根っこが出てきた!切り花から鉢植えに、植物を 2度楽しむ秘訣とは?

植物を鉢植えに移植

「花瓶に生けていたら根っこが出てきた!」そんな光景に出くわしたことがある人もいるかもしれません。実はこれ、切り花をより長く楽しめる絶好のチャンス。本記事では、切り花のセカンドライフに注目し、根が出てきたときに試してみたい鉢への植え替え方やそのコツなどについて紹介。植物に囲まれて暮らすグラフィックデザイナーの金谷麻衣さんに教えてもらいました。

教えてくれる人

金谷麻衣さん

Photo by Chiyuki Arita

金谷 麻衣 (かねや まい)

多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、広告制作会社勤務を経て、アパレルやインテリアメーカーのインハウスグラフィックデザイナーに。のちにフリーランスへ転身。祖母が花屋を営んでいたこともあり、小さいころから植物好き。現在は更地だった自宅の裏山を開墾し、季節の植物や野菜を育てている。趣味は陶芸とキャンプ。よく行く花屋は、Little Shop of flowers、ワールドフラワー、TRUNK (HOTEL) の「SOCIALIZING FLOWER MARKET」など。Instagram:@_life_is_flowers_

切り花から根が生えてきた! さぁ、どうする?

「どんなに世話していても、花の命は短いものです。しかし、中には切り花として購入したものでも葉っぱがツヤツヤ長持ちしたり、切り口が膨らみ始めて根を伸ばし始めたりと、「まだまだ成長するよ!」と教えてくれる植物に出会うことがあります。そういう成長の兆し、見つけて大切に育ててあげたいですよね。(金谷さん、以下同様)」

発根した植物

そう話す金谷さんがもってきたのは発根中の植物たち。花瓶で楽しんでいたところ、気がついたら根が出ていたのだそう。(中央のエアープランツは載せているだけ) Photo by Mai Kaneya

「根が出た植物へのおすすめは鉢や庭などへの植え替えです。土に植えても支えてくれそうなほどの長さまで花瓶の中である程度根を育て、花殻があればそれを取り除き植え替えます。切り花として鑑賞していたものを今度は観葉植物としてより長く楽しむことができます。」

根が生えた植物を鉢植えへ移植

金谷家の窓辺に置かれた植物たち。これらは元々ブーケに入っていたグリーンなのだそう。画像奥と中央は毎週月曜日に渋⾕区・神宮前のブティックホテル、TRUNK (HOTEL) にて開催されているウェディングで不要になった装花をリユースして販売する「SOCIALIZING FLOWER MARKET」にて購入した、本来は廃棄予定だったドラセナたち。 Photo by Chiyuki Arita

花のある暮らし

ヒヤシンスの隣で葉を広げるドラセナ。
購入して1〜2ヶ月経ったこのときすでに根っこが! Photo by Mai Kaneya

花のある暮らし

左は植え替え直後のドラセナ。「植え替えるときは枝葉の伸び方を見てバランスのよさそうな鉢を選びます。ドラセナは葉が長く、まっすぐ上に成長するので細長い深めの鉢を選びました」と金谷さん。成長に合わせて鉢を大きくしていくことも植え替えた株を長く楽しむ秘訣なのだそう。 Photo by Mai Kaneya

ブーケ購入後

「SOCIALIZING FLOWER MARKET」で購入したブーケ。ここは普段は手に取らないような変わった種類の花にリーズナブルにチャレンジできる絶好のチャンスなのだとか! Photo by Mai Kaneya

購入したブーケ

こちらは「日比谷花壇の花の定額制アプリ・ハナノヒ」で購入したという切り花。おうち時間を楽しみたかった時期に利用されていたとのことで、当時金谷さんが入っていたのは “ハナハナプラン” という月額8700円で月6回、1回3300円分の花が購入できるサービス。(合計でおおよそ19,800円分の花が届くという計算に)! この他にもいろいろな金額設定のプランがあり、こういったサービスを活用しながらさまざまな種類の花に触れることで、長持ちしてくれる品種や水換えを頻繁にしなくてはならない品種など、植物の特性が見えてきたのだそう。 Photo by Mai Kaneya

