市場連動型プランとは・意味

市場連動型プランとは、電力会社が電気を仕入れる卸電力市場の価格に合わせて、電気の単価が変わる料金プランのことです。市場の価格が安い時間帯は電気代が下がり、高い時間帯は上がるため、同じ1kWhでも使う時間や日によって値段が変わります。

電力会社を選ぶときによく見かける言葉ですが、ふつうの料金プランとの違いや、冬に電気代が高くなりやすい理由まで知っておくと、自分の暮らしに合うかどうかを落ち着いて見極められます。

市場連動型プランとは

電気料金のうち、使った量に応じてかかる「電力量料金」の単価が、卸電力市場の取引価格をもとに決まる。これが市場連動型プランの基本の仕組みです。卸電力市場は、発電事業者と小売電気事業者(家庭に電気を売る電力会社)が電気を売り買いする場で、需要と供給のバランスによって価格が変わり続けます。市場連動型プランでは、この値動きが家庭の電気代にほぼそのまま届きます。

ふつうの料金プラン(固定単価型)との違い

多くの家庭が契約している料金プランは、1kWhあたりの単価があらかじめ決まっている「固定単価型」です。使用量が増えるほど単価が段階的に上がるプランもありますが、昼でも夜でも、晴れの日でも寒波の日でも、同じ使用量の段階なら単価は同じです。市場連動型は、単価そのものが時間帯や日によって動く点が大きく違います。

見方を変えると、固定単価型では市場価格が急に上がったときの負担を電力会社が引き受け、市場連動型ではその変動を利用者が直接受け取る、という違いでもあります。安くなるときの恩恵も、高くなるときの負担も、どちらも家計に届く仕組みです。

燃料費調整との違い

固定単価型の電気料金にも、燃料の輸入価格に応じて毎月の料金を調整する「燃料費調整」の仕組みがあります。ただし燃料費調整は、過去の一定期間の燃料価格をならして反映するもので、変化はゆるやかです。市場連動型は、その時々の電気の需給を反映するため、値動きが速く、幅も大きくなりやすいのが特徴です。

電気の値段が市場で変わる仕組み

卸電力市場では、1日をいくつもの時間帯に区切り、時間帯ごとに電気の価格が決まります。電気をほしい量に対して発電できる量が多ければ価格は下がり、足りなければ上がります。野菜の値段が天候や季節で変わるのと、考え方はよく似ています。

価格の動き方には、次のような傾向があります。

  • 晴れた日の昼間:太陽光発電がたくさん発電するため供給が増え、価格が下がりやすい
  • 夕方から夜:太陽光の発電が減る一方で、帰宅後の家庭の電気使用が増えるため、価格が上がりやすい
  • 春や秋のおだやかな季節:冷暖房の需要が少なく、価格が落ち着きやすい
  • 真冬や真夏:冷暖房の需要が増え、価格が上がりやすい

市場連動型プランの電気代の内訳

市場連動型の電気代は、市場価格に連動する部分だけでできているわけではありません。基本料金のほか、送配電網の利用料である託送料金、電力会社の手数料やサービス料、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)などが加わります。再エネ賦課金はどの料金プランでも共通で、単価は国が年度ごとに定めています。

託送料金や手数料を単価に含めて示すのか、別の項目として示すのかは、電力会社によって組み立て方が違います。「市場価格+〇円」のような表示を見たときは、その「〇円」に何が含まれているかまで確かめると、ほかのプランと比べやすくなります。

市場連動型プランで冬に気をつけたいこと

市場連動型プランを検討するとき、特に意識しておきたいのが冬です。冬は暖房で電気の需要が増えるうえ、日が短く太陽光発電が少なくなるため、需要に対して供給が細くなりやすい季節です。夕方から夜の需要のピークも長くなります。

そこに強い寒波が重なって需要が急に増えたり、発電所のトラブルや燃料の不足で発電できる量が減ったりすると、市場価格が短い期間で大きく跳ね上がることがあります。固定単価型であれば電力会社がその負担を引き受けますが、市場連動型では高くなった単価がそのまま請求に反映されるため、1か月の電気代が大きく膨らむことがあります。

しかも、冬の暖房は「高いから止める」というわけにいかない電気です。寒さを我慢することは体への負担にもつながるので、価格が上がったときに暖房を切って乗り切る、という前提で選ぶのはおすすめできません。冬の使用量が多い家庭ほど、契約前に次の点を確かめておくと安心です。

  • 単価に上限(キャップ)を設けているか、設けていないか
  • 市場価格が高くなりそうなときに、アプリやメールで知らせてくれるか
  • 翌日や当日の価格を事前に確認できるか
  • 価格が高い時期に、固定単価型のプランへ切り替えられるか、そのときの手数料や条件はどうか

暮らしの中の市場連動型プラン

電気を使う時間をずらす

市場連動型プランと相性がよいのは、電気を使う時間を自分で選べる暮らしです。洗濯機や食器洗い乾燥機をタイマーで昼間に動かす、電気給湯器の沸き上げ時間を見直す、電気自動車の充電や蓄電池の充電を価格の安い時間帯に寄せる、といった工夫で、同じ量の電気でも支払いを抑えやすくなります。

晴れた日の昼間に電気を使うことは、太陽光で発電した電気を無駄なく使うことにもつながります。家計のためのやりくりが、そのまま再生可能エネルギーをいかす暮らし方になる。ここに、市場連動型プランのもうひとつの面白さがあります。電気の使い方そのものを見直したいときは、家庭でできる省エネアクションもあわせて参考にしてください。

向いている暮らし・向いていない暮らし

では、市場連動型プランはどんな家庭に合うのでしょうか。目安は次のとおりです。

  • 向いている暮らし:在宅勤務などで昼間に電気を使う、家電のタイマーや蓄電池・電気自動車で使う時間を動かせる、価格をこまめに確認するのが苦にならない、電気代の月ごとの変動を家計で受け止められる
  • 向いていない暮らし:電気の使用が夕方から夜に集中する、冬に電気暖房をたくさん使う、毎月の電気代を一定にしておきたい、価格を気にしながら暮らすことがストレスになる

共働きで日中は家にいない、子どもの帰宅後に照明や暖房をまとめて使う、という家庭は、市場連動型の「安い時間帯」をいかしにくいこともあります。値段の安さだけでなく、価格を気にする手間まで含めて、心のゆとりを保てる選び方かどうかを考えてみてください。

選ぶときに確かめたいこと

  • 単価の決まり方:市場価格に何が上乗せされるのか、基本料金はあるか
  • 高騰への備え:上限の有無、価格のお知らせ、プラン変更や解約の条件
  • 電源の中身:市場連動型かどうかと、電気の環境負荷は別の話です。「再エネ100%」とうたうプランでも、電源そのものが再生可能エネルギーなのか、非化石証書を使ってCO2排出を「実質」ゼロとしているのかで意味が変わります

電気料金は、住んでいる地域や使用量、季節によって大きく変わります。検討するときは、検針票やWeb明細にある過去1年分の使用量を手元に用意し、各電力会社の公式サイトの料金シミュレーションで、いまの固定単価型のプランと比べてみるのが確実です。環境負荷の低い電気を無理なく選ぶ考え方は、ゼロウェイストな暮らしの始め方(電気編)でも紹介しています。

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