福岡薬院エリアの量り売り商店「POCO MUCHO(ポコムーチョ)」をレポート!

ポコムーチョ

「量り売り商店 POCO MUCHO(ポコムーチョ)」は、福岡市のバルクショップ。博多や天神からほど近い「薬院エリア」にあり、周辺では発酵とおばんざいの店やヴィーガンのケーキショップ、日本酒やワインの量り売りをしている店、キッチン用品の専門店などをゆったりと回りながら買い物を楽しめます。

店名のポコムーチョとは「POCO(少なすぎず)、MUCHO(多すぎず)」の意味で、量り売りならではの「ちょうどいい」心地よさが感じられる店舗です。商品の選定基準は“誰が作っているのかわかるもの”にあり、近所のおばあちゃんから野菜をもらったときのように、安心とおいしさを感じられる食品が約200種類並びます。(筆者が取材に伺った際には、醤油屋が納品に来ていました!)

今回はここでしか買えない商品やリピーターの多い人気商品、量り売りが初めての人におすすめな商品を中心に紹介します。

量り売りの食品

バラエティ豊かなナッツたち

壁にずらりと並ぶナッツたち。番号が同じ商品同士は混ぜてもOKで、自分好みのミックスナッツを作れます。また、気になったナッツを少しだけ試してみたいときにも、量り売りであれば叶います。近所のバーや飲食店も瓶を持参して仕入れに来るのだそう。ゼロウェイストの輪が広がっている様子を伺えます。

人気No.1は燻製ピスタチオ。ウイスキーの熟成に使われた、本物のオーク樽のチップで燻しています。味付けはミネラルたっぷりの宮古島産雪塩。自分へのご褒美のほか、プレゼントやお土産としても喜ばれる一品です。

ポコムーチョオリジナルのブレンドミックスナッツには、さまざまな種類があります。自分の手でザザッと瓶に注ぐのは快感です。写真はロースト前に塩水に浸けた皮付きカシューナッツが癖になる「天日塩仕込みおつまみナッツミックス」。

「噂のデーツ」ことムニーフデーツは、ほとんど日本の市場に出回っていない、希少なデーツです。仕入れは合同会社ILODOLYの氏家さん。生産地に一人で乗り込み、ひたすらデーツ農家と交渉を続けたものの、現地の輸入スケールに驚き…と、盛りだくさんのストーリーが。優しい甘さで幸せな気持ちになるくるみは、包みを挟んで食べるとより味わい深くなります。

粗さが選べるナッツバター

その場で搾りたてを瓶詰めできるナッツバター。ピーナッツやアーモンドなどのナッツをホールのまま投入して、フレッシュな搾りたての味を楽しめます。ナッツの粗さや粒感を調整できるナッツバター機はオーストラリアから取り寄せたもので、現在日本で設置しているのはポコムーチョのみとのこと。

ピーナッツバターを中挽きで試してみました。砂糖も添加物もゼロの100%ピーナッツをはちみつと合わせてパンにのせたり、麻婆豆腐やカレーなどの料理に加えたりと、実験しながら楽しく味わっています。

チョコレート

取り扱っているのは、フェアトレードのチョコレート。さまざまな種類が揃っていますが、注目は100%カカオのチョコレート。一般的なチョコレートでは取り除かれる、カカオの甘い果肉部分を使用しているため砂糖ゼロでも食べやすく、カカオ本来の甘さを楽しめます。ローストしてナッツのように味わうカカオ豆もあります。

日常使いの調味料

近所の方からリピートが多いのは、日常使いできるはちみつやごま油、オリーブオイルなど。必要な分だけ購入できるため、酸化が気になる油類も新鮮なうちに食べ切ることができます。

冷蔵庫で販売されていた生醤油を買ってみました。福岡県飯塚市にある金芳醬油釀造元の農薬や、化学肥料・除草剤に頼らない栽培方法で作られた九州産大豆・小麦と、おいしい天日塩で作った濃口生揚げ醤油です。火入れをしておらず、酵母や乳酸菌などの菌や酵素が活きています。まずはちょっと良い冷奴と一緒にいただきたいと思います。

量り売りの洗剤も購入できます

洗濯や掃除に役立つ生分解性の中性洗剤、重曹、クエン酸、過炭酸ナトリウムなども量り売りで購入可能です。その他にも蜜蝋ラップやクロス、竹ハブラシ、衣類から出るマイクロファイバーが海へ流出するのを防ぐコーラボールなども販売されています。

紙袋や容器は繰り返し使おう

瓶や容器は店舗にも用意されていますが、マイ容器を持参すると量り売りの楽しさをより一層味わえる他、割引も受けられます。紙袋と空き瓶は、お客様からの寄付も大歓迎とのこと。外出前には、自宅に空き瓶や容器がないかどうかをチェックしましょう。

液体やオイルなど、用途に合う瓶や容器が並びます。

博多の屋台の運営者やお客様から寄付された「空き瓶ドネーション」を利用するのも良いでしょう。瓶は煮沸消毒されているので安心です。

持ち帰りの紙袋には有料のものとリユースされたものが用意されています。マイバッグも推奨されていますが、忘れたり、持参していなかったりするときにもごみが出ない仕組みが用意されているのです。郵送や通販時には、バイオデグレーダブル(生分解性)素材のバッグで届けられます。こちらはコンポストに入れると分解されるようです。

量り売りショップに行ってみよう

ナッツバターやムニーフデーツはオンラインストアでも販売されていますが、店長の柳瀬さんからは「ポコムーチョにしかない商品でなければ、まずはお近くの量り売りショップから利用してみてください!」とメッセージをいただきました。一貫して顔が見える関係を大切にされています。

量り売りショップは敷居が高いと感じる方が多いようですが、まずは「今日のおやつ」を選ぶ感覚で足を運んでみてはいかがでしょうか。スタッフとの会話を楽しむことで、自分なりの付き合い方を見つけられるはずです。

【参照サイト】ポコムーチョ
【関連ページ】京都にヴィーガンカフェ・量り売り・ゲストハウスの「Tu casa」誕生!

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牛嶋麻里子

福岡出身。フェアトレードを仕事にしてみようと思い立ち、2018年からは京都へ移住。アパレルのゼロウェイストや生産背景について学び、よりエシカルな選択ができる社会を目指して働いています。 プライベートでは、チョコレートのおもしろさとカカオの課題から目が離せなくなり、ひとりでフィリピンのカカオ畑に行ってみたり、チョコレート検定プロフェッショナルを取得してみたり。