食品ロスは家庭だけじゃない。9月29日の国際デーに考えたいこと

食品ロス削減やゼロウェイストをイメージした食材と保存容器

毎日の暮らしの中で、「まだ食べられたかもしれない」と思いながら食品を処分した経験はありませんか。

冷蔵庫の奥で傷んでしまった野菜や、賞味期限が過ぎてしまった食品、食べ切れずに残った料理など、家庭ではさまざまな理由で食品ロスが発生しています。

食品ロスは「もったいない」という気持ちだけの問題ではありません。食べ物を育てるために使われた水やエネルギー、輸送にかかった資源まで無駄になってしまうことから、世界共通の課題として取り組みが進められています。

9月29日は、国連が定める「食料の損失と廃棄に関する国際デー(International Day of Awareness of Food Loss and Waste)」です。

食品ロスを減らす取り組みは、家庭だけに求められているわけではありません。企業や自治体、地域でもさまざまな工夫が進み、暮らしの中で選べる方法は少しずつ増えています。

今回は、国際デーをきっかけに食品ロスについて知るとともに、暮らしの中で無理なく続けられる工夫や、社会で広がる取り組みを紹介します。

9月29日「食料の損失と廃棄に関する国際デー」とは

「食料の損失と廃棄に関する国際デー」は、食品ロスや食品廃棄について理解を深め、世界中で行動につなげることを目的として、国連総会で制定されました。初めて実施されたのは2020年9月29日です。

背景には、世界では十分な食料が生産されている一方で、多くの人が十分な食事を得られていないという現状があります。国際連合食糧農業機関(FAO)は、生産された食料のおよそ3分の1が失われたり廃棄されたりしていると推計しています。

食品ロスは、食料問題だけではありません。食料を育てるために使われた水や土地、エネルギー、輸送時に排出される温室効果ガスなどにも影響するため、気候変動や資源利用とも深く関わっています。

SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」では、2030年までに小売・消費段階での世界全体の一人当たり食品廃棄を半減させることが掲げられています。

国際デーは、家庭だけでなく、生産者や企業、自治体など、食に関わるさまざまな立場の人が食品ロスについて考え、行動するきっかけとして設けられています。

食品ロスは、食卓に届くあらゆる段階で発生している

食品ロスというと、家庭で食べ残した料理や賞味期限切れの食品を思い浮かべる人も多いかもしれません。一方で、食べ物が失われる場面は家庭だけではありません。収穫後の保管や輸送、加工、販売まで、私たちの食卓に届く前にも、さまざまな理由で食料が失われています。

国際デーの英語名には、「Food Loss(食料損失)」と「Food Waste(食品廃棄)」という二つの言葉が使われています。Food Lossは生産や加工、流通の段階で発生する損失を、Food Wasteは小売店や飲食店、家庭などで、まだ食べられるのに廃棄される食品を指します。段階ごとに整理すると、次のようになります。

発生する段階 主な理由の例
生産現場 形や大きさが規格に合わない野菜や果物が出荷されない
流通・輸送 輸送中の破損や品質の低下で販売できなくなる
小売店 販売期限や在庫管理の都合で廃棄される
家庭 買い過ぎ・作り過ぎ、保存方法が合わない、賞味期限への思い込み

つまり食品ロスは、生産から消費まで、食べ物が食卓へ届くあらゆる段階で発生しています。だからこそ、減らすためには一人ひとりの工夫だけでなく、生産者や企業、自治体など、それぞれの立場での取り組みも大切です。近年は、余った食品を必要とする人へ届けるフードドライブや、必要な分だけ購入できる量り売り、食品ロス削減アプリなど、さまざまな取り組みが広がっています。

日本では年間どれくらいの食品ロスが発生している?

缶詰や乾麺など、フードドライブへ寄付する食品をまとめた様子

日本でも、まだ食べられる食品が多く捨てられています。

農林水産省・環境省の推計によると、2023年度の食品ロス量は約464万トンでした。前年度より減少したものの、依然として多くの食品が廃棄されています。

内訳を見ると、事業者から発生した食品ロスは約231万トン、家庭から発生した食品ロスは約233万トンです。家庭由来と事業者由来がほぼ半分ずつを占めており、食品ロスは企業だけでも家庭だけでも解決できる課題ではないことが分かります。

国民一人当たりでは、年間およそ37kgを捨てている計算です。これは、毎日茶碗約1杯分のごはんを捨てているのに近い量にあたります。

数字だけを見ると大きく感じますが、多くは「少しだけ残った料理」や「使い切れなかった野菜」など、毎日の暮らしの中で少しずつ積み重なった結果です。

家庭で食品ロスが生まれる4つの理由

家庭で食品ロスが発生する理由は、一つではありません。忙しい毎日の中で、誰にでも起こり得ることが重なって生まれています。

1. 買い過ぎてしまう

特売やまとめ買いで予定より多く購入し、使い切れずに傷ませてしまうことがあります。

近年は食品価格の上昇もあり、「安いうちに買っておこう」と考える機会も増えました。一方で、食べ切れなければ結果として食費を無駄にしてしまうことにもつながります。

買い物前に冷蔵庫や食品庫を確認し、必要な量を把握しておくだけでも、買い過ぎを防ぎやすくなります。

2. 保存方法が合っていない

野菜や果物は、保存方法によって日持ちが大きく変わります。

冷蔵庫へ入れておけば安心と思いがちですが、常温保存が向いている食材や、冷凍保存した方が長持ちする食材もあります。

例えば、きのこ類は冷凍することで風味を保ちやすくなるものがあります。葉物野菜は立てて保存すると鮮度を保ちやすくなるなど、少しの工夫で長持ちしやすくなります。保存方法を見直すことは、食品ロスを減らすだけでなく、買い物の回数を減らすことにもつながります。食材別の詳しい保存のコツは、秋の食材を最後までおいしく。長持ちする保存方法と食品ロスを減らすコツで紹介しています。

