ゼロウェイストを目指すとき、どうしてもネックになりやすいのがテイクアウトサービス利用時に発生する「容器ごみ」だ。多様な国のものが入り混じった日本の食文化をテイクアウトに落とし込むとなると、容器もそれなりに複雑になってくる。また、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で食べたいと考える日本人も多い。
このように多種多様なニーズにしっかりと対応しつつ、「容器ごみ」の排出ゼロを目指して生まれたのが「Megloo(メグルー)」だ。
まず、テイクアウトサービスを実施している飲食店やお弁当屋さんに働きかけ、提携店舗として参加してもらう。各店舗は、メグルーが提供する専用の容器で利用者にテイクアウトサービスを提供する。ここまではよくあるリユーザブル容器だが、メグルーのサービスはここからがとても画期的なポイントとなっている。
利用者は食べ終わった後の容器を返却する際、提携店舗であればどこに持ちこんでも構わない。容器を受け取った店舗は、また自店舗のテイクアウトサービス時にそのメグルー専用容器に料理を盛り付けて利用者に渡す。
つまり離れた提携店舗同士で、テイクアウト容器を共有し合うという仕組みだ。シンプルだが、店舗同士の理解や、容器を使い回すという心理的ハードル、注文時や容器回収時のシステムづくりなど、いくつかのハードルも存在する。
サービスを提供し始めたのは、JR鎌倉駅を中心とした約10店舗。鎌倉といえば、あの「面白法人カヤック」の本社があり、シリコンバレーをもじった地域おこしプロジェクト「カマコン」などが話題となったエリアだ。地域の結びつきも強く、実験の場としてはうってつけと言えるだろう。洋食から和食までさまざまな種類の料理店と提携しており、メグルー容器の守備範囲の広さもうかがえる。
サービスを主導するのは、代表の善積(よしずみ)さんだ。ある時、仕事仲間数人でテイクアウトし、食べ終えた後片付けをしていると、容器ごみの多さに驚いたのだそうだ。実際にアンケートを取ってみたところ、テイクアウト後に発生するごみにちょっとした罪悪感を感じる人が約80%もいたのだという。
そこで善積さんは家に持ち帰って、わずか10分ほどでごみになってしまうテイクアウト容器をリユース容器に置き換えることはできないかと考えた。そこでシェアリングサービスにして循環するというアイデアもプラスして生まれたのがメグルーだ。
実際に利用する際にはLINE公式アカウントで対応店舗を検索し、メグルー容器の数を入力して送信しておく。店頭でLINEの画面を提示して、テイクアウト商品を受け取るという流れだ。
返却時にもLINE公式アカウントを使い、「返却する」をタップしたあとはメグルー対応店舗で返却を済ませる。テイクアウトしたお店でなくても返却できるほか、特設の返却ボックスを利用することも可能だ。
メグルーは鎌倉市内で順調に利用者が増え、新しい容器を開発するためにクラウドファンディングサイト「グッドモーニング」でプロジェクトを立ち上げている。耐久性やデザインといった面から、メグルー容器のさらなる改良が必要になった一方で、需要はさらに増え続け、スタジアムや商業施設まで広げたいとのこと。
一昔前まで出前でとったラーメンの丼や蕎麦の食器などは、玄関の前に置いておけば回収してくれる文化が日本にもあった。古き良き仕組みを令和にふさわしいかたちにアップデートする意欲的な試みだ。気になる人は、ぜひプロジェクトに参加してみよう。
【参照ページ】【リユース容器が街を巡る!】ゴミが出ない気持ち良いテイクアウト文化を広めたい!MEGLOO(メグルー)| Good Morning
【関連ページ】:2022年はゼロウェイスト生活に挑戦!ごみを減らすためにできる10のこと
【関連ページ】:ゼロウェイストな暮らしに役立つ!持ち物リスト
斉藤雄二
最新記事 by 斉藤雄二 (全て見る)
- 【2024年】Apple公式下取りサービス「Apple Trade in」とは? 実際に利用した様子と査定額も - 2024年10月7日
- 廃棄物から生まれた香り、チョコレートの残渣を使ったお香「カカオハスクのお香」販売開始 - 2024年9月30日
- 東京都、10月12日より都市課題をアートで表現する体験型展示会「エモーション・クロッシング展」開催 - 2024年9月27日