てまえどりとは、スーパーやコンビニの棚で、手前に並んでいる期限の近い商品から選んで買うことです。奥にある新しい商品をわざわざ取らずに手前から買うことで、お店で売れ残って捨てられる食品を減らすねらいがあります。
「棚のPOPで見かけたけれど、手前から取るだけで本当に食品ロスが減るの?」「期限の近いものを買って、家で食べきれなかったら意味がないのでは?」と感じた方もいるのではないでしょうか。このページでは、お店で売れ残る仕組みとてまえどりがロスを減らす理由、賞味期限と消費期限の違い、毎日の買い物で無理なく続ける線引きを解説します。
てまえどりとは
てまえどりとは、商品棚の手前に並んでいる商品、つまり販売期限や賞味期限・消費期限が近い商品から選んで買う行動のことです。「手前」と「取る」を組み合わせた言葉で、スーパーやコンビニの棚に貼られたPOPやシールで目にする機会があります。
お店では、先に入荷した商品を手前に、あとから入荷した新しい商品を奥に並べる「先入れ先出し」という陳列が基本です。てまえどりは、この並び方に合わせて、買う側も手前から取っていこうという呼びかけです。
「奥から取る」との違い
少しでも新しいものを選ぼうと、棚の奥に手を伸ばした経験は多くの人にあるはずです。奥から取ること自体はルール違反ではありませんが、みんなが奥から取ると、手前の商品だけが売れ残っていきます。てまえどりは、その小さな選び方を「すぐ使うものなら手前でいい」と切り替えることを指します。
値引き品・見切り品との違い
期限が近づいて値引きシールが貼られた商品を買うことも、食品ロスを減らす方向の行動です。ただ、てまえどりは値引きの有無とは関係ありません。値引き前の商品であっても、手前から選ぶこと全体を指します。
フードバンクとの違い
フードバンクは、まだ食べられるのに売り物にならなくなった食品などを集め、必要としている人や団体に届ける活動です。いわば「余ってしまった食品の行き先をつくる」取り組みです。てまえどりは、その手前の段階で「そもそも余らせない」ための買い方です。
てまえどりで食品ロスが減る仕組み
お店には「販売期限」がある
パッケージに書かれた賞味期限や消費期限とは別に、多くのお店は「この日までに売る」という独自の販売期限を決めています。販売期限を過ぎた商品は、まだ期限内で食べられる状態でも棚から下げられます。その後は値引きして売り切ったり、返品されたりしますが、行き先がなければ廃棄になります。
奥から取ると、手前の商品が取り残される
売り場では、新しい商品が毎日のように補充されます。お客さんが奥の新しい商品ばかりを選ぶと、手前の商品は売れないまま販売期限を迎え、食べられるのに捨てられてしまいます。手前から買う人が増えれば、販売期限までに売り切れる商品が増え、お店で出る食品ロスが減ります。てまえどりは、お店の仕組みに買う側が少しだけ歩み寄る行動といえます。
家で食べきれなければ、ロスは家に移るだけ
注意したいのは、期限の近い商品を買っても、家で食べきれずに捨ててしまえば、ロスが出る場所がお店から家庭に移るだけだという点です。何日も先に使う食材や、ストックしておきたい食品まで無理に手前から選ぶ必要はありません。「いつ食べるか」を考えてから手前か奥かを選ぶことが、てまえどりを本当に意味のあるものにします。
賞味期限と消費期限の違い
てまえどりを無理なく続けるには、パッケージにある2つの期限の違いを知っておくと安心です。
| 項目 | 消費期限 | 賞味期限 |
|---|---|---|
| 意味 | 安全に食べられる期限 | おいしく食べられる期限 |
| 主な食品 | 弁当、サンドイッチ、生麺、生の肉・魚など傷みやすいもの | スナック菓子、缶詰、カップ麺、調味料など比較的日持ちするもの |
| 期限を過ぎたら | 食べないようにする | すぐに食べられなくなるわけではない。見た目やにおいを確かめて判断する |
一般的な傾向をまとめたものです。詳細は各商品の表示や、各自治体・各社の公式情報でご確認ください。
どちらの期限も、袋や容器を開けずに、表示どおりの方法で保存した場合の期限です。開封したあとは期限にかかわらず、早めに食べきりましょう。消費期限の商品は「今日・明日食べる」と決まっているときにてまえどりし、賞味期限の商品は使う予定に合わせて選ぶ、と覚えておくと迷いにくくなります。
暮らしの中のてまえどり
「今日・明日食べるものは手前から」と線を引く
すべての買い物でてまえどりを意識すると、かえって疲れてしまいます。今夜のおかずの豆腐、明日の朝の牛乳やパンなど、すぐに食べるものだけ手前から取る。数日先に使うものやストック用は、自分の予定に合うものを選ぶ。このくらいの線引きなら、毎日の買い物でも無理なく続けられます。
年末の買い物は、冷蔵庫の中身を見てから
年末年始は、帰省やおせち、来客の準備で買い出しの量が増えがちです。お店の休みに備えて多めに買い込むと、冷蔵庫の奥で使い忘れた食材が出てくることも少なくありません。出かける前に冷蔵庫の中身をスマートフォンで撮っておき、買い物リストと照らし合わせるだけでも、買いすぎを防げます。そのうえで、年末の数日で食べきる分はてまえどりを意識すると、お店と家庭の両方でロスを減らせます。年末に余りやすいおせちの行き先については、ロスおせちのレスキューを紹介したコラムも参考にしてください。
家の冷蔵庫でも「てまえどり」
お店と同じ先入れ先出しは、家の冷蔵庫でも使えます。新しく買ったものを奥に、前からあるものを手前に置き直すだけで、使い忘れがぐっと減ります。期限の近いものを1か所にまとめた「早く食べてねコーナー」をつくるのもおすすめです。家族みんなが冷蔵庫の手前から取るようになれば、献立を考える手間も減り、気持ちにも少し余白が生まれます。食品ロスの全体像や家庭でできることは、食品ロスについてのコラムでも詳しく紹介しています。
てまえどりに関するコラム
- 2024/10/29食品ロスを減らす第一歩!「てまえどり」の意義と私たちにできること
- 2023/11/28気候変動と食料生産のつながりを知ろう!日々の食生活で行える取り組みを紹介
- 2023/11/27食品の「3分の1ルール」とは? 食品ロスを防ぐために私たちができること
