復帰し、会場を沸かせました。
京都音博は環境に配慮した取り組みでも注目されています。大規模の音楽フェスでは、終わった後に大量のごみが出てしまうことが避けられません。
しかし、京都音博では、ごみ削減のためのアイデアやサステナブルな仕掛けが会場全体で実践されているため、終了後の会場で散らかったごみを見ることはほとんどありません。
この記事では、そんな京都音博のエコな取り組みをレポートします。
京都音博のごみ削減のための仕掛けとは?
京都音博では、ごみの分別や環境への配慮も重要なテーマの一つです。
全ての飲食ブースでは、再利用可能なリユース食器が使用されています。使い捨ての紙皿やプラスチックカップの環境負荷を考慮し、持続可能なリユース食器を使用することで、大幅にごみの削減に成功しています。
会場内のエコステーションには、ごみ用の9つの分別ボックスが設置されています。
各分別ボックスには、紙資源、空き瓶、食べ残し、空き缶、燃えるごみ、プラスチック(ビニール)、ペットボトル、木製カトラリー(割箸、串)、ペットボトルキャップといったカテゴリーが明記されています。来場者が分別に迷わないよう、各ボックスは色分けされ、イラストも付いています。
イベントスタッフやボランティアの方も、分別をサポートしてくれます。
また、京都音博は環境への配慮から、ゴミ削減の一環としてチラシやフライヤーの配布を控えています。これにより、不要な紙の消費を削減し、会場内でのごみの発生を最小限に抑えています。
京都音博で出る生ごみはどうしてる?
「京都音博で、本質的な環境への取り組みをしたい」という、くるりの岸田さんの言葉から始まったのが、「資源が“くるり”プロジェクト」です。
京都音博のような大規模なイベントでは、フードエリアから出る大量の生ごみは避けられません。このプロジェクトでは、会場となる梅小路公園内にコンポストを設置し、フードエリアで発生する生ごみを「堆肥」へとリサイクルしています。
コンポストの床材は、コンポストアドバイザー鴨志田純さんの指導のもと、京都大原のもみ殻、梅小路公園の落ち葉、米糠、瓦土などを適切な比率で混ぜて作られています。生ごみは、これらの床材と混ぜ、途中で何度か全体を混ぜることによって、約4ヶ月で堆肥へと変わります。
京都音博当日には、立命館大学で、食堂から出た生ごみで堆肥づくりをするサークル「Uni-Com」のメンバーや、梅小路公園で花壇の世話を行う「京都みどりクラブ」のメンバー、さらに、地域のボランティアの方々が協力して、1日3回エコステーションや飲食ブースをまわって生ごみを集めました。
2日間の生ごみの回収量は247kgで、全てコンポストに投入されました。できあがった堆肥は、梅小路公園の花壇の肥料として使用されるため、公園がフェスと共に成長していく姿を感じることができそうです。
持続可能な音楽フェスが広がってほしい!
京都音博の一つ一つの取り組みが、音楽フェスのような大規模なイベントであっても、環境に配慮しながら開催できることを示していました。
コンポストの設置や当日の生ごみの回収を中心になって行った、梅小路まちづくりラボの足立毅さんは次のように話します。
「京都音博は、エコやサステナブルを特にアピールしていませんが、開催当初からペーパーレスで運営するなど、環境や地域への配慮が続けられています。
ファンの方にも『ごみを出さない』という意識が根付いており、京都音博開催後には、会場である梅小路公園だけでなく、京都駅までの道中も綺麗になっていると褒められることもあります。このような取り組みが世界に広がることを願っています。」
また、京都音博にアドバイザーとして参加する、サーキュラーエコノミー研究家の安居昭博さんも、次のように語りました。
「愛知で毎年5月に3日間開催される音楽フェス『森、道、市場』から問い合わせがあり、今年は、京都音博を参考に『森、道、市場』で初めての本格的なコンポスト設置を行いました。
また、『森、道、市場』で良かった点や成功例を、今度は今年の京都音博で取り入れました。イベント間の情報共有により、より良い取り組みの循環が生まれています。今後は例えばリターンカップをイベントごとに製造するのではなく共有しあったり、良い取り組みを導入し合えるようなイベント同士の連携が広まったらいいですね。」
取材後記
京都音博は、単に音楽を楽しむ場ではなく、音楽フェスのような大規模イベントでは避けられない大量のごみという課題に対して、実践的な解決策を示していました。
梅小路まちづくりラボの足立さんによると、今年はごみ問題に取り組む「ごみの学校」と協力し、京都音博で削減できたCO2量を計算し、「環境レポート」としてまとめる予定だそうです。
このような京都音博の取り組みが多くのイベントに広がり、新しいスタンダードとなることを心から期待しています。
【関連ページ】フェスで生ごみをコンポスト!?くるり主催の京都音楽博覧会2022を取材
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