必要な家電・いらない家電とは?②服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第13回目となる今回は、服部家で大活躍している家電について教えてもらいました。

必要な家電はありがたく大切に、工夫して使う

雄一郎前回は「ない家電」について書きましたが、今回は「ある家電」。たとえば、冷蔵庫と洗濯機は、一時期「なくす」検討もしましたが、やはり便利で使い続けています。

麻子:インドで半年間生活した時は、アパートに洗濯機がなく(インドでは普通のことで、通いの家政婦さんにお願いするのが一般的です)、手洗いでしたが、かなり大変でした…特に脱水は洗濯機のありがたさを痛感します。

インド滞在中の涙の洗濯生活。バケツで手洗いし、アパートの屋上に干します。これだけの量を手洗いするのはすごく大変です。子どもたちはそんなことお構いなしにとてもたのしそう。

雄一郎:省エネ生活で知られるアズマカナコさんなどは、手洗いで上手に洗濯されているようですので、工夫次第というところもあるかと思いますけど、わが家は、子どもたちにも自分の服は自分で洗濯してもらっているので、全自動洗濯機の存在は大きいですね。少なくともしばらくは、「洗濯機なし」は想像できません。

アズマカナコさんの名著。全体をむやみにこすり洗いせず、汚れた部分を重点的に洗うことで、効率的かつラクに手洗いできるそうです。

エコな冷蔵庫の選び方は?

麻子:冷蔵庫も同様で、食品ロスを減らす意味からも、「ない生活」は今のところ想像しにくいと感じています。冷蔵庫については、「小型サイズよりも大型サイズの方がエコ」という目からウロコの事実を知り、数年前に500ℓの大容量のものを購入しました。がっつりリサーチした結果です。こちらの記事に詳しく書きましたので、冷蔵庫の買い替えを検討されている方は参考にしていただけたらと思います。目に見えて電気代も減りました。

背後に壁のようにそびえ立つ大型冷蔵庫。まさか小型よりも消費電力が少ないとは、本当に驚きました。photo: kettle_photo

服部家で大活躍の家電は?

雄一郎:そのほか、新たに生活に取り入れたのは、バイタミックスと業務用食洗機。これらは、「どの家庭でも必需品」なわけではないと思いますが、逆にわが家にとっては必要度が高いと、よくよく検討の上で判断しました。実際、どちらも活躍の頻度はものすごく高いです。

麻子:バイタミックスというのは強力なブレンダー。ローフードの人たちの必需品ですが、わが家はそういったスムージーやポタージュスープなどだけでなく、スパイスをパウダーに粉砕したり、豆や米も粉にできたり、とにかく強力で汎用性が高い。料理の幅がすごく広がるので大いに活用しています。電力は使いますが、使う時間はせいぜい数十秒と、ほんの一瞬なので…。

そして、食洗機は、昨年自宅の新築時に満を持して導入しました。家族5人の洗い物に加えて、来客も多く、特に週末はおやつの洗い物まであって、常に食器洗いに追われている感覚があったので、導入するメリットがすごく大きいと思っての決断でした。使い始めてから、生活にすごく余裕が生まれたのを実感しています。

熟慮を重ねて導入したホシザキの業務用食洗機。

雄一郎:ただ、使い方には工夫していて、まず、乾燥機能のないものを選びました。食洗機は、乾燥にいちばんエネルギーを使うという話もありますが、わが家のは業務用タイプで、洗浄のみ、80℃の高温のお湯で1分半で洗いあがります。これを中古で購入し(新たな消費をなるべく増やさないように!)、さらに、自己判断で洗剤を使わず、ざっと下洗いしたものを高温のお湯で洗うだけ、という使い方をしています。メーカーとしては薦められない使い方だと思いますが、十分にきれいになりますし、下水を汚しません。「自分たちらしい使い方」にできているのはうれしいです。

麻子:冷暖房は、基本は1台だけあるエアコン。エアコンだけだと、せっかくの暖気が天井付近に集まってしまうなどするため、天井に据え付けたシーリングファンで空気を撹拌し、全体に行き渡るようにしています。各寝室には冷暖房はなく、冬は湯たんぽを使います。あたたかくておすすめですよ。夏は窓を開ける….ですが、今年の夏はけっこう暑かったので壁掛け式の扇風機もつけた方がいいかなあ、と思ったりしました。結局そのまま夏がおわりつつありますが(笑)。

雄一郎:エアコン1台で済んでいるのは、家の断熱をしっかりしているせいもあります。「夏涼しく、冬暖かい、エアコンになるべく頼らずに済む家」を目指し、軒の深さを計算して、断熱材をしっかり入れて、窓はペアガラスにしました。風の通り道も設計士さんが考えてくれています。詳しくは、わが家の家づくりの本「サステイナブルに家を建てる」に書いたので、興味のある方はぜひ読んでいただけたら。

なくてもいい家電は手放して軽やかに。逆に、必要な家電はありがたく大切に、工夫して使う。そのちょうどいいバランスを、ご自身に合った形で見つけられると、家電との付き合い方もより心地よいものとなっていくような気がします。

【⬇︎前編はこちらから】

必要な家電・いらない家電とは?服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola