毎日のスキンケアに欠かせない化粧品類。各メーカーやブランド、用途によって数え切れないほどの種類があることに加え、今では男性でも日常的に愛用し、関連商品も多く販売されている。そんな美容業界で、長らく課題とされてきたのが、使用後のボトル類の処理だ。幅広いサイズや形、加工が施された容器が多く中身も多種多様なため、洗浄やリサイクルが難しい。
株式会社資生堂は、そんな化粧品類のプラスチック製容器を収集し、再びプラスチック製容器へとリサイクルする循環型プロジェクト「BeauRing（ビューリング）」を立ち上げ、4月から使用済み容器の回収を一部の店頭で開始する。試験結果を参考に、その後も回収場所の拡大を検討しているとのこと。
本プロジェクトの回収拠点となるのは、神奈川県横浜市内のデパートや化粧品専門店、横浜みなとみらい21地区にある資生堂グローバルイノベーションセンターをはじめとした計10カ所。実証実験では、回収拠点で集めた使用済み容器を一時的に資生堂グローバルイノベーションセンターへ集積し、ユーザーに案内したとおりの収集物が回収できているか、量や運搬頻度はどのくらいかといった項目を分析。効果的なリサイクルのスキームや、回収活動の全国展開につなげるためのデータを収集する。
実際の回収は、専用の「BeauRing BOX」を各拠点に設置し、ユーザーに直接投函してもらう方式だ。
収集対象商品は資生堂の全ブランドのプラスチック製容器。投函時は中を洗浄する必要はなく、キャップやスポンジ、チップなどもつけたままでよいとのこと。初回の回収期間は「リサイクル検証に適した量に達するまで」となっており、明確にはされていないものの、従来の回収キャンペーンよりも、気軽に参加できるようになっている。
資生堂は、プラスチック容器の問題を美容業界全体で変えていくことで、ユーザーがよりポジティブに化粧品類を使える社会を目指しており、同社以外の企業にもプロジェクト参加を呼びかけている。2023年2月現在では、株式会社ポーラ・オルビスホールディングスがPOLAブランドで参画を決定しており、こちらの回収活動にも注目だ。
化粧品に限らず、シャンプーやボディソープといった直接身体に使用する製品は、中身の鮮度や安全性の観点からみても、複雑で処理しにくい容器が多い。メーカーによる自社製容器の回収は、これからも積極的に応援していきたい活動だ。
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斉藤雄二
