海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第43回目となる今回は、「ごみの分別と捨て方の基本②~「古紙類」の出し方の疑問を解消!」です。
「雑がみ」や「ダンボール」はひもでしばらないとダメ!?
麻子:前編では、わが家のごみ箱の置き方や、「燃えるごみ」に入れるもの、そして「雑がみ」の分別などについてお話ししました。
雄一郎:「雑がみ」の分別はよく「知らなかった」「ちゃんとやってなかった」という声を聞くので、ぜひぜひ今からでもはじめていただきたいです。前編で話したとおり、かなりいろいろな紙が入れられます。それを基本的に使い古しの紙袋に入れて出せばOK。
※自治体によっては指定袋を導入している場合もあるので、お住まいの役所のウェブサイトや電話で確認してください。
麻子:ただ、「飛ばないように、ひもでしばってください」というルールも多かったりして…
雄一郎:リサイクルのためにわざわざひもを買って、それがごみになるなんて、僕も変だと思う。口のところをホッチキスで軽くとめるくらいがエコなんじゃないかな。※ホッチキスやクリップ類はリサイクル過程で除去されるので問題ありません。
麻子:ダンボールなんかも、ひもでしばろうとすると、すごい長さのひもが必要になって、すごくもったいないし、むしろストレス。
雄一郎:紙製のガムテープで軽くとめて出せると簡単だしエコだと思うけど、「ガムテープは使わないでください」と書いている自治体がなぜか多いんだよね…。
「ひもVSガムテープ」実際のところは?
麻子:実際問題どうなの?
雄一郎:正直、本当は紙製のガムテープでとめても問題ないと思う。たとえば、こちらの「容器包装交流セミナー」の報告書にも、事業者の声として、「一般家庭で使われている程度なら全然問題ない」と書かれているよ(p.66)。
麻子:「厳密に言えばダメ」でも、実際は、異物を完全に排除するなんてことは不可能だものね。完璧にルールを守れなくてもできる範囲でOKってこと?
雄一郎:そう、「ある程度の混入は想定内」としてリサイクルのシステムはつくられてるから。一言に紙と言ったって、雑誌や本の表紙なんかは結構コーティングっぽい素材だったりもするし、プラの付録が綴じ込まれていたり、ある程度の汚れも避けられないよね。
麻子:ごみステーションには、剥がしきれないガムテープがいっぱいくっついたダンボールを出してるような人もいっぱいいるのに、そういうのはふつうに回収されてるわけだし!
雄一郎:そうそう。そんな中で、「紙製のガムテープでちょっととめるのもダメ」としてしまうのは、僕から見ればバランスが悪いというか。それで「面倒くさいから燃えるごみに入れちゃえ!」となる人が多そうで、むしろデメリットの方が多いような気がするな。
「みんなが使いやすいシステム」へ
雄一郎:本気で資源化を進めようと思ったら、やっぱり、「市民が出しやすい方式」を考えないといけないはずだから。ちゃんと分別しようとする人が面倒な思いや努力を強いられるシステムっていうのは間違ってるし、これからもっと高齢化も進む中、「出しやすい方式」にしないと、いわゆる<ごみ屋敷問題>にも直結してくると思うし…。
麻子:実際、京都市のサイトなんかは、ふつうに「ガムテープでとめてください」って書いてあるよね。
雄一郎:公式なルールではダメでも、「運用レベルではOK」としている自治体も多いと思うし、実際、ふつうに回収してもらえるケースも多いはず。でも、いざ電話で問い合わせると「ダメです」ってなったり(苦笑)。
麻子:このダンボール会社のサイトも、「ダンボールの出し方」の方法のひとつに「ガムテープでとめる」ってふつうに書いてある!
雄一郎:しかも、読んでみると、「ガムテープを使うデメリットは、自治体によっては紐を推奨している場合があることです」って(笑)。何かギャグみたいと言うか、禅問答的と言うか…。
この辺、自治体の職員さんも、収集業者さんも、「これはダメ」と思考停止しないで、もっと「自分が分別して出したらどれだけ大変か?」「本当に資源化を進めるには何がいちばんいいか?」をイメージしながらルールづくりを工夫してほしいな~と思う。こんなルールを見ると、申し訳ないけど、「担当職員さんたち、自宅でほんとにちゃんと雑がみ分別してるのかな!?」って勘ぐってしまう…。
麻子:きっと、こういう声を役所に届けるのも大切だよね。
雄一郎:うん。実際、きちんと取り組んでいる自治体ほど、柔軟に、住民が出しやすく無駄が少ない形に歩み寄っている印象があるよ。僕が働いていた葉山町なども、ミックスペーパーは「単に紙袋に入れればOK」「紙袋がない場合は大きな紙(古いカレンダーなど)に包んで出してもOK」と、とても柔軟。やっぱり、電話などで「ひもがもったいない」「紙袋がなくて困る」という住民の声が来ていて、そういう声が変化を促すんだと思う。
麻子:みんなが出しやすく、資源化が進みやすいシステムに、日本全体が変わっていってほしいですね。次回以降は引き続き、ごみをテーマに、容器包装プラスチックの分別のポイントなどについてお話ししてみましょう!
【⬇︎前編はこちら】
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服部雄一郎 服部麻子
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