PFASとは・意味

PFASとは

PFAS(ピーファス)とは、パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物とよばれる化学物質の総称です。熱や水に強く、壊れにくいという特徴的な化学的性質を持っていて、不活性で毒性がないと考えられていたため、さまざまな産業分野で広く使用されてきました。

しかし、PFAS化合物は自然環境の中で分解されにくく、生体内に蓄積されやすいうえ、永遠に残る化学物質(フォーエバー・ケミカル)であることが明らかになっています。長期間かつ多岐にわたるPFASが使用されてきた結果、人体に与える影響が懸念され、環境汚染も深刻な状況となっています。4,000 種類以上もの PFAS化合物が、地球的規模で環境中に含まれている可能性があるのです。

【参照サイト】PFAS 汚染「永遠に残る化学物質」との闘い
【参照サイト】PFASについて(英文)
【参照サイト】有機フッ素化合物分析
【参照サイト】PFAS規制
【参照サイト】基地に隣接する北部5市町村でPFAS不検出 沖縄県が浄水場調査

PFASにまつわるトラブル

2020年6月、米軍キャンプ・ハンセンに隣接する沖縄県国頭郡金武町の水質調査で、水源や水道水から、高濃度のPFASが検出される問題が発生しました。国の暫定指針値は、PFASの合計値が1リットル当たり50ナノグラム以下です。

それもハンセンのフェンス近くにある水源1か所は405ナノグラムと指針値の8.2倍、もう1か所では190ナノグラム、3.8倍と国の暫定指針値を大幅に超えていました。米軍が基地内を調査した結果、原因は特定できず、地域住民の不安が広がっています。現在金武町では、暫定指針値を超えた3か所からの取水を停止し、浄化した地下水と県企業局からの水を混合した水道水を使用しています。

金武町のほかに米軍キャンプに隣接する5自治体(名護市、伊江村、宜野座村、東村、国頭村)におけるPFAS含有量は、1リットル当たり1ナノグラム未満と、国の暫定指針値を下回っています。

【参照サイト】水道水PFAS「汚染源、米軍由来か調査を」玉城知事が強調

世界におけるPFASの対策

世界中でさまざまな規制をし、PFASの対策の対策がとられています。

EU(欧州連合)

欧州では、泡消火薬剤やその他の用途すべてにおいてPFASを原則禁止にしました。今後、世界的な規模でPFAS問題に対処するとともに、PFASの代替を促進するための研究資金の提供を決定しています。

2021年7月、欧州化学品庁はすべてのPFASに対して制限が必要であると結論付けた「規制管理選択肢分析(RMOA)」を公表しました。続く2021年8月、オランダ、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、デンマークの欧州5か国は、すべてのPFASを制限する提案文書を作成しました。

米国(連邦)

米国では、市場におけるPFASを削減するために、認可済みの少量免除(LVE:low volume exemptions)の「自主的な撤回」を促す「スチュワードシップ・プログラム」を公表しました。
スチュワードシップ・プログラムとは、PFASの環境排出削減と、より安全な代替に向けた世界的な取り組みです。

【参照サイト】ダイキン PFASに関する当社の取り組み

米国(各州)

メイン州ではすべてのPFAS含有製品を規制する法律、コネチカット州では代替物質の使用に制限をかける法律が制定されました。

米国では飲料水中のPFAS濃度を定めた国家基準がないため、7つの州(アラスカ州、ミネソタ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、バーモント州、マサチューセッツ州)が独自の基準を作成しています。次いでカリフォルニア州の環境衛生有害性評価室(OEHHA)では、飲料水の中に含まれるPFASの公衆衛生目標値(PHG)と健康保護濃度(HPC)を提案中です。この提案が認められれば、独自で基準を定めた8つ目の州となる見込みです。

【参照サイト】米国における PFAS 規制の概要と日本企業への影響

有名企業のPFAS撤廃への取り組み事例

ファーストフード世界大手の米マクドナルドは、2025年までに全ての包装・容器からPFASを全廃するとしています。また、すでにAmazonでは自社ブランド「Amazon Kitchen」の食品製品の包装・容器におけるPFASの使用を禁止しています。

北欧スウェーデン発の家具量販店・IKEAでも、2017年からすべての家具においてPFASの使用を中止することに。アメリカの高級スーパーであるホールフーズ・マーケットは、有害な化学物質が含まれているおそれのある食品包装材を、約500店舗から排除しました。PFAS撤廃の流れを受けて、現在はさまざまな企業が堆肥化できる包装材を模索しています。

【参照サイト】米小売業で広がる「永遠に残る化学物質」PFASの使用取りやめ