家庭菜園士が実践しておすすめする、生ごみからしっかり堆肥が作れるコンポスト4種

コンポスト

2019年度に環境省が行った「一般廃棄物の排出及び処理状況等について」の調査結果によると、全国にごみの焼却施設は1,067軒もあり、ごみの総排出量は4,274万トン、1人の1日当たりのごみの排出量はおよそ918グラムにも及ぶといいます。

【参照】環境省_一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について

また、「生ごみは可燃ごみか」(福渡 和子著/幻冬舎)では、生ごみの80~90%は水分という実態が明かされています。すなわち、焼却処分は水を燃やしているに等しく、環境に大きな負荷をかけているのです。

そこでおすすめしたいのはコンポスト。家庭で出る生ごみのほとんどはコンポストで処理すれば、家庭菜園や園芸の良質な肥料になります。

今回は家庭でも取り入れやすいコンポストを4つご紹介します。庭に設置するものからベランダでも使えるものまで、タイプ別に見ていきましょう。

生ごみが激減する「コンポスト」とは

コンポストとは「堆肥、または生ごみを堆肥化させる」こと。コンポストをするための専用容器を「コンポスト」や「コンポスター」と言うこともあります。コンポストにはさまざまな種類があるので、継続するためには自分のライフスタイルに合ったものを選びましょう。

堆肥は「生ごみ」→「発酵・分解」の工程を経て、「完熟」して完成します。コンポストの種類によって、「生ごみ」→「発酵・分解」までのタイプと、「生ごみ」→「発酵・分解」→「完熟」で完了するタイプがありますので、違いを把握しておくとよいでしょう。

ベランダにおすすめのコンポスト

密閉式コンポスト

生ごみと一緒にコンポスト用生ごみ発酵促進剤とボカシなどを入れて、密閉しておくタイプのコンポストです。このタイプのコンポストは発酵・分解の過程で「液肥」ができます。液肥は希釈(水で薄めて濃さを調整すること)して、家庭菜園、園芸などの肥料に使えます。臭いがあるので、ベランダなどの屋外で出すと良いでしょう。

密閉式タイプのコンポストは、水分を多く含む生ゴミでもそのまま投入できます。密閉されているので、生ごみの臭いはほぼしません。また、室内での使用も可能です。

密閉式コンポストは「生ごみ」→「発酵・分解」までを担当してくれますので、その後、堆肥として完成させるために、土や落ち葉と混ぜて完熟させる工程が必要になります。

段ボールコンポスト

段ボールでできたコンポストです。市販のキットも販売されていますが、段ボールで手作りすることもできます。コンポストのなかで生ごみを堆肥化させるために「腐葉土」「モミガラ燻炭」「米ぬか」など、生ごみの分解を促進する資材が別途必要です。通気性を良くしつつも、防虫の対策が必要であるため、目の細かなネットをかけておくと良いでしょう。雨に濡れると失敗しますので、濡れる心配がないところに設置してください。

段ボールコンポストの場合は、生ごみの含水率を60%程度(生ごみをぎゅっと握ったときに、数滴の水分が落ちる程度の含水量)まで下げる必要があります。水分量が多いと「発酵・分解」せずに腐敗して堆肥づくりが失敗するため、注意してください。生ごみを新聞紙で包んで水気を切る、少し干すなどの方法で水分量を減らしてから投入しましょう。

段ボールコンポストで「生ごみ」→「発酵・分解」→「完熟」まで完成します。

庭におすすめのコンポスト

土中式コンポスト

容器の裾を地面に埋めるタイプのコンポストです。大型のコンポストが多く、一度に大量の堆肥を作ることができます。このコンポストは庭の微生物を利用するため、他に用意するものはありません。生ごみを入れるだけで、堆肥が完成します。庭や畑がある方向けのコンポストです。

水分量が60%程度になるように水切りをしたごみを入れ、その上に腐葉土や米ヌカなどを入れてサンドイッチ状にしていきます。屋外設置になるため、虫が発生しやすい点はデメリットです。

土中式は「生ごみ」→「発酵・分解」→「完熟」まで完成させられるコンポストです。

ミミズコンポスト

「虫(ミミズ)が恐くない、苦手ではない」という方におすすめのコンポスト。文字の通り、生ごみをミミズに分解してもらうタイプのコンポストです。ミミズには3,000~7,000とたくさんの種類がありますが、生ごみを食べてくれるのは「シマミミズ」という種類です。

ミミズコンポストとして市販されているものもありますし、手作りすることもできます。

コンポストに入れたミミズは生ごみを食べてフンをしますが、このフンは肥料になります。フンは完熟させる必要がなく、そのまま肥料として使用可能です。

ミミズコンポストで「生ごみ」→「発酵・分解」→「完熟」まで完成します。


家庭の生ごみを堆肥化し、庭やプランターで野菜やハーブを育てて食べる。そんな循環を日々の暮らしの中で育むことができるコンポスト生活。ベランダで使えるものから庭に設置する大型のものまで、自分のライフスタイルに合った方法で始めてみてはいかがでしょうか。

【関連ページ】生ごみが劇的に減る!ゼロウェイスト生活におすすめのコンポスト5選

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七尾びび

家庭菜園士。マイファーム松戸農園、循環型でたい肥づくりに特化した松戸千駄堀農園の農園・自産自消アドバイザー。農業系ライター。