3. 作り過ぎ・食べ残し

家族の予定が急に変わったり、思っていたより食べられなかったりして、料理が余ってしまうこともあります。

余った料理は翌日の献立に活用したり、小分けにして冷凍保存したりすると、最後まで食べ切りやすくなります。「余らせない量を作る」ことも大切ですが、「余っても生かせる工夫」を知っておくことで、食品ロスを減らしやすくなります。

4. 賞味期限への思い込み

賞味期限が過ぎた食品は、すぐに食べられなくなると思われがちです。

一方で、賞味期限は「おいしく食べられる目安」を示したものです。未開封で適切に保存されていれば、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。これに対して消費期限は安全に食べられる期限を示すもので、期限を過ぎた食品は食べないようにしましょう。

表示 意味
賞味期限 おいしく食べられる目安の期限
消費期限 安全に食べられる期限

食品表示の意味を知ることも、食品ロスを減らす大切な一歩になります。

食品ロスを減らすことは、家計にもつながります

食品ロスを減らすことは、環境への配慮だけではありません。買った食材を最後まで使い切ることは、食費を無駄にしないことにもつながります。

特に近年は、食品価格の上昇が続き、日々の買い物で負担を感じる家庭も少なくありません。買い物前に冷蔵庫を確認することや、献立を決めてから必要な分だけ購入することは、食品ロスを減らすだけでなく、家計の見直しにも役立ちます。

「環境のために我慢する」のではなく、「暮らしを整えた結果として食品ロスも減る」。そんな考え方も少しずつ広がっています。

食品ロスを減らすための選択肢は広がっています

量り売りショップで必要な分だけ食品を購入する様子

食品ロスを減らす方法というと、「食べ切ること」を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろん、一つひとつの行動は大切です。一方で、近年は企業や自治体、地域団体などが連携し、暮らしの中で取り入れやすい仕組みも増えています。

必要な分だけ購入する

量り売りの専門店や量り売りコーナーでは、必要な量だけ購入できます。食べ切れる分だけ買えるため、買い過ぎによる食品ロスを減らしやすくなります。

また、食材宅配サービスやミールキットも、必要な量だけ届く商品が増えています。献立を考える負担を減らしながら、食材を最後まで使い切りやすい点も特徴です。

「訳あり品」を選んで生産・流通のロスを減らす

形やサイズが規格に合わず市場に出回りにくい「規格外野菜」や、賞味期限が近い、パッケージに傷があるなどの理由で割安に販売される「訳あり品」を選ぶことも、生産・流通の段階で生まれる食品ロスを減らす方法の一つです。

近年は、こうした食品を専門に扱う通販サイトやアプリも増え、スーパーでは出会いにくい食材をお得に購入できる楽しみもあります。買い物を通じて、生産現場のロスを減らすことにつながります。どんなサービスがあるかは、食品ロス削減に貢献!訳あり品を購入できるフードレスキューサイトおすすめ10選で紹介しています。

余った食品を地域へつなぐ

家庭で食べ切れない缶詰やレトルト食品などは、フードドライブを通じて地域の支援団体へ寄付できる場合があります。

近年は自治体だけでなく、スーパーやコンビニなどにも回収ボックスが設置されるようになり、以前より参加しやすくなりました。食品ロスを減らすだけでなく、必要としている人へ食品を届けられる点も、フードドライブの大きな特徴です。

「てまえどり」を選ぶ

スーパーやコンビニで、販売期限が近い商品から選ぶ「てまえどり」も、食品ロス削減につながる取り組みです。

一人では小さな行動に感じられるかもしれませんが、多くの人が取り組むことで、販売期限切れによる廃棄を減らす効果が期待されています。

世界でも、食品ロスを減らす仕組みづくりが進んでいます

食品ロスは世界共通の課題です。

例えばフランスでは、大規模なスーパーマーケットが、まだ食べられる食品を廃棄するのではなく、慈善団体へ寄付する取り組みが制度として進められています。イギリスでは、小売事業者や食品メーカーが連携し、食品ロス削減を目指す自主的な取り組みが広がっています。

世界各地で共通しているのは、「家庭だけに責任を求める」のではなく、生産者、流通事業者、小売店、消費者まで、それぞれの立場でできることを積み重ねている点です。

食品ロスは、「我慢」ではなく暮らしを整えることから

食品ロスというと、「無駄をなくそう」「食べ切ろう」と考えがちです。

一方で、買い物の前に冷蔵庫を確認することや、必要な量だけ購入すること、保存方法を少し工夫することは、食品ロスを減らすだけでなく、毎日の暮らしを整えることにもつながります。

環境のために無理をするのではなく、暮らしが少し快適になった結果として食品ロスも減っていく。そんな選択肢が、少しずつ広がっています。

まとめ

9月29日の「食料の損失と廃棄に関する国際デー」は、世界で起きている食品ロスについて考える機会です。

食品ロスは家庭だけでなく、生産や流通、小売など、食べ物が食卓へ届くまでのさまざまな場面で発生しています。近年は、量り売りや食材宅配、訳あり品通販、フードドライブなど、暮らしの中で取り入れやすい仕組みも広がってきました。

一度に多くのことを始める必要はありません。買い物の仕方を少し見直すこと、食材を最後まで使い切ること、余った食品を地域へつなぐことなど、暮らしに合った方法を一つ選ぶことが、食品ロスを減らす第一歩になります。


【参考】

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Life Hugger 編集部

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