アフリカのエコな暮らしを現地からレポート!【世界のゼロウェイスト:モザンビーク編】

カバン

当連載ではエコライターの曽我 美穂が海外在住の方に、その土地ならではのゼロウェイストな試みをお聞きします。今回は、アフリカ・モザンビーク在住の辻 貴行(つじたかゆき)さんに、現地の暮らしで見つけたゼロウェイストを教えていただきました!

辻 貴行さんのプロフィール

プロフィール写真埼玉県出身。NGO職員を経て国際協力機構(JICA)職員。東北センター(仙台)ではNGOや自治体等による協力の企画や監理に従事し、現在はモザンビーク事務所にて保健と教育分野を担当しています。趣味はマングローブとそこに暮らす人びとを訪ねることです。

モザンビークはどんな国?

海

モザンビークの海岸線は、合計2700km。海が身近にある国です。

モザンビークは、南部アフリカの東海岸にある、温暖で過ごしやすい気候の国です。ポルトガルから独立後、1992年まで内戦が続いたため、アフリカの中でも特に開発が遅れており「後発開発途上国」とされています。

一方で、漁業にも農業にも適していて、天然ガス、石炭、ルビー、リチウムなどの天然資源にも恵まれているので、これからの発展が期待されています。

漁の様子

手投げ網漁の様子。

ここでの暮らしは、日本と比べて不便な面もありますが、穏やかで優しく、あくせくしないモザンビークの人たちと接していると「暮らしやすい国だなあ」と感じます。妻も子どもたちも、のびのび楽しく生活しています。

野菜や果物は、道端でそのまま販売!

屋台
モザンビーク国内の道路沿いには、野菜や果物はもちろんのこと、魚、牛乳、木工品や木炭など、様々な農産物が売られています。商品はシンプルに道に平積みにして並べらえているだけ。

買い方も簡単で、「おばちゃん!この山をちょうだい」と言うと、ペラペラのビニール袋に入れてくれます。袋が用意されていない屋台も多いので、そのまま手で持って帰る人もいます。マイバック持参で行くと、少しおまけしてくれることもあります。昔から、究極のごみゼロを実践してきているんですね。

木につるして、いろんなものを販売!

カバンの屋台
家の近所にあるFEIMAという公園には、いろんな屋台が出ています。その売り方が独特で、初めて見た時は驚きました。売り方はなんと木にかけるだけ!木があればワゴンやテーブル要らずなんです。「木でお店が開ける」なんて、日本ではなかなか思いつかない発想ですよね。

売られているのも、綿100%の布でできたカバンや、自然素材でできたカゴで、とてもエコです。

カバン かごなど

こちらは、ろうけつ染めの絵を販売している様子。紐に吊るして売っているので、自然光でとても綺麗に見えます。

カフェのストローは紙かステンレスが多い

私たちが住んでいる首都のマプトにあるカフェでは、かなりゼロウェイストの意識が高く、多くのカフェで、ステンレスストローや紙ストローを使っています。

ステンレスストロー

日本の中古車、第二の人生!

実は、モザンビークでは日本の中古車をよく見かけます。こちらは、地元の乗り合いバスとして活躍中の、もとは日本の幼稚園バスです!

幼稚園バス

学校でコンポストを実践

子どもたちが通っているインターナショナルスクールは、国際バカロレア(IB)プログラムを適用している学校です。教科書がなく、思考力が鍛えられることが特徴です。そのカリキュラムの一環として、校内に子どもたちが取り組んでいるコンポストがあります。

コンポスト

授業参観では、小学5年生がコンポストについての研究発表をしていました。挑戦しているコンポストの方法は「ラザニアコンポスト」。これは文字通り、イタリア料理のラザニアのようにコンポストの材料となるもの(生ごみ、落ち葉、草など)を重ねていくやり方です。生徒たちが楽しそうにコンポストへの取り組みを発表している姿が印象的でした。

コンポストの説明

武器アート・ごみアート

内戦が長かったモザンビークには「武器アート」というものがあります。これは、本来捨てられる武器を使った、平和を訴えるためのアートです。この他に、自転車などのパーツに再利用している例も多いです。

武器アートの他に、ごみアートもちらほら見かけます。こちらは、モザンビーク国内の下町のペンションで見かけたごみアートです。かっこいいですよね!

ごみ山の問題と、ある意味ごみがない現実

最初にお伝えしたように、モザンビークは後発開発途上国です。貧富の差がとても大きく、ごみの山から資源になりそうなものを見つけるウエストピッカーで生計を立てている人たちもいます。

こちらは、我が家から車で10分くらいのところにある、町のゴミ処分場の写真です。巨大なゴミ山の上に、たくさんの人がいて、ごみ山からペットボトル、紙、ビン、鉄、アルミなどの資源を集めて、それをお金にして生活しています。
ゴミ山
町には、ごみ箱(大きい緑色のコンテナ)が各所に接地されているのですが、そこを漁る人の姿は日常の光景です。食べ残しや賞味期限切れで処分する食品を、別の袋に入れて持ち帰りやすくする。そういったここでのごみ出しの常識にびっくりしました。

明らかにごみから拾ったものを道端で売っている人も、よく見かけます。ある意味、ゼロウェイストに近い状態です。とはいえ、ごみ山からは自然発火も多く、健康にも良くないので、ごみを拾わずに生活できるように変えていく必要があります。

おまけ:木が販売所に!びっくりの販売方法

これはカシューナッツの販売方法。ドライブ中に出会いました。こんな方法があるなんて、驚きですよね!ビニール袋に入っているので完全にゼロウェイストではないですが、自然にあるものをそのまま使うので、お店を作るための什器などの材料はゼロ!そういう意味ではゴミが出ない販売方法ですね。
カシューナッツ

暮らしの中で、いろんなことを学びたい

後発開発途上国と言われるモザンビークには様々な社会問題があります。一方で、美し自然が多く残っている国でもあり、人々の昔ながらのシンプルな暮らし方に「これはゼロウェイスト!」と驚くことも多い。とても魅力的なところです。

これからも、家族と共に、モザンビークの暮らしからいろんなことを学んでいきたいです。

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曽我 美穂

曽我 美穂(そが みほ)。2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。雑誌やウェブサイトで編集、撮影、執筆、翻訳などをおこなっている。主なテーマはエコな暮らしやSDGs、環境問題。私生活では2009年生まれの娘と2012年生まれの息子の二児の母でもある。現在、富山県在住。個人サイト:https://sogamiho.mystrikingly.com/