100%プラスチックフリー、動物実験なし、そして、できる限りオーガニックの天然素材を使用して作られたリップの「BENI(ベニ)」。ヴィーガン、さらにムスリムフレンドリー(ハラル対応)でもあります。
蓋を開けると、植物の精油がふわっと香り優しい気分に。精油はイランイランを中心にオレンジ、ティートゥリー、パルマローザ、ベチベルなどが配合されています。「普段赤リップを使わない人にも試して欲しい」というリップは、使い方によってふんわりと、またクッキリと色を乗せることができ、さらにチークとしても使える優れものです。
この肌や動物、そして環境にも優しいコスメを作ることができないかと、行動を起こしたのがMenary(メナリ―)代表の木住野舞(きしのまい)さん。その誕生秘話と彼女が商品に込めた思いをお聞きしました。
海外暮らしで女性のエンパワーメントを意識
コロナ前は、シンガポールで働いていた木住野さん。そこでの暮らしや、南インドを訪れた際に女性蔑視を肌で感じたことが、ブランド立ち上げのきっかけになったそうです。
以前の職業はホテルのコンシェルジュ、接客業をする際にはメイクは必須です。特にシンガポールではしっかりとメイクし、堂々と対応することが求められました。木住野さん自身、赤リップを引くと背筋が伸び、自信がつくことに気付きます。「メイクのチカラを知ったからこそ、コスメ作りへの関心が高まりました」。
また、現地で人気の日本のメイクやファッションですが、シンガポールには敬虔なムスリムの方も多く、原料や条件を理由に使えない日本製の化粧品も多いのです。そんな彼女たちが使えるコスメアイテムがあれば、という思いも後押しになりました。
プラスチックフリーコスメ作りに挑戦
コスメ作りを考えるようになったものの、リサーチするほどにある事実に直面することに。それがマイクロプラスチック問題です。「コスメ業界がいかにプラスチック容器に頼っているか、そしてプラスチックが環境に及ぼす影響を知りました。女性の強さや本来の美しさを引き出すためのリップを開発したとしても、それが実は地球を汚しているのだとしたら…」と木住野さんは考えます。
しかし、国内では、リップは繰り出し部分がプラスチックのものがほとんどです。国内でも前例のない完全プラスチックフリーで、容器をはじめ、口紅が入っている金皿以外全て紙を使っている「BENI」を作るのは大変だったそうです。
「主にコストと時間の問題でした。払える額によって、どこまでプラスチックフリーにできるかが変わってきます。しかし、金額で妥協せず、ベストな状態で作ってもらうことに。また、プラスチックだったらもともとある容器からひとつを選んで充填するというプロセスですが、今回はゼロからデザインしているため、雛形もない。それを作るのにまず一ヶ月かかる、さらにサンプルは作れないという条件を飲み込んで進めていきました。
また、コスメについて勉強して知ったことで、私自身意識が変わりました。プラスチックバッグが有料になったときに初めて、今までそんなにたくさん使っていたのだと気付けたように、『Menary』を通してコスメの裏にあるプラスチック問題を知るきっかけになって欲しいと思うようになりました。
今の日本は使い捨て文化が主流ですが、何かが流行れば購入する、を繰り返すその裏でどれほどのごみが出ているのか。そこまで思い巡らすことが大切ではないでしょうか」と、木住野さんは語ります。
コンセプトは「エシカル×エンパワーメント」
Menaryの掲げるコンセプトは大きく2つ、「エシカル×エンパワーメント」です。天然素材のコスメアイテムとして、使う人の本来の美しさを引き出すのはもちろん、購入自体がエシカルな活動に繋がるのが大きな特徴です。
「世界中の女性がもっと輝ける社会作り、エシカルなコスメを通して女性にパワーを届ける」というブランドメッセージにある通り、「リップを引くことで、それぞれの持つ美しさに気付いて欲しい」と木住野さん。「BENI」を通してエンパワーメントを強化、サポートすることがMenaryのコンセプトのひとつです。
またシンガポール暮らしのなかでムスリムの友人と接するうち、文化や宗教に対する理解を広げたいという想いが生まれたという木住野さん。「ムスリムフレンドリーという概念を持つコスメを日本で販売することで、そういう世界があることを知ってもらうきっかけになれば、と思っています。」
現在は、活動を通して得た利益の数パーセントを国内での女性支援金に充てています。将来的には南インド辺りに拠点を作り、現地で女性のエンパワーメントをサポートする活動も拡大していくそうです。
プラスチックフリーコスメ「BENI」を通して実現したい未来とは
「環境と人が共存できるサステナブルな暮らしの選択として『BENI』を選んで欲しい、またリップを通して女性の自立を応援したい、その意識の部分に働きかけたいです。
また、性別に関わらず、誰もがイキイキと生きられるようになるサポートがしたい、というのが強くありますね。海外生活はその視点に気付くきっかけをくれましたが、日本だって実質はそう変わらないところもあると感じています。
だからこそ『Menary』を通して叶えたい世界は、日本やアジアの女性のエンパワーメントの循環!笑顔と笑顔をつなぎ、それぞれが人や将来を思った行動が日常に根付くお手伝いができればと思います。
また、私たちそれぞれが軸を持って、自分を大事にするからこそ人を思いやれると考えています。そこがスタートです。そのうえで、笑顔が循環する世界を創りたい。これこそが、私を動かすエナジー!たくさんある想いのなかでも、そこに尽きます。」と木住野さんは話してくれました。
※現在、エシカルリップ「BENI」は公式サイトや、セレクトショップなどのポップアップ(不定期)、エシカルマルシェなどで購入できます。
編集後記
一本の赤リップにここまでの思いが詰まっているなんて!お話を聞くほどに、「彼女の手掛けるものに賛同したい」という思いが沸き上がります。
人にも環境にも優しい選択としてのコスメなら、使うほどに豊かな気持ちになれそうで、「BENI」は間違いなくそのきっかけを与えてくれるものだと感じました。
【参照サイト】MENARY Ethical Empowerment
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mia
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