生ごみが激減するコンポストとは?服部雄一郎・麻子さんに聞く実践例

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第9回目となる今回は、「コンポスト」について教えてもらいました。

生ごみが激減する「コンポスト」とは?

雄一郎:「コンポスト」は、もともとの英語では「堆肥」とか「堆肥化する」を意味する言葉ですけど、日本語では一般的に家庭でできる生ごみ処理のことを言いますよね。これがすごくおすすめで、「もえるごみ」の半分近くが生ごみであることを考えると、コンポストをやるだけですごくごみが減ります。ゼロウェイストでごみを減らしたいと思ったら、これに勝る強力装置はほかにありません。

日本では全国平均で家庭ごみの8割が「もえるごみ」。コンポストをすれば、その半分近くが一気になくなる計算です。
(環境省統計による近年の傾向を筆者がグラフ化)

麻子:わが家が最初にコンポストをやりはじめたのは15年くらい前。当時はまだあまりコンポストの種類が多くなくて、昔ながらの庭に置くタイプの緑色のプラスチックのコンポストを使いました。その頃は環境意識もまったくなくて、ごみの仕事に配属された雄一郎さんが突然「やってみる!」と言ってやりはじめたんですよね。最初はピンと来なくて「何が始まったの…?」と困惑(笑)。でも、あまりの快適さに私もすぐに一緒にやり始めました。

それまで、生ごみはにおいもするし、水分もあるし、ストレスの多いごみだったのに、庭のコンポストに入れるだけでその問題が消滅してビックリ! 今までのごみ出しは何だったの!?みたいな驚きがありました。

コンポストは全国の多くの自治体が購入費の補助をしているので、ぜひ役所に問い合わせてみてください。
写真は『ゼロ・ウェイスト・ホーム』p.114に掲載のコンポスト比較表。ご自身に合ったものを選んでくださいね。

コンポストは、自分に合ったタイプを選ぶことが大切

雄一郎:ペースがつかめてくると、簡単そのものです。三角コーナーやごみ箱を衛生的に管理して、決められた曜日に、ルール通りにごみ出しするよりもずっと気楽。一般的にはコンポストの方がハードルが高いようなイメージがあるのがもったいないと感じます。

ただ、コンポストにはいろいろな種類があるので、自分に合ったタイプを選ぶのはすごく大切。合わないタイプを選んでしまうとうまく使いこなせないし、逆に、自分に合ったタイプを選べれば、あとはいいことばかりです。みなさん、引っ越しやライフスタイルの変化もあると思うし、長期的にはある程度の柔軟さも必要です。うちも、最初に使い始めたものをずっと使い続けてきたわけではなく、かなり変遷を経てきました。途中、マンション暮らしをした際は、どうしても生活が落ち着かなくてコンポストができなかった時期もありますし…。

麻子:神奈川の葉山に住んでいたときは、借家の庭でちいさな畑をしていたので、「もっと早く生ごみを堆肥にして有効活用したい」と思い、途中からはEMバケツのタイプに移行したことで快適度がアップしました。最初からベストのコンポストにたどり着かなくてもいい。むしろ色々試しながら、その体験を楽しむくらいに気楽に始めるのがおすすめです。実際ごみが消えるのはすごく面白いんですよ!

葉山在住時に愛用していたEMバケツ。
生ごみにぬかなどをまぶし、ぬか漬けをつくる要領で密閉発酵させていき、最後は庭や畑の土に埋めます。
良質の堆肥がつくれます。

雄一郎:EMバケツは、生ごみの量が多い方にもおすすめ。最近はキエーロやLFCコンポストがおしゃれで使いやすく、僕としても広くおすすめしたい機種ではあるのですが、これらは生ごみの量が1日500g以内くらいの一般家庭向きなので、生ごみがたくさん出る方には容量が全然足りません。うちは神奈川にいた時から、季節の素材を生かした料理や保存食づくりをかなりしていたので、生ごみの量がすごく多かった。ソラマメのさや大量とか、トウモロコシの皮大量とか…。量を受け止められるコンポストでないと、うちは無理。

アメリカのコンポスト事情は?

麻子:雄一郎さんのアメリカ留学中の2年間は、大学の家族寮に住んだのですが、広大な敷地の隅にある共同菜園(コミュニティガーデン)を利用していました。その片隅に「コンポストパイル」(=コンポストの山)といって、みんなが剪定した木や枯れ葉や草、生ごみなどを持ち寄って「単に積み上げていた」のが衝撃的で…。何の特別な道具も使わず、「自然に土に還る」ということで、一切の手間もかけられていなくて、合理的だなと思いました。

アメリカの大学寮の共同菜園で麻子さんがやっていた畑。この端っこに「コンポストパイル」がありました。

コンポストを楽しもう!

雄一郎:日本ではどうしても市販のコンポスト容器を「まず買って」「ルール通りに」というイメージが強いですよね。でも、コンポストの概念は本来はもっと広くゆるいです。日本でも「土壌混合法」といって、ベランダにプランターを4つくらい並べて、順繰りに生ごみを土に埋めていくというテクニックを提案している方もいますし、もちろん単に庭に穴を掘って埋めるだけでも生ごみは土に還ります。

市販のコンポストは、サイズも小さく、「狭い中でスムーズに土に還るように」いろいろな工夫やルールが必要になってしまうのですが、本来的には、生ごみは人間が何もしなくても普通に土に還ります。そんな大らかさも忘れずに、コンポストをたのしんでいただけたら、過度な不安もなく、予想外のトラブルにも対処しやすくなると思います。

コンポストのにおいや虫対策はどうしてる?服部雄一郎・麻子さんに聞く実践例」では、うまく使うコツと、わが家が最近はじめた新しいタイプのコンポストについてお話しします。

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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola