海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第46回目となる今回は、「よりよい循環のためのちいさな工夫~買い物編」です。
調味料はなるべく一升瓶で買う
雄一郎:2カ月にわたって、わが家のごみ箱の置き方や、雑がみの分別、容器包装プラスチックの分別についてお話ししてきました。今日は、そのほかの細々とした、よりよい分別や循環のためのちいさな工夫やアイデアをご紹介してみたいと思います。
麻子:まず、心がけていることのひとつは、「調味料などをなるべく一升瓶で買う」。
雄一郎:日本酒、お酢、醤油、みりんは、一升瓶で買うことが多いよね。
麻子:「一升瓶なんて多すぎる/使いにくい」っていう声も聞くけど、使いやすいサイズの瓶に入れ替えて使っていて、特に不都合は感じないかな。一升瓶の方が割安だし、しょっちゅう買い足さなくていいから安心。あと、一升瓶で売っている調味料は質のいいものが多い!
雄一郎:老舗は一升瓶のものが多い印象。
麻子:ということで、いろんな意味で一升瓶が気に入ってます。もちろん、資源的にも。普通のガラス瓶は破砕してリサイクルされるけど、一升瓶はそのまま洗浄してリユースされるから。
雄一郎:そうそう、より望ましい循環の形だね。スーパーや酒屋さんに持っていくと、5円くらいかな、回収料としてお金をくれるのも、地味にうれしい。ちゃんと資源循環がマーケットとして成り立っている証拠だしね。うちは毎回、子どものプチお小遣いにしてます。子どもが小さいと、5円でもすごく喜ぶ。教育的効果も抜群。
麻子:もし、一升瓶をほかのガラス瓶に混ぜて資源回収に出してしまっている人がいたら、もったいないので、ぜひスーパーや酒屋さんに持っていってください!そこで買った瓶でなくても引き取ってくれることもあるので、聞いてみたらいいかも。
一升瓶だけじゃない「リターナブル瓶」
麻子:一升瓶以外にも、洗って再利用される「リターナブル瓶」はいろいろあるよね。
雄一郎:うちがよく利用するのは、「瓶ビール」。まあ、最近はあまりビールも買わないんだけど。でも、買うなら、ハートランドの中瓶を選ぶことが多いです。
麻子:一升瓶とまったく同じように、スーパーや酒屋さんで有料回収してもらえて、洗浄してリユースされるんだよね。
雄一郎:瓶ビールは、味も缶ビールよりずっといいし。クラフトビールの小瓶は残念ながらリターナブルでないものがほとんど。今後はそれらもリターナブルになっていくといいんだけどな…。
麻子:あとは、生活クラブ生協など、自然系の生協は、調味料や牛乳などに「リターナブル瓶」(リユース瓶)が導入されている場合が結構あるよね。
雄一郎:いろいろな調味料にあらかじめ同じ規格の瓶を使っていて、すべてまとめて再利用されるという、すばらしい仕組み。このためだけにでも生協に入る価値があると思ってしまう。一般社会にももっと広がってほしい仕組みです。
麻子:生協は「注文したものが翌週届く」方式なので、「ちょっと不便」と感じる人もいるみたいだけど、計画的に買い物できると、無駄な買い物が減るので、むしろメリットと捉えることもできる。
雄一郎:「あるものでやりくりしよう」と思えるから、すごく本質的とも言えるよね。高品質のものが比較的手ごろに買えるのもありがたいところ。うちは生協のお陰で本当に買い物の形が変わった。
日々の買い物では…?
麻子:日常的には、日本はスーパーの商品がほとんどパッケージ済みなので、欧米と違って、マイ容器を使った買い物などがしにくく、難しさを感じることも多いみたいだけど…。
雄一郎:たしかに。うちもそこは「妥協しつつ」だよね。でも、できることはある。たとえば、「パッケージゼロ」は無理でも、うちは「過剰包装のもの」や「個包装のもの」は極力買わないようにしてる。
麻子:その程度でも、ごみの量は結構ちがってきますね。
雄一郎:「個包装じゃないと湿気る」というイメージもあるみたいだけど、うちは保存瓶に移し替えることが多いよね。湿気る心配もないし、見た目もいいし、使いやすくて◎。
最近のヒットは「トイレットペーパー」
麻子:最近すごく気に入っているのは、東京・町田市の共働学舎のトイレットペーパー。
雄一郎:完全プラスチックフリーですばらしいよね。48ロール入りなので、一般家庭には多すぎると思うけど、わが家は近所の友人と一緒に買っているので、まったく問題なし。
麻子:むしろ、「買い忘れ」が減って、すごく安心。トイレットペーパーをしょっちゅう買い足さないといけないの、すごくストレス!
雄一郎:共働学舎は福祉法人で、障害者の人たちが作っています。原料も、「雑古紙」を使っているということで、そのあたりも「単なるトイレットペーパー」とは全然ちがう。「エシカルトイレットペーパー」と言ってもいいくらい。
麻子:値段も良心的です。さらに「不揃い品」というB品がよりお得に買えることもあって。ちょっと断面が不揃いなだけで、まったく問題なし。こうして完璧でないものも販売することで、「無駄を出さない」姿勢がすばらしい。こんな事業所が各都道府県にひとつずつあって、ローカルに循環する形になったら理想的だな、と思います。
雄一郎:町田の事業所に直接出向ける人は、びっくりするほど割安に買わせてもらえるみたい。直接購入であれば一つから可能のようなので、お近くの方はぜひ訪ねてみてください!
【後編はこちら⬇︎】
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服部雄一郎 服部麻子
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