花のある暮らし

(画像左) 「日比谷花壇の花の定額制アプリ・ハナノヒ」で購入したカランコエ。花が咲き終わり始めたころに根っこが出始めたのだそう。「花瓶の中で根っこが増え、これくらいモサモサしていれば土に植え替えるタイミングです。水捌けのよい環境で丁寧に育てればまた花を咲かせてくれるかも!と、実は期待しています。少しの工夫で切り花として鑑賞していたものを観葉植物としてより長く楽しむことができます。」 (画像左) 後列の背が高いものは花が咲いていたときのカランコエ。花はオレンジ色だったそう。 Photo by Mai Kaneya

根が生えてきやすいのはどんなもの?

「根っこは必ずしもすべての切り花から生えてくるわけではありません。茎が丈夫な個体だったり、室内の環境も重要です。根を出すタイミングも植物によってまちまちです。ドラセナは大体2か月ほどはかかりましたが、またこれも環境によって大きく変わります。根が生え始めようとしているものは茎の切り口のあたりがボコボコと膨らんでくるのが合図です。少し気持ち悪いですが、もし切り口のあたりに膨らみを見つけたら目をかけて見守るようにしましょう。また、成長が進んでいる植物の花瓶の水は腐敗が遅いのも特徴です。とはいえ、こまめな水替え・花瓶のぬめり取りは成長の手助けになるので忘れずに手入れするようにしましょう。」

切り花から根が生え始めるところ

今年の1月にワールドフラワーで購入したという輸入物の紫陽花。なんと花瓶の中で半年以上ももち、今になって茎の先がボコボコしたきたのだとか。金谷さん曰く「奇跡の紫陽花!」 Photo by Mai Kaneya

成功させるコツは?

「根を生やすためにいちばん大切なのは、鑑賞する際に愛情をもって手間暇かけてやるということです。茎を腐らせてしまうと根は生えようがありません。水と茎を清潔に保ち、花が咲くものは花が枯れたら花殻をこまめに取り除き、涼しく風通しのよいところで鑑賞するようにしていれば、もしかしたら根を生やすものがあるかもしれません。わが家の子どもたちは植物に話しかけながら水を変えたり水切りしたりしている私を見て笑っています。まるで子どもを世話しているように見えるのだとか。」

「寿命がグッと延びる切り花の生け方」を紹介した記事はこちらから。

植物を鉢植えに移植

金谷さんが手に持っているのはネオレゲリア・パウシフローラ。株分けしたのが右側の鉢植え。 Photo by Chiyuki Arita

 

発根促進剤 ルートン

バラなどの切り花は葉っぱや節があれば挿木で増やすこともできるそう。増やしてみたいものに合わせて必要な栄養剤などを使用して選択肢を広げてみるのも新たな楽しみ方。挿木にチャレンジするときは、ルートンなどの発根させるための促進剤を茎の先端に塗って直接土に植えるという方法も。 Photo by Chiyuki Arita

発根したドラセナ

こちらはいただいたブーケに入っていた切り花より発根し土に植え替えたた初代ドラセナだそう。 Photo by Mai Kaneya

エピデンドルム

根が生えた後水苔に植え替えたというエピデンドルム。「水をやっているのですくすく成長しています。まだ花は咲いていないのでいつかピンクの花を咲かせてくれるかも!と楽しみにしています。」そういいながら、切り花として購入したときの花の写真を見せてくれた金谷さん。この花が咲いたらちょっと感動ですよね! Photo by Mai Kaneya

「もしかしたら根が生えてくるかも!」次花を生けるときはぜひそんな密かな目標をもって切り花を楽しんでみるのはいかがでしょう。

次回は「(仮) 自分でつくるキエーロでゴミが格段に減る! コンポストとの違いにも注目」をお届けします。

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アリタ チユキ

外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経てライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。週一で台湾朝ごはんとヴィーガンスイーツのポップアップを開催中。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。国際薬膳師。中医薬膳師。家庭薬膳アドバイザー。ワインエキスパート。