断熱等級(断熱等性能等級)とは・意味

断熱等級とは、住宅の断熱性能の高さを等級(数字)で表したもので、正式には「断熱等性能等級」といいます。数字が大きいほど室内の熱が外へ逃げにくく、少ないエネルギーで快適な室温を保ちやすい住まいであることを示します。

引っ越しや住まい選び、冬の電気代が気になって、この言葉を調べた方も多いのではないでしょうか。このページでは、等級を決める指標(UA値など)の意味、等級4・5・6・7の違いの読み方、よく混同される「気密」との違い、電気代とのつながりを説明します。最後に、持ち家・賃貸のどちらでもできる「熱を逃がさない」工夫を紹介します。

断熱等級とは

断熱等級(断熱等性能等級)は、住宅の「外皮」がどれだけ熱を通しにくいかを段階で表す指標です。外皮とは、屋根や天井、外壁、床、窓・玄関ドアなど、室内と屋外を隔てている部分のことです。等級の数字が大きいほど断熱性能が高く、冬は暖房の熱が外へ逃げにくく、夏は外の熱が室内に入り込みにくい家ということになります。

部屋のあたたかさは、暖房器具の能力だけで決まるわけではありません。同じエアコンを同じ設定で使っていても、熱がどんどん逃げていく家と、熱をため込める家とでは、室温の保ちやすさも、かかる電気の量も変わります。断熱等級は、家そのものが「熱を抱きしめておく力」を数字で示す物差しだといえます。

「気密」との違い

断熱とよく一緒に語られるのが「気密」です。断熱が壁や窓を通り抜ける熱を減らす性能であるのに対し、気密はすき間から出入りする空気を減らす性能です。気密性はC値(相当すき間面積)という別の指標で表され、数値が小さいほどすき間が少ない家を意味します。断熱性能が高くても、すき間が多いと暖めた空気が外へ漏れ、冷たい外気が入り込んでしまいます。快適さを考えるときは、断熱と気密の両方を見ることが大切です。

設備の省エネ性能との違い

断熱等級が表すのは、建物の外皮の性能です。エアコンや給湯器、照明などの設備がどれだけ効率よくエネルギーを使うかは、断熱等級とは別の物差しで評価されます。「よい設備を入れること」と「熱を逃がさない器をつくること」は、別々に考える必要があります。

断熱等級を決める指標(UA値とηAC値)

断熱等級は、主に次の2つの指標をもとに判定されます。どちらも「数値が小さいほど性能が高い」という点を押さえておくと、住宅のパンフレットや性能表示が読みやすくなります。

UA値(外皮平均熱貫流率)

UA値は、住宅の内側と外側の温度差が1℃あるとき、外皮全体から逃げていく熱の量を、外皮の面積で平均した値です。単位はW/㎡Kで表します。家全体の「熱の逃げやすさ」を示す数字なので、UA値が小さいほど断熱性能が高いことになります。窓の性能、壁や天井に入れる断熱材の種類や厚みによって、この値は大きく変わります。

ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)

ηAC値(イータ・エーシー値)は、夏の冷房期に、窓などから入ってくる日射の熱がどれくらいあるかを示す値です。ηAC値が小さいほど日差しによる熱が室内に入りにくく、夏の冷房負荷を抑えやすくなります。断熱というと冬のイメージが強いかもしれませんが、断熱等級は夏の過ごしやすさにも関わっています。

地域によって基準が違う

寒い地域と温暖な地域とでは、必要な断熱性能が異なります。そのため断熱等級の基準値は、気候に応じて分けられた地域ごとに設定されています。同じ等級でも、地域によって求められるUA値が違う点に注意が必要です。

