反毛(はんもう)とは・意味

反毛(はんもう)とは、古着や裁断くず、糸くずなどの繊維製品を機械で細かく裂いてほぐし、綿(わた)の状態に戻すリサイクルの方法です。ほぐした繊維は、再生ウールの糸や軍手、フェルト、車の内装材、住宅の断熱材などに生まれ変わります。

回収された服がどこへ向かうのかを知ると、手放し方や買い方の見え方も変わってきます。ここでは、反毛の仕組みと、反毛からできるもの、反毛に向く素材と向かない素材、毎日の服選びにつながる見方を紹介します。

反毛とは

反毛は、布になった繊維を、もう一度「糸になる前の姿」に戻す加工です。布を織ったり編んだりする工程を、機械の力でさかのぼるイメージに近いといえます。反毛でできた綿状の繊維は「反毛綿」「反毛繊維」と呼ばれ、糸や不織布、フェルトの原料として使われます。

溶かしたり化学的に分解したりせず、物理的にほぐすだけなので、リサイクルの種類では「マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)」に入ります。余った布や着古した服を無駄にしない知恵として、古くから行われてきた加工です。

似た言葉との違い

服の再資源化には、反毛のほかにもいくつかの方法があります。違いは「どこまで形を崩して戻すか」です。

  • リユース:服を服のまま、別の人が着る。形を崩さない。
  • ウエス:布を裁断して、工場などで使う拭き取り布にする。布のまま使う。
  • 反毛:布をほぐして綿状の繊維に戻し、別の製品の原料にする。
  • ケミカルリサイクル:ポリエステルなどの繊維を化学的に分解し、原料の段階まで戻してから新しい繊維をつくる。
  • アップサイクル:デザインや手仕事で、元より価値の高いものに作り替える。

反毛は、布のままでは使い道がない服でも繊維として生かせる一方、化学的な分解ほど大がかりな設備を必要としない、その中間に位置する方法です。

反毛の仕組み

反毛の工程は、大きく分けて次の流れで進みます。

  1. 回収・選別:集めた服や裁断くずを、素材(綿・ウール・化学繊維など)や色ごとに分けます。
  2. 前処理:ボタン、ファスナー、ラベル、金具などの付属品を取り除き、機械に入る大きさに裁断します。
  3. 反毛(開繊):細かい針や歯の付いたローラーが回る反毛機に通し、布を少しずつ引き裂いてほぐします。何度か通すうちに、布は綿のようなふわふわの繊維になります。
  4. 加工:ほぐした繊維を、用途に合わせて紡いで糸にしたり、絡ませてフェルトや不織布にしたりします。

色ごとに選別しておくと、ほぐした繊維は元の服の色を残したまま原料になります。染め直す手間を省けるため、色を生かした製品づくりもできます。

繊維が短くなるという性質

反毛では布を引き裂くため、どうしても繊維が短く切れます。短い繊維は絡み合う力が弱く、そのままでは細くて丈夫な糸にしにくくなります。そのため反毛の繊維は、太めの糸や、繊維を絡ませて固めるフェルト・不織布のように、繊維の長さを問わない製品に向いています。糸にする場合は、新しい繊維と混ぜて強さを補うこともあります。

反毛からできるもの

反毛の繊維は、身近なところで使われています。これは一般的な用途をまとめたものですが、元の素材によって向いている製品が変わります。

元の素材 主な用途 ポイント
ウール(セーター・コートなど) 再生ウールの糸・生地、毛布 ウールは反毛にしても風合いが残りやすく、再び衣料の素材になりやすい
綿(Tシャツ・裁断くずなど) 軍手、太番手の糸、モップ 太い糸で編む軍手は、短い繊維でも形にしやすい
さまざまな素材が混ざったもの フェルト、自動車の内装材(吸音材・クッション材など)、住宅の断熱材 繊維を絡ませて固めるので、素材や色が混ざっていても使える

なかでも再生ウールは、反毛の代表的な使い道です。ウールの繊維は表面のうろこ状の構造で絡みやすく、ほぐしたあとも糸や生地に戻しやすい性質があります。服から服へ循環しやすい素材だといえます。

反毛が難しい素材

どんな服でも同じように反毛できるわけではありません。反毛の繊維の使い道を狭めてしまうのは、主に次のような服です。

  • 混紡素材:綿とポリエステルのように複数の繊維を混ぜて紡いだ糸は、ほぐしても繊維を素材ごとに分けられません。混ざったままの繊維は、再び服の糸にするのが難しく、フェルトや断熱材などの用途が中心になります。
  • ストレッチ素材:伸縮性を出すポリウレタンなどの弾性繊維は、ほぐしたときに機械に絡みやすく、繊維の質を下げる原因になります。
  • 加工の多い服:樹脂のコーティング、大きなプリント、接着芯、ラメなどは、ほぐしにくかったり、繊維に混ざって品質を落としたりします。
  • 汚れ・湿り気のある服:濡れたままの服や汚れのひどい服は、カビや臭いのもとになり、原料として使いにくくなります。

暮らしの中の反毛

服を選ぶときは「ほぐして戻せる素材か」を見る

買うときにタグの組成表示を見て、綿100%やウール100%のような単一素材を選ぶと、手放したあとに反毛で別の製品の原料に戻しやすくなります。ストレッチ素材や混紡が悪いわけではありませんが、長く着たい定番の服ほど単一素材を選ぶ、という使い分けがしやすい方法です。服選びの視点は、サステナブルファッションのコラムでも紹介しています。

手放すときは洗って乾かし、回収に出す

着なくなった服を店頭回収や自治体の資源回収に出すときは、洗濯して乾いた状態にしておくと、原料として使いやすくなります。着られる服はリユースへ、着られない服は反毛などの再資源化へと振り分けられる仕組みの回収も多くあります。どのブランドの回収を使うか迷ったら、アパレルブランドの衣料品回収の選び方も参考にしてみてください。

反毛でできた製品を使う

再生ウールのニットやブランケット、作業や庭仕事に使う軍手、フェルトの小物など、反毛の繊維は身近な製品になっています。製品の説明に「反毛」「再生ウール」と書かれたものを選べば、回収された服が生まれ変わった先を、自分の暮らしの中で使えます。

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