テイクバック(店頭回収)とは、ブランドや店舗が、使い終わった自社製品や同じ種類の品を消費者から引き取る仕組みです。回収したものは、もう一度使う(リユース)、素材に戻す(リサイクル)、燃料にするなど、状態に合わせてそれぞれの行き先へ送られます。
服や靴、化粧品の容器などで広がっていて、店頭の回収ボックスや郵送で手放せます。ここでは、似た言葉との違い、回収されたものの行き先、持ち込む前に知っておきたいことを解説します。
テイクバック(店頭回収)とは
テイクバック(take back)は英語で「引き取る」「取り戻す」という意味です。売って終わりにせず、使い終わった製品をつくり手や売り手のもとへ戻すことを指し、日本では「店頭回収」「回収プログラム」とも呼ばれます。ブランドごとに「〇〇リサイクルプログラム」のような名前を付けている例も多くあります。
回収の対象は、自社ブランドの製品だけを受け付けるもの、他社製品も含めて同じ種類の品(衣類全般、靴全般など)を受け付けるものの2つに分かれます。回収したものの行き先を自社で管理し、素材をもう一度製品づくりに生かす「循環」の入口として位置づけられています。
下取り・買取との違い
よく混同されるのが「下取り」と「買取」です。下取りは新しい商品を買うことを条件に、手放す品の分だけ値引きする仕組みです。買取は、品物に値段を付けて買い取るもので、まだ商品として売れる状態の品が対象になります。テイクバックは原則として無償で引き取り、売れるかどうかにかかわらず受け付けるのが特徴です。お礼としてクーポンやポイントが配られることはありますが、品物の値段として支払われるものではありません。
自治体の資源回収との違い
自治体の古布回収などの資源回収は、住民の出したごみや資源を行政の仕組みで集めるものです。テイクバックは、製品をつくったり売ったりした企業が自ら回収の窓口を持つ点が違います。どちらも捨てずに資源へ戻す手段で、片方だけが正しいわけではありません。
拡大生産者責任(EPR)との関係
拡大生産者責任(EPR)は、製品が使い終わって捨てられる段階まで、つくった企業が責任を持つという考え方です。テイクバックは、この考え方を企業が具体的な形にした取り組みのひとつといえます。
テイクバックの仕組み
多くのテイクバックは、次のような流れで進みます。
- 店舗に置かれた回収ボックスやレジ、または郵送で品物を受け付ける
- 集まった品物を、提携する選別業者などへまとめて送る
- 状態や素材ごとに分け、リユース・リサイクル・燃料化などに振り分ける
受け付ける条件はプログラムごとに違います。対象の品目、ブランドの指定、洗濯済みであること、一度に持ち込める数などが決められているので、持ち込む前に店舗や公式サイトの案内を確かめておくと安心です。
回収されたものの行き先
テイクバックで集まったものは、すべてが同じ方法で処理されるわけではありません。主な行き先は次の3つです。
| 行き先 | 中身 | 向いている状態 |
|---|---|---|
| リユース | 古着・中古品として、国内外で再び販売・活用される | 汚れや傷みが少なく、そのまま使えるもの |
| リサイクル | 繊維や素材に戻し、断熱材・軍手・ウエス(工業用雑巾)や新しい製品の原料にする | 着られないが、素材として使えるもの |
| 燃料化・熱回収 | 固形燃料にしたり、燃やした熱をエネルギーとして使ったりする | 素材が混ざっていて分けにくいもの |
これは一般的な傾向をまとめたもので、実際の行き先はプログラムによって違います。「回収=新しい服に生まれ変わる」とは限らず、素材が混ざった服は素材に戻しにくいため、燃料化に回ることもあります。回収後の行き先や、どのくらいがリユース・リサイクルされたかを公開しているブランドもあり、選ぶときの手がかりになります。ブランドごとの取り組みの違いは「服のリサイクルに取り組むアパレルブランドの選び方」でも紹介しています。
テイクバックが注目される理由
服や靴は、まだ使えるものも含めて多くが燃えるごみとして捨てられています。テイクバックは、家庭からごみとして出る前に企業が引き取ることで、捨てられる量を減らし、資源をもう一度使う道をつくります。
企業の側にも、素材を回収して新しい製品の原料にできる、自社の製品が最後にどうなるかに責任を持てるといった意味があります。消費者にとっては、「捨てるのはしのびないけれど、どこに出せばいいか分からない」ものの受け皿になります。合成繊維の服をむやみに捨てたり燃やしたりせずに済むことは、マイクロプラスチックのような素材由来の環境問題を考えるうえでもつながりがあります。
暮らしの中のテイクバック
まだ使えるものは、リユースを先に考える
テイクバックは「手放す」ための便利な窓口ですが、まだ十分に着られる服や履ける靴なら、譲る・売るといったリユースの方が、品物をそのままの形で長く生かせます。状態のよいものは古着の買取、着られないほど傷んだものはテイクバック、というように使い分けると、手放し方に迷いにくくなります。売る場合の選択肢は「服を売るならどこ?リサイクルショップの選び方」も参考にしてください。
持ち込む前に条件を確かめる
対象外の品物を持ち込むと、店舗で受け取ってもらえなかったり、回収先で処理の手間が増えたりします。対象の品目とブランド、洗濯の要否、数量の上限は、出かける前に確認しておきましょう。洗濯をしてポケットの中身を出しておくなど、ひと手間をかけることで、回収した先での選別がスムーズになります。
クーポン目当ての買い替えにしない
回収のお礼にクーポンを配るプログラムでは、「クーポンがあるから新しいものを買おう」と、必要のない買い物につながりやすい面があります。テイクバックの目的は、使い終わったものを循環させることです。クーポンは本当に必要なものを買うときまで取っておく、使わないなら無理に使わないと決めておくと、手放すことと買うことの両方に納得感が持てます。手放すたびに「次は長く使えるものを選ぼう」と見直すきっかけにすると、クローゼットにも心にも余白が生まれます。
