電気代もサステイナブルに~エアコン回りの工夫と習慣|服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第22回目となる今回は、サステイナブルな寒さ対策についてです。

「ほとんど暖房に頼らない家」

雄一郎:寒波で凍える日が続きますが、今月はわが家の「寒さ対策」について話してみたいと思います。

麻子:昨今は電気代やガス代も高騰していて、なるべくうまく寒さをしのぎたいところですよね。まずは暖房の話からはじめましょうか?

雄一郎:わが家の家づくりについて綴った本『サステイナブルに家を建てる』にも書きましたが、まず大前提として、「なるべく暖房に頼らなくて済む家」を目指した、というのがあります。

麻子:「どの暖房器具がいちばんエコか?」と考えていた時、設計士さんから言われたのが「断熱をしっかり入れれば、うまくいけば室内が15℃を下回らないような家になり、そうなれば、暖房器具がそもそもほとんど要らなくなるかもしれません。それがいちばんエコでは?」という話。「薪ストーブを入れようか、それともペレットストーブか?」と考えていた私たちにとっては、目からウロコの大転換でした。

サステイナブルに家を建てる』(服部雄一郎・服部麻子著/アノニマ・スタジオ刊)

暖房はどのくらい使っている?

雄一郎:実際に住み始めてみて、その効果はばっちり出ています。12月に入ってかなり寒くなってきても、朝、室内は15℃を保っている。さすがに最低気温がマイナスになってくると、たとえば今週は寒波で最低気温がマイナス5~6℃まで下がっていて(南国高知でも山側は意外に寒いんです)、そうなるとやっぱり10~12℃くらいまで下がったりしますが、そのくらいなら「寒すぎる」というほどでもないので、安心感があります。

温度計があると、客観的に把握できて手ごたえがある

麻子:とは言え、15℃以下になると、そのままでは寒いのでエアコンをつけますが、設定温度はあくまで20℃。朝ごはんを食べたり、食器を洗ったりしているうちに日が昇って、朝日が差し込んできたら、もう消してしまいます。

雄一郎:晴れていれば、そのまま夜まで。日の光だけで室温は20℃を超えて、日中は真冬でも暑いくらい。暖房は夜までまったく必要ありません。夜も、昼間の暖気が保たれるのか、結構遅い時刻までまったくエアコンをつけないで済む日が多いですね。

麻子:「あれ、寒いな…」と思ったら夜の11時、とかね(笑)。そんな時は、いっそ寝てしまうのがいちばんいい。

雄一郎:もちろん、晴れない日はその限りにあらず、です。そういう日は日中もエアコンをつける。でも、断熱がいいと、「ずっとつける」感じにはならなくて済みますね。暖かさが保たれるので…。

晴れた日中は、この通りポカポカ。むしろ日よけのカーテンをするくらいです。photo @kettle_photo

エアコン1台でやりくり

麻子:そんなわけで、今の家では「基本はエアコン1台」でやりくりできています。しかも「基本は朝晩だけ」。

雄一郎:これは、うちが「わりにリビングに集まる家族だから」というのもありますね。エアコンがあるのはリビングの側で、家の反対側の寝室サイドには暖房は一切なし。日当たりもリビングほどよくないので、そちらはさすがに寒い。

麻子:でも日中はほとんど使わないから(笑)。

雄一郎:子どもたちもあんまり「寒い」って文句言わないね。観念してるのか、あるいは鈍感なのか…(笑)。うちの子たちは、基本はリビングで過ごしているけれど、「タブレット時間」は自室に引っ込むことが多い。そんな時は布団にもぐり込んだり、各自ゆるやかに工夫しているみたいです。

麻子:下手に文句言って、「じゃあタブレット禁止!」みたいになるのを恐れてるのかも(笑)。

雄一郎:週末に同級生が遊びに来た時なんかは、さすがに時間も長いので、ふだんしまってあるパネルヒーターを出してきて、つけてあげたりもします。「電気代高いから、この場を離れる時は必ずコンセントも抜いてね!」って口うるさく念を押して(笑)。でも、子どもたちは気づけば外で鬼ごっこしてたりするから、本当は要らないのかなぁ…。

エアコンの暖気がしっかり部屋全体に回るように、ファンの併用は必須です

気になる電気代は?

麻子:当初は、寝室側にもエアコンをもう1台据え付ける予定でした。でも、最初からつけずに、「まずは住んでみて、必要だったら後からつけても遅くないのでは?」ということで、リビングの1台だけでスタート。そのまま2年が過ぎました。

雄一郎:無理する必要はないけれど、エアコンは買うと高いし、電気代も高いし…。そんな意味では、今のバランス、悪くないと感じています。

麻子:電気代は、うちは自然エネルギーのハチドリ電力で、これまでは大体、月によって4000~7000円という感じでした(使用量は150~270kWhくらい)。ここ半年ほどの急激な電気代の高騰で、使用量はほとんど変わらないのに、先月と今月の電気代は8000~10000円くらいまで上がっていてショック…!(※その後、電気料金の調整もあって、再び5000円以下の水準まで戻りました) でも、もし断熱がしっかりしていなかったら、もっと高くなっていたはずなので。そういう意味では、「この程度で済んで、まだよかった」と思います。

雄一郎:石油燃料のリスクがこんな形で迫ってくるなんて、さすがに驚きました。その点では、やっぱり薪ストーブの人たちは最強ですよね。後編では、暖房以外の様々な寒さ対策の工夫についてお話ししたいと思います。

【⬇︎後編はこちら】

電気代にも有効!~サステイナブルな寒さ対策|服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア


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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola