京阪本線、清水五条駅から徒歩5分のところにある「the kind(ザ カインド)」は、冨浪悠佳さんと母親の喜久子さんが営む量り売りショップ。元駐車場を活かした量り売りショップと併設のカフェからなる、広々とした空間です。
今回はお店を訪れ、悠佳さんからお話を伺いました。
今までの点と点がつながって
「自分、誰か、何かに少しだけ親切(Kind)になれる社会づくりを」をコンセプトにした、オーガニック量り売りショップ「the kind」。ショップがオープンしたのは2023年の8月。その経緯を尋ねてみました。
英語学校を運営していた、旅行好きの喜久子(英語のニックネームはKi/キー)さん。その影響があってか、悠佳さんもよく海外旅行をしていたそう。さらにお姉さんがイギリスで暮らしていることから、イギリスはじめヨーロッパ諸国にもよく足を運んでいるのだとか。
現地では量り売りショップを目にしたり、さまざまな気づきがあったりしたと言います。
「例えば、アイスランドでは人々が日常的に環境問題を話題にしていました。それはやはり、気候変動で水位に変化があったりするのを肌で感じているからでしょうね」
また、「日常的なごみ出しをもっと快適にしたい」という個人的な想いがあったと笑う悠佳さん。ごみの分別のために毎日早起きすることを負担に感じたとき、「それならごみを減らせばいいのでは」と考えたと言います。
「とはいえ、私には環境問題のため!という、強い正義感はないのです。自分の生活がより快適になればいいなと思って」と、良い意味でゆるさがあります。このハードルの低さが、お客さんを惹きつけているのかもしれません。
好きなものを好きなだけ、が心地いい
広々とした店内にはたくさんのジャーが陳列されています。その9割がオーガニックの食品です。「嗜好品として意識的に摂るものだからこそ、できるだけ体にも良いものを」という想いから揃えたのだそう。
その言葉の通り、今のところthe kindの商品は有機のドライフルーツやナッツ、紅茶などの嗜好品がほとんどです。オープンしてまだ半年程度で、実際に訪れるお客さんのニーズに合わせて商品の内容を流動的にし、これからも柔軟に対応していくとのこと。
また、ジャーの合間に置かれている量りは、値段をあらかじめ把握しておきたい人への配慮なのだとか。購入時には、そのままレジに持っていくだけで会計してもらえる気軽さが魅力です。来店の際はジャーなどの容器の持参が望ましいですが、店内でもジャーの購入は可能。ペーパーバッグであれば無料でもらえるので、思い立ったときに立ち寄れます。
毎週木曜は、オーガニック野菜が並ぶマルシェの日
毎週木曜日、亀岡市保津町で無農薬野菜を有機栽培している「Banksia Garden(バンクシア ガーデン)」が店頭販売をしています。両者がつながったのは、以前別の記事で紹介した「Tu Casa(トゥカサ)」の紹介だとか。バンクシアでは、the kindやTu Casaのカフェから出るコーヒーの豆かすを回収。ほかにも美奈さんの叔父さんが営むだし巻き卵屋さんから出た卵の殻、野菜の切れ端など、微生物の力を借りて作る肥料で野菜を栽培。the kindから出たコーヒー豆のかすが巡り巡って、間接的に育てた野菜として戻ってくる…。循環の道筋が見えておもしろいですよね。
季節にもよりますが、毎回8~12種類の野菜が畑より直送されます。もちろん野菜の育て親、美奈さんとお話しながら買い物ができるマルシェスタイルも楽しみのひとつです。
レンタルスペースでヴィーガンカフェ運営も
量り売りショップに併設したスペースは、レンタルスペースとしてオープン。ところが「誰かがやっているのを見ていたら、私もやりたくなって」と、悠佳さん自らキッチンに立ち、ヴィーガンモーニングを始めたのです。
「内容は流動的ですが、カフェ自体は完全ヴィーガンで、野菜で栄養が摂れるように工夫しています」と教えてくれました。
今後もますます地域の店として
現状、外国人観光客が9割というthe kindですが、もともと地元であることから、ご近所さんとの関わりの基盤はできています。
店頭に並ぶ植物なども「ご近所さんから譲り受けたもの」が多いそう。また、清水焼で有名な陶器の街・東山五条らしく、廃業した窯元からもらった清水焼の器や陶器を入れる木箱などが配されています。
プラスチック包装がなく、必要な量だけを購入できる量り売りショップは、ゼロ・ウェイストな暮らしに欠かせない存在です。今回は街のコミュニティ拠点としても重宝されそうな、東山五条のまだ新しい量り売りショップ「the kind」を紹介しました。近くに立ち寄る機会があれば、ぜひ覗いてみてください。きっとおもしろい発見があるはずです。
【参照サイト】バンクシア ガーデン
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mia
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