当連載ではエコライターの曽我 美穂が海外在住の方に、その土地ならではのゼロウェイストな試みをお聞きします。今回は、韓国在住の鈴木あゆみさんに、ゼロウェイストショップをレポートしていただきます!
鈴木 あゆみさんのプロフィール
2012年にパートナーの祖国である韓国に移住。日本人唯一の理事として韓国のハンサリム生活協同組合で働いている。韓国自然の友研究所国際交流委員。ナマケモノ倶楽部理事(日本)。二児の母。Instagram:@ayuhachidori
ソウルのゼロウェイストショップ「アルメン商店リフィールステーション」
こんにちは、鈴木 あゆみです。今回は、韓国でいまやゼロウェイスト運動に興味がない人でも知らない人はいないんじゃないか、というくらい有名なゼロウェイストショップ「アルメン商店リフィールステーション」について、お伝えします!
アルメン商店とは?
今回は、アルメン商店が2022年3月に移転リニューアルオープン後、初めての訪問です。アルメン商店があるのは、ソウルの中でも多くの若者が集う「望遠洞(マンウォンドン)」というエリア。1階がお刺身やさんの建物の3階にあります。
ビルの入口には使用済みプラスチックを溶かして作った看板がありました。「アルメン商店 3階」と書いてあります。アルメンとは韓国語で「中身」という意味で、無包装のものを売っているというところからきています。
お店の入り口には、ペットボトルの蓋を使ったかわいい暖簾が。さあ、入ってみましょう!
入ってすぐに目に入ったのは、ずらりと並んだ韓国の芸能人サイン。ドラマや映画で有名な俳優やアイドル達も訪れるいまホットなお店でもあるんです。左上から2番目にあるのは、大河ドラマ等数々のドラマに出演する女優で、韓国環境部の広報大使も務めたパク・ジニさんのサインです!
「あなたの容器を歓迎します」のフラッグもあります。
量り売りのシャンプーや石けんが人気!
アルメン商店の最大の特徴は、リフィール可能な無包装の商品が、ずらりと並んでいることです。シャンプー、リンス、ボディソープ、ボディクリームなどなど多様なリフィール(詰め替え)商品が並んでいます。
この写真に載っている「AROMATICA」は、韓国の若い世代に人気のコスメブランド。日本でも人気のコスメショップ「オリーブヤング」にも商品が置いてあるほどです。
持参した瓶やプラスチックボトルに入れるシステムになっていますが、容器の販売もしているので、忘れた場合は購入すれば大丈夫です。欲しいものを決めて、自分で容器に詰めて、計って、グラム数と商品の名前を書いてレジに持っていくシステムになっています。
石けんの数も豊富!全て天然素材を使っており、ほとんどが紙包装です。洗顔用、シャンプーバー、リンスバー、台所用固形石けんなど使用方法に合わせて石けんが選べます。中にはお菓子のような綺麗な色の石けんや、ペット用の石けんもありました。
この「TOUN28」は、最近、韓国のナチュラル思考の若い世代に人気の、韓国発のコスメブランドです。イギリスのビーガンソサエティの認証も得ています。
この店のベストセラーは、韓国産ドクダミ石けん。私もひとつ購入しました。
いろんな「ごみ」の回収も!
アルメン商店リフィールステーションでは、いろんな「ごみ」の回収もしています。コミュニティー回収センターの役割も果たしているんです。
回収しているものは、コーヒーかす、ペットボトルのふた、紙パック、テトラパック(滅菌パック)、玉ねぎの網袋、使わなくなったクレヨン、はたまた浄水器カートリッジまで多種多様。回収時にはカードにスタンプを押してくれて、スタンプを12個集めるとプラスチックフリーなプレゼントがもらえます。
回収されたペットボトルの蓋を使って、店内の加工用機械で細断し、溶かしてビーズやキーホルダーなどを作ることもできます。
量り売りのフード類や雑貨も人気!
お店の方に聞いたところ、最近売れ行きがよいのは、量り売りのフードコーナーだそうです。以前からあるハーブティーの量り売りに加えて、新たに食べ物おやつ系が登場。私は3色ビーガンクラッカーとレモングラスを購入しました。
他にもグラノーラやナッツ、コーヒー豆、ビーガンヨーグルト、植物油の量り売りもありました。
その他に、ステンレス製やシリコン製のお弁当箱やストロー、無漂白の布巾やミツロウラップ、布ナプキンなどの雑貨も、たくさん置いてありました。シンプルでかわいいものばかりで、目移りしてしまいます!
ゼロウェイスト運動も展開
帰り際に、ペットボトルの蓋の二重構造に反対する署名を集めるポスターを発見しました。韓国では、ペットボトルの蓋に2種類(2色)のプラスチックが使われているため、リサイクルが難しくなっています。そこで、リサイクルできるように単一素材の蓋への移行を求める署名活動をしている、とのことです。
実はアルメン商店は、市民と共に韓国のゼロウェイスト運動を積極的にすすめています。先日は、浄水器カートリッジの回収を販売企業に求めるべく、1万人以上の署名と使用済みのプラスチック製カートリッジを送るアクションを展開。これに応じて企業は、使用済みカートリッジの回収システムを立ち上げました。
なぜ、お店がここまで熱心に環境活動を実施しているのか? その理由は、アルメン商店の代表にあります。アルメン商店代表のコ・グムスクさんは、ファッションデザイン関連の仕事をした後、持続可能な社会づくりのために環境活動をしてきた人。「みんなにもっと身近にゼロウェイストを実践してもらいたい」という想いで、アルメン商店を立ち上げたのです。
これまでの経験を活かして、コ・グムスクさんはアルメン商店の経営だけでなく、韓国各地でゼロウェイスト運動についての講演やキャンペーンを積極的におこなっています。ここに来れば韓国のゼロウェイストの今が分かる。アルメン商店は、そんな存在になっています。韓国訪問の際には、魅力満載のアルメン商店リフィールステーションをぜひ訪ねてみてくださいね。
【参照ページ】アルメン商店インスタグラム(韓国語)
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曽我 美穂
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