RSPOとは・意味

RSPO(パームオイルフリー)とは

RSPOは、Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)の略で、2004年に設立された持続可能なパーム油の生産と利用を促進する非営利組織です。

パーム油の原料となるアブラヤシの生育には、赤道周辺で一定以上の雨量が必要とされるため、東南アジア、アフリカ、中南米の国々などで農園開発が行なわれてきました。その過程で多くの熱帯林が伐採され、焼き払われる問題が起きており、環境への影響に配慮した持続可能なパーム油を求める世界的な声の高まりに応え、RSPOは設立されました。

RSPOでは、法制度に違反していないだけでなく、経済的に存続可能であり、環境的に適切で社会的に有益であることが持続可能なパーム油の生産に必要であると考えており、原料のアブラヤシを栽培する農園から最終製品ができるまでの全工程においてその考え方に則って行われているかどうかを第三者機関が調査し、認証する制度を設けています。

2004年4月、世界自然保護基金(WWF)、パーム油産業に関わるAarhus United UK Ltd.(英油脂企業)、スイスの小売企業Migros(ミグロス)、マレーシアパーム油協会、多国籍企業のユニリーバなどにより設立されました。本部はマレーシアの首都クアラルンプールにあります。

パーム油とは

パーム油(Palm Oil)とは、アブラヤシから採れる植物油のこと。カップ麺、お菓子、パンなどの加工食品や、化粧品・パーソナルケア用品、洗剤、医薬品などの消費生活用製品からバイオ燃料に至るまで幅広く利用されています。

パーム油は、単位面積当たりの収量が他の植物油脂に比べて非常に高く、安価です。そのため、1990年代から急速に需要が伸び、今では大豆を抜いて世界で生産される植物油脂のトップとなっています。

用途が広いパーム油の主な消費国は、インドネシア、インド、EU27カ国、中国です。日本は80.5万t(2019年推計値)で世界第17位ですが、年々微増傾向にあります。今後、世界の人口増加やアジア諸国の所得水準の上昇などを考慮すると、需要は増加し続けると考えられます。

パーム核油との違い

パーム油は、アブラヤシの果肉部からしぼり取られる油脂ですが、パーム核油は果皮の中の種から得られます。また、パーム油の主成分がパルミチン酸であるのに対し、パーム核油はラウリン酸を豊富に含み、飽和脂肪酸が主な成分です。

【参照サイト】パーム核油
【参照サイト】RSPO認証について

ヤシ油との違い

ヤシ油は、ココナッツの実から採れるココナッツオイルで、食用のほか洗剤やシャンプーなどに使われます。パーム核油に似た特性を持ち、約50%のラウリン酸とミリスチン酸、パルミチン酸、カプリル酸など飽和脂肪酸で構成されています。

パーム油の問題

パーム油作りに適した湿潤な熱帯地域であるマレーシアやインドネシアでは、アブラヤシ農園が急速に拡大しました。その結果、熱帯雨林の伐採や生物多様性の損失、土地をめぐる先住民との紛争、劣悪な労働環境など多くの環境問題や課題を抱えています。

こうした背景からRSPOが設立され、「持続可能なパーム油が標準となるよう市場を変革する」ビジョンを掲げています。

RSPOの8つの原則

RSPOには、8つの原則と基準が定められていて、個々の基準ごとに、具体的指標とガイダンスが示されています。原則と基準の内容は、状況の変化に対応できるように、5年おきに見直しされているのです。

8つの原則は以下のとおりです。

  1. 透明性への誓約
  2. 適用される法令と規則の遵守
  3. 長期的な経済・財政面における実行可能性への誓約
  4. 生産者と搾油・加工時における最善の手法を採用
  5. 環境に対する責任と自然資源及び生物多様性の保全
  6. 生産者や搾油工場の従業員によって影響を受ける地域住民への責任ある配慮
  7. 新規農園の作付けにおける責任ある開発
  8. 主要な活動分野における継続的改善への誓約

【参照サイト】RSPO

RSPOの認証システム

RSPOの認証システムには、P&C認証とSC認証があります。内容は以下のとおりです。

生産段階での認証(P&C認証)

生産現場での基本的認証は、搾油工場と工場に果房を供給するすべての直営農園、契約農園を対象に行います。審査は認証機闘が「7つの原則と40の基準」を中心に、最低3人の審査員が2回にわたって実施。最初の審査では基準とのギャップが特定され、2回目は改善状況を中心にチェックします。

サプライチェーン認証(SC認証)

サプライチェーン認証(Supply Chain Certification System、SC認証)とは、製造・加工・流通過程における認証制度です。認証パーム油(Certified Palm Oil)使用の製品を取り扱う各工程で、SC認証の要求事項をチェックします。

サプライチェーン認証には、以下の4つのモデルがあります。採用するモデルにより、使用できるロゴマークやそれに付記する表記が異なります。

  1. アイデンティティ・プリザーブド(ldentity Preserved、IP)
    認証された単独の農園から、最終製品製造者に至るまで完全に他のパーム油と隔離され、受け渡される認証モデル。そのため認証油を生産した農園を特定できます。
  2. セグリゲーション(Segregation、SG)
    複数の認証農園から得られた認証油からなり、非認証油とは混ぜ合わされることなく、認証油が最終製品製造者まで受け渡される認証モデル。生産農園を特定できませんが、認証農園から生産された原料のみであることが保証されます。
  3. マスバランス(Mass Balance、MB)
    製造過程で、認証油と非認証油が混合される認証モデル。物理的には非認証油も含んではいますが、購入した認証油の数量は保証されています。
  4. ブック・アンド・クレーム(Book& Claim、B&C)
    物理的な認証油の取扱いが伴う上記3つの方式とは異なり、認証油のクレジットが生産者と最終製品製造者・販売者との間でオンライン取引されるモデル。これにより、認証油のサプライチェーンが未整備で調達困難な場合でも、認証生産者を直接的に支援できます。
  5. 日本企業の取り組み

    2019年8月末時点で、RSPOの正会員は102社、準会員は55社です。精油メーカーの不二精油株式会社や食品メーカーの日清食品ホールディングス株式会社などのRSPO正会員は、認証油に100%切り替える目標を掲げています。

    【参照サイト】RSPOメンバーリスト
    【参照サイト】RSPO
    【参照サイト】RSPO情報サイト

    RSPOに関するコラム

    RSPOに関するニュース

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