ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは・意味

ソーラーシェアリングとは、田んぼや畑に支柱を立てて高い位置に太陽光パネルを設置し、その下で農業を続けながら発電する取り組みです。日本語では「営農型太陽光発電」、英語では「アグリボルタイクス(Agrivoltaics)」と呼ばれ、ひとつの土地に降り注ぐ太陽の光を、作物と発電で分け合います。

ニュースで「水田のソーラーシェアリング」を見かけて、作物が日陰で育つのか、農業と発電をどうやって両立させているのか、気になった方も多いのではないでしょうか。

このページでは、光を分け合う仕組み、注目される背景、農家にとってのメリットと課題を順に紹介し、最後に私たちの電気や食とのつながりをまとめます。

ソーラーシェアリングとは

ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立てて地面から高い位置に太陽光パネルを並べ、その下で作物を育て続けながら発電する方法です。「シェアリング」は、ひとつの土地に届く太陽の光を、作物の光合成と発電とで分け合うという意味です。英語のアグリボルタイクス(Agrivoltaics)は、農業(agriculture)と太陽光発電(photovoltaics)を組み合わせた言葉です。

野立ての太陽光発電との違い

よく見かける野立て(地面置き)の太陽光発電では、土地を発電専用にしてパネルを敷き詰めます。ソーラーシェアリングは農業を続けることが前提で、発電は田畑の上の空いた空間を使う「もうひとつの収穫」という位置づけです。農地を発電所に変えるのではなく、田畑を田畑のまま使い続けるところがいちばんの違いです。

シェアリングエコノミーとの違い

名前に「シェアリング」と付いていますが、モノや場所、スキルを人と人とで貸し借りするシェアリングエコノミーとは別の言葉です。ソーラーシェアリングで分け合うのは、太陽の光と、土地の使い道です。

ソーラーシェアリングの仕組み

植物の光合成には「光飽和点」があります。光がある強さを超えると、それ以上明るくなっても光合成の量はほとんど増えません。真夏の晴れた日のように光が余っているときは、その分を発電に回しても作物は育つ、というのがソーラーシェアリングの基本の考え方です。

  • 高い位置に設置する:トラクターなどの農業機械が通れて、人が立って作業できる高さにパネルを架けます。
  • すき間をあけて並べる:細長いパネルを間隔をあけて並べるので、太陽が動くにつれて影も移り、畑全体にまんべんなく光が届きます。
  • 作物や土地に合わせて配置する:パネルを垂直に立てて両面で発電するタイプなど、地域の日照や作物に合わせたさまざまな配置があります。

必要な光の量は作物によって違います。強い日差しを和らげたほうが育ちやすい作物がある一方、たくさんの光が必要で、日陰が増えると収量が落ちやすい作物もあります。どの作物を、どのくらいの遮光で育てるか。その設計がソーラーシェアリングの肝になります。

水田でのソーラーシェアリング

水田では、支柱を立てて上にパネルを並べ、その下で稲作を続けます。田植え機やコンバインが入れる高さと支柱の間隔をとり、水を張る田んぼでも傷みにくい基礎にするなど、畑とは違う工夫が要ります。

ソーラーシェアリングが注目される理由

国内では、再生可能エネルギー、とくに太陽光発電を増やしていく流れがあります。その一方で、パネルを置く場所の確保が課題になっています。

山林を切り開いて設置すると、自然環境や防災の面で心配が残ります。すでにある農地の上の空間を使えば、新たに土地を開発せずに発電を増やせる。この点が、ソーラーシェアリングが期待される大きな理由です。

農家にとってのメリット

  • 売電収入や、発電した電気を自分の農業で使うことによる電気代の削減が、農業経営の支えになります。
  • パネルの日陰が、真夏の作物の高温対策になったり、作業する人の暑さをやわらげたりすることがあります。
  • 農業以外の収入源ができることで、農地を手放さずに耕作を続けるきっかけになります。

課題・デメリット

  • 設備の初期費用がかかり、長い期間にわたって点検や修繕が必要です。
  • 作物や遮光の設計によっては、収量や品質が落ちることがあります。
  • 支柱が農作業のじゃまになったり、台風や大雪に耐えられる強度が求められたりします。
  • 発電が主役になって農業が形だけになると、本来の趣旨から外れてしまいます。農地に設備を建てるので農地に関するルールに沿った手続きが必要で、農業を続けることが前提です。具体的な要件は、農林水産省や自治体の公式情報で確認してください。
  • 景観が変わるため、地域の人たちの理解を得ることも大切です。

暮らしの中のソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングは農家や発電事業者だけの話ではありません。電気と食という毎日の選択を通して、私たちも関わることができます。

電気を選ぶときの見方

電力会社には、地域の発電所から電気を調達したり、電源の「産地」を示したりするプランもあります。「再エネ100%」とうたうプランを選ぶときは、電源そのものが再エネなのか、非化石証書を購入してCO2排出を「実質」ゼロにしているのかを確かめましょう。どちらにも意味はありますが、別のものです。料金は地域や使用量によって変わるので、各社の公式サイトのシミュレーションで、自分の家の場合を確認してから選ぶと安心です。電気の見直しのはじめ方はこちらのコラムでも紹介しています。

食を選ぶときの見方

ソーラーシェアリングの田畑で育った米や野菜、それを原料にした加工品もあります。直売所や生産者の発信で、どのように育てられたかを知ってから選ぶと、「同じ土地で食と電気を育てる」取り組みを応援することにつながります。食べることとエネルギーが地域の中で循環する様子を思い浮かべられると、毎日の買い物が少し楽しくなります。

地域の取り組みにふれてみる

地域によっては、発電所の見学会や収穫体験、市民が出資して発電所を支える取り組みが行われています。パネルの下で育つ作物を実際に見ると、ニュースで知った言葉がぐっと身近になるはずです。

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