海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第52回目となる今回は、「ゼロウェイストの合言葉、5つのR」です。
5つの「R」
麻子:今月は、ゼロウェイストの合言葉「5つのR」についてお話ししてみましょう。
雄一郎:「3つのR(=3R)」はよく知られているよね。「Reduce(リデュース/減らす)」「Reuse(リユース/再利用)」「Recycle(リサイクル)」の頭文字です。
麻子:最近は、さらに数を増やして、「6R」や「7R」という言い方も耳にするよね。
雄一郎:今日はその辺も見ていきましょう。まずは、ベア・ジョンソンさんの提唱した「5つのR」を順に見ていきます。上から順に、「Refuse(リフューズ/断る)」「Reduce(リデュース/減らす)」「Reuse(リユース/再利用)」「Recycle(リサイクル)」「Rot(コンポスト)」。
麻子:順番にも意味があって、「上にいくほど大事」なんだよね?
雄一郎:そうそう、まずは「リフューズ/断る」。それができない場合は「リデュース/減らす」。それも難しい場合は「リユース/再利用」・・・というように、「上から順に取り組んでいきましょう」という趣旨のものです。
リフューズ=断る、受け取らない
雄一郎:まずはひとつめの「Refuse=リフューズ(断る、受け取らない)」。
麻子:たとえば、「スーパーのレジで袋を断る」とか、「使い捨ておしぼりを断る」。
雄一郎:「過剰包装を断る」なんかもあるよね。
麻子:これ、「口で断るだけ」なんだけど、わりに日本人にはハードルが高い…
雄一郎:そうそう!欧米だったら全然平気なはずなのに、なぜか日本だと気を使ってしまう部分があって不思議。本当はそんな必要ないはずなんだけどね。
麻子:でも、たとえば以前紹介したとおり、わが家はネット通販を利用する際、備考欄に「ごみを減らしたいのでプラスチック製の緩衝材は入れないでください」と書くんだけど、これは簡単。気軽に「リフューズ」できるのでおすすめです!
雄一郎:そのほか、意外にやっている人が少ないのは「不要な景品を断る」や「ダイレクトメールを断る」。
麻子:これらのリフューズは、「捨てる手間」も省けて、「相手のコスト」も減る。ごみを減らす以上の効果があるので、どんどんやっていきたいですね。
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リデュース=減らす
雄一郎:次は「減らす」。使う量や頻度を減らす。理想はゼロでも、なかなかそうもいかないから、せめて「減らす」。
麻子:「ペットボトルを買う頻度を減らす」とか、「車を使う回数を減らす」みたいな感じだね。
雄一郎:最近は、企業もペットボトルや瓶の軽量化を進めているけど、それもこういった観点から。
麻子:あとは、買い物自体の回数や量を「リデュース=減らしてしまう」のも、ごみ減量に効果があるかも!
雄一郎:「ゼロウェイスト」というと、どうしても「ごみは出るからムリ!」となりがちだけど、「減らすだけでいい」と捉えると一気に視界が広がるよね。
リユース=繰り返し使う/再利用する
麻子:次はリユース。使い捨てず、できるだけ繰り返し再利用する、という考え方。
雄一郎:たとえば、中古品の活用や、フリーマーケット、洋服などのお下がりなど。最近は「制服」のリユースも進みつつあるね。
麻子:そのほか、使い捨てのボールペンではなく、替え芯式のボールペンを使うとか、使い捨ての紙皿やプラスチックストローを使わずに、繰り返し使える食器やガラスストローを使うとか…。↓こちらの記事でも取り上げた一升瓶などもリユースの好例ですね。
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雄一郎:現代は便利な使い捨てが増殖してしまっているから、「使い捨てでない=不便」というイメージが広がっているかもしれないけど、僕の実感としては、「使い捨てでない=見た目もよく、使いやすい」。たとえば、プラスチックのストローとガラスのストローとでは、口当たりがガラスの方が断然いい。ドリンクの味も全然ちがう。
麻子:そういうクオリティにまで目を向けられると、リユースも単に「ごみを減らす」以上のメリットをもたらしてくれそうですね。
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リサイクル=分別して資源化
雄一郎:お次は、言わずと知れた「リサイクル」。たとえば、アルミ缶が回収されて、またアルミ缶に生まれ変わる。牛乳パックがトイレットペーパーになる。
麻子:燃やすごみや埋めるごみに入れずにしっかり分別して、できる限り資源化するのはとても大事。
雄一郎:ただ、忘れてはいけないのは、リサイクルにはエネルギーがかかるということ。トラックで回収して、リサイクル工場まで運んで、洗浄したり、溶かしたり。分別したものが「そのまま魔法のように新しいものに生まれ変わる」わけではないから。
麻子:特にプラスチック類はリサイクルがむずかしく、なかなか同じものに生まれ変わらないんだよね?
雄一郎:そうそう、プラスチックのリサイクルは、品質が落ちてしまってせいぜい2〜3回までしかリサイクルできない「ダウンサイクル」なので、資源が循環せず、結局すぐにごみになってしまう。リサイクル率が高いと言われるペットボトルも、「分別すればまた新しいペットボトルに生まれ変わる」と思っている人が多いけど、その割合はまだ半分にも満たないみたい(※ここ数年で上昇傾向ではあります)。
麻子:「リサイクルすれば万事解決」ではなく、「リサイクルの前にまずは減らす」ことが大切。だからこそ、リサイクルは重要ではあるけど、5つのRの中で下の方に位置しているわけですね。
【関連ページ】ごみの分別と捨て方の基本①「燃えるごみ」と「紙類」のポイント
【関連ページ】ごみの捨て方・分別の基本④ 容器包装プラスチックのリサイクルの実際
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ロット=堆肥化
雄一郎:最後にこちら。生ごみや草木などの「堆肥化」。つまり、コンポストですね。
麻子:家庭のコンポストだけでなく、日本ではまだまだ少ないけど、欧米では自治体が生ごみを分別回収して堆肥化している事例もたくさんあるみたい。
雄一郎:日本では、生ごみはほとんど燃やすごみとして焼却されているので、本当にもったいない。堆肥化に限らず、家畜の飼料化、またバイオガス化など、いろいろな有効活用の可能性があります。
麻子:「コンポスト」ってとてもエコなイメージだけど、何で5Rのいちばん下なの?
雄一郎:それ、実は僕も疑問(笑)。個人的には「リサイクル」より上でいい気がするんだけど…。
ただ、たぶん、リサイクルは一応「資源がまた資源として循環していく」という意味だから(実際にはプラスチックのリサイクルなど、そのようになっていないケースも多いのですが)。対する「ロット」は、生ごみを土に戻してしまうと、資源の流れとしては一方通行になってしまい、「循環にならない」からじゃないかな。広い意味では、土に養分が戻ることで、また野菜が育ち、食べ物として戻ってくるとも言えるとは思うんだけど。
麻子:なるほどね。後編では、「まだまだ広がる新しいR」についてお話ししてみましょう。
【関連ページ】生ごみが激減するコンポストとは?
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服部雄一郎 服部麻子
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