普段私たちが何気なく使用している紙コップは、一度きりで捨てられてしまうことが多く、もったいないと感じている人は大勢いるだろう。昨今は地球環境への影響を考慮して、再利用可能な容器の使用を望む声が高まっている。このような環境課題に配慮すべく、サッカーJ1のガンバ大阪と連携し、使い捨て紙コップを循環する実証実験が行われている。
具体的には、ガンバ大阪のホームグラウンドであるパナソニックスタジアム吹田内で使用されるドリンク用紙コップを、堆肥にすることができる生分解性樹脂「BioPBS™」を内面に使用した紙コップに変更し、使用後は野菜の栽培に利用できる堆肥にするというもの。コップは約10万個分を予定している。BioPBS™は、植物由来の生分解性樹脂で、自然界の微⽣物によって水と⼆酸化炭素に分解されるため、⾃然環境への負荷が少ない樹脂素材。
通常、紙コップの内側には耐水性を高めるためにラミネート加工が施されているが、この素材を生分解性樹脂に置き換えたことで、紙コップ全体をコンポスト設備や土壌で分解可能になる。
使用後廃棄された紙コップは、スタジアム内に設置された食品残渣(ざんさ)発酵分解装置で、食べ残しや生ごみなどと一緒に1次発酵される。その後は、堆肥場にて2次、3次発酵に進み、最終的にはわずか4日間ほどで堆肥に生まれ変わり、農地で活躍してくれるのだ。
大阪府では「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」を掲げており、マイ容器やマイボトルを使って食品や飲み物、日用品を持ち帰ることができるお店をウェブサイト上で簡単に探せるサービス「Osakaほかさんマップ」を作成するなど、プラスチックごみの削減に取り組んでいる。今回の取り組みもプラスチックの資源循環を推進する活動の一環だ。
これまでスタジアム利用者が何気なく使用していた紙コップを、新しい価値を持つものに生まれ変わらせる今回の企画。外で飲み物を買った際に、堆肥化できる紙コップにいれられたものを手にする日も意外と近いかもしれない。
【参照サイト】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
【参照サイト】ガンバ大阪
【関連サイト】大阪府のプラごみゼロチャレンジ!
【関連サイト】ゼロウェイストなお店が集まる「Osakaほかさんマップ」とは?大阪府の担当者に聞いてみた
河端 麻紀
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