「ツナグパン」で食品ロスと社会課題を同時に解決!神戸「ケルン」の新しい挑戦

ケルン

昨年9月、Life Huggerでは神戸・JR摂津本山駅に位置するサステナブルベーカリー「日々ケルン」を取材した。「パンで社会を幸せにする!地域の課題に取り組む老舗ベーカリーの挑戦」では、地域が抱える社会課題解決に取り組む同社のストーリーを公開し、多くの反響を得た。

ケルン

そのケルンが、日々ケルンを含む全店舗で、2021年12月より⾷品廃棄ロスを削減する経済循環型のパンの新しい販売システム「ツナグパン」を開始した。フードロス削減と同時に社会的弱者の⽀援を実現する、画期的な仕組みに注目が集まっている。

この仕組みでは、売れ残ったケルンのパンの中から⾷中毒リスクが低く、傷みにくいパン10~20個(予定)をアソートして、製造翌⽇の開店から閉店まで販売。購⼊者にはケルン全店で使える⽊製の「エシカルコイン」(100 円相当)がプレゼントされる。また、福祉施設を介して同額のエシカルコインが⽀援対象者にも贈られるという仕組みだ。

フードロスの削減とあわせて、⽀援先である兵庫県下の福祉施設の利⽤者本⼈にエシカルコインを使った消費⾏動を促し、社会的⾃⽴を応援するのが、本施策の最大の狙いとなっている。

1946年の創業以来、親子三代に渡って地元・神戸に直営店を展開し、愛され続けているケルン。代表取締役の壷井 豪さんに、「ツナグパン」について尋ねてみた。

壺井さん

「“フードロス削減と社会的弱者支援を誰もが疲弊しないかたちで循環させたい”という想いから『ツナグパン』は誕生しました。まだエシカルコインすら思い付いていない頃、『ツナグパン』に興味を持たれた複数の福祉施設を訪問しましたが、施設長とお話させていただくなかで、『生まれや境遇の違いによってこんなにも辛い人生を送っている人達がいるのだ』と知り、自分の無知さを思い知りました。

そのなかで、『パン屋である自分がやれる事はなんだろう?』と考えたときに、おいしいパンを焼いたり、誰にもマネできない技術を身につけたり、次世代の技術者を育てたりすること、すべてが大切で正解だと思ったのです。失敗にも成功にも仕組みにすべてがかかっています。だから、仕組みを作る人がいてもいいのではないか。『ツナグパン』は、そんな思考が生み出した産物であるかもしれません。」

さらに、「ツナグパン」を続けるうえで大切なことを伺ってみた。

「『ツナグパン』を打ち出した当初はさまざまな欠陥があり、有識者の方々にも指摘されていました。アドバイスをもとに改善を繰り返してきましたが、社会的弱者の方と一般消費者の方を区別させない仕組みや、既存顧客間で値引きによるカニバリズムが起きない仕組みづくりにはこだわりました。今後はエシカルコインを地域通貨と捉え、さまざまなシチュエーションでの活用を進めていきたいですね。」

エシカルコインのツナグパン

今後も、パンの街神⼾からパンによる社会課題解決の提案と、循環型社会の実現に寄与していくというケルン。地域とお店が一体となって、人々がより良い方向へ生活を変えていくきっかけを作るケルンのあり方は、持続可能な地域社会において、これからさらに注目を浴びていきそうだ。

【参照サイト】神戸のパン|株式会社ケルン

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河端 麻紀

愛知県で働く30代のフリーランスライターです。旅行関連の記事を得意としています。SDGsについては現在勉強中で、働きがいも経済成長も感じられる社会を目指しているところです。休日は映画鑑賞とジョギングを楽しんでいます。