フロン(フロン類)とは、炭素とフッ素などを組み合わせてつくられた人工の化学物質の総称です。燃えにくく、気体と液体の間を行き来しやすい性質から、エアコンや冷蔵庫の「冷媒」として暮らしの中で広く使われてきました。
一方で、大気中に漏れるとオゾン層を壊したり、強い温室効果で地球温暖化を進めたりすることが分かり、種類の切り替えと「漏らさない」取り組みが続いています。この記事では、フロンの意味と種類の違い、問題とされる理由、家庭のエアコン・冷蔵庫を使うとき・手放すときに気をつけたいことを解説します。
フロンとは
フロンは、英語の「フルオロカーボン(fluorocarbon)」を指す日本での呼び名で、炭素とフッ素を基本に、塩素や水素を含む化合物をまとめた言葉です。自然界にはほとんど存在せず、工業的に合成されてきました。
燃えにくい、化学的に安定している、人体への毒性が低い、圧力をかけると液体になりやすく、圧力を下げると気体に戻りやすい。こうした扱いやすい性質から、エアコン・冷蔵庫の冷媒のほか、断熱材をつくるときの発泡剤、スプレーの噴射剤、電子部品の洗浄剤など、さまざまな用途に使われてきました。
冷媒としてのフロン
冷媒とは、エアコンや冷蔵庫の中の配管をめぐりながら熱を運ぶ物質のことです。液体が気体に変わるときにまわりの熱を奪い(気化熱)、圧縮されて液体に戻るときに熱を放出します。この性質を使って、エアコンは室内の熱を屋外へ、冷蔵庫は庫内の熱を外へと運び出しています。冷媒は機器の中に密閉されていて、正常に使っている限り減ったり補充したりするものではありません。
特定フロン・代替フロン・ノンフロンの違い
「フロン」とひとくちに言っても、成分によって環境への影響が異なります。よく使われる呼び分けは次のとおりです。
- 特定フロン(CFC・HCFC):塩素を含み、オゾン層を破壊するフロンです。かつての冷蔵庫やエアコン、スプレーなどに広く使われていましたが、現在は生産が段階的に止められています。
- 代替フロン(HFC):塩素を含まないため、オゾン層は壊しません。特定フロンに代わって普及しましたが、二酸化炭素よりはるかに強い温室効果を持つものが多く、温暖化の面で課題があります。
- ノンフロン(自然冷媒など):フロンを使わない冷媒のことです。炭化水素、二酸化炭素、アンモニアなどがあり、家庭用の冷蔵庫ではノンフロンの製品が主流になっています。
ニュースで「フロン対策」という言葉が出てきたときは、かつてはオゾン層を守るための特定フロンの話、いまは温暖化を防ぐための代替フロンの話であることが多くなっています。
フロンが問題になってきた理由
オゾン層の破壊
大気中に放出された特定フロンは、分解されにくいため上空の成層圏まで届きます。そこで強い紫外線を受けて塩素を放出し、その塩素がオゾンを次々と壊していきます。オゾン層は太陽からの有害な紫外線を吸収する役割を持っているため、オゾン層が薄くなると、地上に届く紫外線が増え、皮膚や目、生態系への影響が心配されます。このため、国際的な枠組みのもとで特定フロンの生産と使用が減らされてきました。
代替フロンによる地球温暖化
特定フロンに代わって使われるようになった代替フロンは、オゾン層を壊さない一方で、温室効果が非常に強いという別の問題を抱えています。少しの量が漏れるだけでも、同じ量の二酸化炭素と比べて大きな温暖化の影響があるため、代替フロンも使用量を減らし、温室効果の小さい冷媒やノンフロンへ切り替える動きが進んでいます。
フロンが漏れるタイミング
冷媒のフロンが大気に出ていくのは、主に二つの場面です。一つは使っている間の漏えいで、配管の劣化や傷、設置不良などが原因になります。もう一つは廃棄のときで、冷媒を回収しないまま機器を壊したり、配管を切ったりすると、中のフロンがそのまま大気へ放出されます。店舗やオフィスで使う業務用の冷凍・空調機器については、点検や廃棄時の回収のルールが法律で定められていて、企業の管理の取り組みも進められています。
暮らしの中のフロン
自宅の機器に使われている冷媒を確かめる
家庭のエアコンや冷蔵庫に何の冷媒が使われているかは、本体や室外機に貼られた銘板(製品の仕様を記したラベル)や取扱説明書で確かめられます。冷媒の種類と量が書かれているので、買い替えや処分を考えるときに一度見ておくと、販売店や引き取り業者とのやり取りがスムーズになります。新しく選ぶときは、省エネ性能とあわせて、温室効果の小さい冷媒やノンフロンの製品かどうかも比べる材料にできます。
手放すときは、冷媒を回収できるルートで引き取ってもらう
家庭用のエアコンや冷蔵庫・冷凍庫は、ふつうの粗大ごみとしては出せず、販売店などを通じて引き取り、メーカーがリサイクルする仕組みが法律で定められています。この流れの中で、中に残っている冷媒も回収されます。手放すときは、買い替え先の店、購入した店、または住んでいる自治体が案内している方法で引き取りを頼むのが基本です。
不用品回収業者にまとめて頼む場合は、自治体の許可を持っているか、エアコンや冷蔵庫をどこへ引き渡すのかを説明できるかを事前に確かめると安心です。「無料で何でも回収」とうたう業者の中には、引き取った家電を適切に処理せず、冷媒が回収されないまま解体されるケースもあるため、料金の安さだけで決めないことが大切です。
また、引っ越しなどでエアコンを外すときに、自分で配管を切り離すと冷媒が漏れてしまいます。取り外しは、冷媒を室外機に閉じ込める作業(ポンプダウン)ができる専門の業者に任せましょう。
長く大事に使い、漏れのサインに気づく
冷媒を漏らさない一番の近道は、機器を丁寧に使い、異変に早めに気づくことです。エアコンなら、フィルターの掃除や室外機まわりを物でふさがないといった日々の手入れが、効率よく動かすことにもつながります。手入れの手順はエアコンの節約術と掃除のコツでまとめています。
手入れをしているのに「前より冷えない・暖まらない」「室外機の配管に霜がつく」といった状態が続くときは、冷媒が漏れている可能性があります。自分で冷媒を足そうとせず、メーカーや販売店に点検を依頼しましょう。機器を長く使うことは、買い替えに伴う資源の消費を抑えることにもなります。家全体のエネルギーの使い方を見直したい方は、家庭でできる省エネアクションもあわせて参考にしてください。
