ごみ袋もおしゃれ!ノルウェーのゼロウェイスト事情をレポート

ごみ袋

当連載ではエコライターの曽我 美穂が海外在住の方に、その土地ならではのゼロウェイストな試みをお聞きします。今回は、ノルウェー在住の吉川美奈子さんに、現地のごみ捨て、廃棄物の処理事情を教えていただきました!

吉川美奈子さんのプロフィール

プロフィール写真2020年夏に夫の出身地である北ノルウェーに家族移住。東京の都心から人口2万人のアルタという町での生活を2年間経験し、現在は人口7万人の学園都市トロムソ在住。どちらも大自然に囲まれたフリールフツリーヴ(自然と共存するライフスタイル)を、年間通して楽しめる北極圏の町で、週末や休日は家族や友人と近隣の山歩きを楽しんでいる。20年近く東京でモンテッソーリ教育に携わり、こちらでは言語習得に精を出しながら地元の保育園に勤務中。

ノルウェーはどんなところ?

ノルウェーのオーロラ

私が住んでいる場所ではオーロラを見ることができます!

ノルウェーの国土は、日本とそれほど変わらないですが、なんと人口は日本の22分の1! 自然が豊かで、自然と人の暮らしの関係が近いな、と感じています。人々は基本的に謙虚で大らか。また、民主主義や平等への意識が高いです。そのため、あくまで私個人の感覚としてですが、移民でも比較的暮らしやすい国だと感じています。経済は原油産業に頼っている現実があるものの、政府の環境政策ではテクノロジーを駆使し、持続可能な暮らしを目指し、他の国々をリードしています。

いろんな色の袋に分けて、ごみを分別!

私が住んでいるトロムソでは、ごみの種類ごとに、いろんな色の袋に分けていれたうえで、大きなごみ箱に袋を全部入れて出しています。今は国内の地域ごとに色分けが異なるので「色分けを統一しよう」という動きも出ていて、これまでのごみ袋を使い切ってから新しいごみ袋を使用しよう、と言われています。そのため、今は新旧どちらのごみ袋で出してもOKです。

こちらが、トロムソ市で新しく流通し始めている透明タイプのゴミ袋です。紫色の水玉にはプラスチック、水色の水玉には段ボール、紙、牛乳パック、緑色の水玉には生ごみを入れるルールになっています。
ごみ袋

その他のごみは一般の買い物袋を裏返して使用しています。なお、以前の透明でないタイプ(この下の画像。赤は紙用、オレンジは牛乳パック用)は、間違えて使用された場合に外から見分けがつかないので、透明タイプに変更されたそうです。
ごみ袋

各家庭での分別は、シンク下のスペースにごみ箱を設置している家が多い印象です。他にも様々な分別グッズがあり、引き出しタイプのごみ箱を利用している家庭もあります。

緑ステッカーが「生ごみ」、紫ステッカーが「プラスチック」、黒ステッカーが「その他のごみ」用です。加えて、青ステッカーの「紙製品(一般紙、段ボール、牛乳パック等)」用のごみ箱も用意している家庭もあります。
ごみ箱

こちらが、ごみを出すときに使っているごみ箱です。黒いごみ箱には色分けした袋に分別した普通ごみを、袋ごと入れています。1週間に1回、家の前に出しておくとごみ回収車が回収に来ます。オレンジのごみ箱は、ビン・缶等のリサイクルゴミを入れるごみ箱で、回収の頻度は月1回です。
ごみ箱

回収の様子は、こんな感じです。
ごみ収集車
ごみ収集の様子

街中でもしっかり分別!

ノルウェーでは、街中でもしっかりごみを分別して出せる仕組みになっています。こちらが街中の分別ごみ箱。同じく色分けされていて分かりやすく表示されているのですが、各地域で配色が別なので、現在この色を全国統一にできないか、政府が検討中だそうです。

右から:
黒:Glass and Metal(ビン缶等のガラス金属類)
水色:Plastic(プラスチック)汚れていないプラスチックであれば基本何でも可
緑:Food Waste(生ごみ)草花は多少であればOK、ペーパータオルも少量であれば可
灰色:Other Wasteということで下記以外のその他のごみ
ごみ箱

空き缶やペットボトルのリサイクル「パントシステム」

空き缶やペットボトルのリサイクルをPANT(パント)と言います。購入する際にデポジットを払い、ボトルが回収されるとその金額が返金される仕組みです。

私が住んでいる地域でも、パントシステムが広く普及しています。通常の500mlの容器であれば2クローネ、それ以上の容器であれば3クローネを購入時に支払い、食品スーパー等の隅に設置されているパント回収機に持参すると現金が戻ります。

パントシステムに並ぶ人

こちらは、近所のスーパーの一角で、大きな袋を持って並ぶ人たちの様子です。つぶしてしまうとセンサーがどの規格のものか判断できないため、現金が戻ってきません。そのため、とにかく運ぶ時の容量が大きいのですが、そういうことはみんな気にならないようです。

パントシステムの機械に入れて金額が表示された後、現金支払いか赤十字に寄付という2つの選択ボタンが表示されます。以前は1個ずつ機械に挿入していくタイプの回収機が一般的だったのですが、最近、一気に入れられる機械が登場し、とても便利になりました。
パントシステム

画面に金額が出てきます。

パントシステム

ノルウェーはごみ箱やごみ袋もデザイン性が高く、また誰にとっても理解しやすく表示されており、ユーザー視点に立ったゴミ分別の環境が整っていると感じています。これからも、この地域のごみの分別、ゴミ処理、またゴミ再利用がどのように進化していくか注目していきたいです!

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曽我 美穂

曽我 美穂(そが みほ)。2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。雑誌やウェブサイトで編集、撮影、執筆、翻訳などをおこなっている。主なテーマはエコな暮らしやSDGs、環境問題。私生活では2009年生まれの娘と2012年生まれの息子の二児の母でもある。現在、富山県在住。個人サイト:https://sogamiho.mystrikingly.com/