食品ロス食材がおいしい料理に!サルベージ・パーティーをレポート

スープヌードル

食べきれず、このままだと捨てられる運命の食材を持ち寄り、自由な組み合わせで新たな料理に変身させる取り組み、サルベージ・パーティー(通称:サルパ)。「一般社団法人フードサルベージ」が提案している新しいパーティーのスタイルで、すでに国内各地で開催されています。

今回は、富山市にある「トトン」で2023年2月19日(日)におこなわれたパーティーの様子をレポートします!

サルベージ・パーティーをレポート!

2023年2月19日(日)の午前中、循環がテーマの複合施設「トトン」の2階にあるイベント会場には15人ほどの参加者が集まりました。まずは、サルパを企画した富山県地球温暖化防止活動推進員の村上綾子さんと、ゲストシェフの濱多雄太さんから、サルパの意味や食品ロス問題についての説明がありました。

濱多さんは『ミシュランガイド北陸2021特別版』で、持続可能な取り組みに特に熱心な飲食店に与えられるグリーンスターを受賞したお店のシェフです。「この場にある食材だけで作るので、いつもと違うドキドキ感があります。ここでしかできない料理になると思います。みんなで楽しみましょう!」という心強い言葉とともに、料理がスタートしました。

まずは食材を確認!

食材いろいろ

今回、参加者が持ってきた食材は、かぼちゃ、サバ水煮缶、芽が出そうな芋、ほたるいか黒づくり、「トトン」内にあるレストラン「トトンキッチン」のお肉の切れ端、オータムポエム(アスパラ菜)、アーモンドミルク、トック、脱脂粉乳、ラーメンの乾麺、そうめん、いぶりがっこなど。なぜ食べきれなくなったのか、背景が気になる食材ばかりです!

まずは、それぞれの食材を持ってきた人が、なぜそれが余っているのか、どんな食材なのかを説明しました。自己紹介=食材の紹介、という感じで、初対面同士の参加者もお互いのことを知ることができ、場が一気に和やかな雰囲気になりました。

その後、濱多さんが、食材を見ながら、その場でレシピを検討。数分後に「3つのグループに分かれて作業をしましょう」という呼びかけで、小さいお子さんがいるグループ1つ、大人グループ2つに分かれ、3種類のメニューを作ることになりました。

個性的で、おいしい3品が完成!

できあがったのは「さすがシェフのレシピ!」と思わずうなってしまうような、美しく、味もすばらしい3品でした。なお、サルパでは基本調味料は使用OKです。今回は塩、しょうゆ、砂糖、油、マヨネーズのほか、スパイス類やトムヤンクンペーストなども使われました。

ひじきのパンケーキ

ひじきのパンケーキ
ひじきと餅粉をフードプロセッサーにかけ、そこに和風のだしの素と水を追加して焼いた、お焼きのような和風パンケーキです。粉と水分を同じ割合にするのがポイントだそうです。上にのせているのは、サバとクミンをまぜたペースト、ホタルイカの黒づくり、オータムポエムです。もちもち食感で、上のサバとクミンと、ホタルイカの塩辛さが良いアクセントになっており、意外な味の組み合わせを楽しめる一品でした。

いろんな麺類のスープヌードル

スープヌードル
アーモンドミルクをベースにしたスープに、持ち寄られたいろんな野菜と麺類が入っている、スープヌードルです。魚醤とトムヤンクンペーストで味付けがしてあり、東南アジア系のレストランやカフェで出されそうな、ハッとするおいしさの一品でした。ラーメン、そうめんなど、いろんな太さの麺が入っているのがサルパならではで、その違いが、食べる楽しさを感じさせてくれました。

かぼちゃのオーブン焼き

かぼちゃのオーブン焼き

中をくりぬいたかぼちゃの中に、脱脂粉乳、いぶりがっこ、牛肉などを入れ、オーブンで焼いています。上にはアクセントとして、すりおろしたチョコがかけられました。いぶりがっこはかなり主張が強いので「どんな味になるのだろう?」と思っていたのですが、ミルク、牛肉との相性が抜群で「こんな組み合わせもあるんだ!」と驚きました。

シェフのアイデア、技からの学び!

シェフの調理
今回、初めてシェフが目の前でレシピを考案し、作っていく様子を見たのですが、プロのアイデア、技の数々に、何度も「なるほど!」という言葉が口をついて出てしまいました。料理教室とはまた違う、アイデアの出し方、料理の味付けの工夫の仕方などの学びがあり、とても有意義でした。想像を超えた料理ばかりで、楽しく、おいしく、刺激的な時間となりました。

参加者からは「おいしかったし、面白かった!」「また参加したい」「これだけ充実した内容で参加費2000円は安すぎかも」といった声が聞かれました。

最後に、サルパでレシピを考えるときの極意を濱多さんに聞いたところ、こんな言葉が返ってきました。

スープ系をひとつは作る、野菜を入れる(つめこむ)、スパイスを使う、という3つのことを重視しましょう。酸味、甘味のバランスをうまくやると着地できるかな、と思います。

今回のサルパで得た学びを日々の料理に生かして、ちょっと面白いレシピを考えながら「おうちサルパ」を定期的にやっていきたいと思っています。トトンでは今後もサルパを開催予定だそうなので、次回も出席したいです。

ぜひみなさんも、機会があったらサルパに参加してみてください!

【参照サイト】トトン
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曽我 美穂

曽我 美穂(そが みほ)。2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。雑誌やウェブサイトで編集、撮影、執筆、翻訳などをおこなっている。主なテーマはエコな暮らしやSDGs、環境問題。私生活では2009年生まれの娘と2012年生まれの息子の二児の母でもある。現在、富山県在住。個人サイト:https://sogamiho.mystrikingly.com/