等級4・5・6・7の違い

等級の数字が上がるほど厳しく(小さく)なるのは、主にUA値の基準です。たとえば、国土交通省の表で東京・大阪などの例として示されている6地域では、UA値の基準は等級4で0.87、等級5で0.60、等級6で0.46、等級7で0.26(単位はW/㎡K)と、等級が上がるごとに小さくなります。同じ表では、等級4が国の省エネ基準、等級5が誘導基準の水準として示されています。一方、ηAC値の基準は、5〜7地域では等級4から等級7まで同じ値です(6地域は2.8)。つまり、上の等級ほど求められるのは、おもに「熱を逃がしにくい」性能だということです(国土交通省「断熱性能」)。住まいを比べるときは、等級の数字だけでなくUA値もあわせて見ると、同じ等級の中での性能の差まで読み取れます。検討している住まいがどの地域区分で評価されているかは、住宅性能の評価書や住宅会社・不動産会社の説明で確認しましょう。

断熱と電気代のつながり

冬に部屋の熱が外へ逃げると、暖房はその分を補おうと動き続けます。つまり、熱が逃げやすい家ほど、同じ室温を保つために多くの電気(やガス)を使うことになります。断熱性能を高めることは、暖房の「出力を上げる」のではなく、「そもそも熱を逃がさない」ことでエネルギーの使用量を減らすアプローチです。

電気の使用量が減ると、電力量料金だけでなく、再エネ賦課金のように使用量に応じてかかる費用も小さくなります。なお、電気代は地域や契約プラン、使用量、季節によって変わります。具体的な金額は、検針票や契約中の電力会社の公式サイトの料金シミュレーションで確認してください。

環境面でも、電気を使わずに済んだ分、発電にともなうCO2の排出も減らせます。部屋のあたたかさを保ちながら、使うエネルギーを少しずつ減らしていけます。

暮らしの中の断熱等級

住まいを選ぶときの見方

新築や購入を検討するときは、販売資料や住宅性能の評価書に断熱等級やUA値が記載されているかを確認しましょう。数字の大きさだけでなく、どの地域の基準で評価されたものかもあわせて見ると、比較しやすくなります。

賃貸住宅では、断熱等級が書かれていないことも珍しくありません。その場合は、内見のときに次のような点をチェックすると、住み心地のヒントになります。

  • 窓ガラスが二重(複層ガラス)になっているか、窓枠が熱を伝えにくい素材か
  • 窓まわりや北側の壁に、結露やカビの跡がないか
  • 窓やドアを閉めたときに、すき間風を感じないか

賃貸でもできる「熱を逃がさない」工夫

家の中で熱の出入りが大きいのは、壁よりも薄い窓まわりです。建物の断熱等級そのものは変えられなくても、窓とすき間を中心に手を入れることで、体感温度は変えられます。原状回復しやすいものを選べば、賃貸でも取り入れやすい工夫です。

  • カーテンを見直す:厚手で、床まで届く丈のカーテンにすると、窓から伝わる冷気が部屋に流れ込みにくくなります。夜は早めに閉めるのもポイントです。
  • 窓に断熱シートを貼る:貼ってはがせるタイプなら、賃貸でも使いやすくなります(貼る前にガラスの種類と注意書きを確認しましょう)。
  • すき間をふさぐ:窓のサッシやドアのすき間に、すき間テープを使うと、冷たい外気の侵入を抑えられます。
  • 足元を冷やさない:床からの冷えには、ラグやカーペットを敷くのが手軽です。

持ち家なら、窓から考える

持ち家でリフォームを考えるなら、まず窓から考えるのがおすすめです。今ある窓の内側にもう一枚窓を付ける「内窓」や、断熱性の高い窓への交換は、熱の逃げ道を大きくふさぐ方法です。費用や工事の内容は住まいによって変わるため、複数の会社に相談し、見積もりを比べて判断しましょう。

「寒いから暖房を強くする」前に、「熱を逃がさない」ことから始める。この順番を意識するだけで、エネルギーとの付き合い方は変わっていきます。家庭でできる省エネの工夫をまとめたコラムでも、具体的な方法を紹介しています。また、使う電気の量を減らしたうえで、電気の選び方まで考えてみたい方は、電気とゼロウェイストな暮らしについての記事もあわせてご覧ください。

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