【海をわたる往復書簡 ハワイー高知 #7】変化の波とのつきあい方

海を渡る往復書簡

春から夏へ。

夏のような日差しだと思ったら、急に冷え込んだりと、気温の変化がダイナミックな季節の変わり目。年々すごしやすい期間が短くなっていることや、首をかしげるような長雨や寒暖差に体がなかなかついていきません。

そんな中でも季節仕事はまったなし。畑仕事に茶摘み、毎年恒例の「あくまき」作りなどこの時期は大忙しです。

山の上の茶畑で茶摘み

鹿児島の郷土菓子「あくまき」。灰汁に浸けたもち米を竹の皮で包み灰汁で茹でます。

畑で採れたグリンピース

季節の変わり目に心がけていること

季節の変わり目は体調も崩れがち。そんな時に心がけていることがいくつかあるので、シェアさせてくださいね。

「食事は汁物をたっぷりと」

体が冷えたと感じた時は、具だくさんのお味噌汁や野菜たっぷりのスープを作ります。

すぐに体があたたまり、水分と栄養が無理なく取れるのもうれしい。体が整うと気持ちも不思議と落ち着いてきます。作る時は、いつも多めに。すぐに食べられるものがあることは、日々の暮らしの支えになります。

具だくさんのお味噌汁

スープさえあれば安心

「お風呂にゆっくり浸かる」

忙しいときや疲れているときはつい「さっとシャワーでいいかな…」となりますが、そんな時こそぜひともお風呂へ。

気分が変わるし、なにより体が温まる。体も頭もゆるむので、リラックス効果も抜群。

入浴中の照明はできれば暗めに。最近気に入っているのは、電気を消してソーラーランタンやろうそくを使うこと。気持ちが落ち着きます。

「困りごとは人に聞いてもらう」

調子がいまひとつの時は、思考もネガティブループに陥りがち。一晩寝れば、大抵のことは「まあいいか」と思えるのですが、それでもすっきりしない時は、信頼できる友人に話を聞いてもらいます。

「困りごと」は、「自分の感じ方やとらえ方」が原因だったりすることもあるので、それに気付くだけで問題が解決することも。自分が感じていることを言葉にするだけでも、ずいぶんと気持ちが整理されます。

そういえば、私もこれまで加奈子に色々な話を聞いてもらったなぁ、と懐かしく思い出しました。

庭でのおしゃべりは気分も開放的に

人生の節目、体の変化

変化の波は、季節の変わり目だけではなくて、人生の節目にもやってきますね。
実は思い当たることがあるのです。

去年くらいから体調を崩したあと、すっきりと回復しない感じが続いていました。なんとなく意欲も下がっている気がするし、気分の落ち込む日も多くて。それに、食べ物がこれまでみたいにはおいしく感じられない。

「おかしいなあ…」と思っていたところ、あるときはたと、「もしかしてこれは不定愁訴(いわゆる更年期)?」と気付いたのです。

不定愁訴とは、「検査結果としては出ないけれど、体のあちこちに出るつかみどころのないつらい症状」のこと。

40代後半といえば、体が大きく変化する時期。様々な心身の不調がでてくるといわれています。
そんな変化の波をどうやって乗りこなしていくのか…いや、乗りこなすなんてうまくはいかなそうです。

ここ最近はずいぶん楽になってきて、休んでいた合気道の稽古も再開してほっとしています。行きつ戻りつしながらも、バランスをとりながら、できるだけ健やかに過ごせるように、と思っています。

家族や仕事の変化の波も

体や心の変化の波は、自分でケアできることもあるし、時には人に頼ることが必要なことも。一方、何をやっても上手くいかず「どうしようもない」と感じることもあります。出口が見えず、鬱々とする日々が続く、多くの人がそんな日々を経験したことがあると思います。

そんな時はいったいどうしたらいいのか、正解はもちろんありません。でも、ひとつ確かなのは「この状態も必ず変化する」ということ。

つらいときはどうしても「この状態がずっと続く」と感じてしまうけれど、そもそも「ずっとこのまま」ということはありえない。ふりかえってみると、どんなピンチも悩みも、今となっては「そういえばそんなこともあったな」と思えることがほとんどです。

だから、良いこともそうでないことも変化の波を楽しめたら、と思います。
「楽しむ」とは、単に面白いとか心地よいということだけではなく、「その感覚を十分に味わう」ことも含まれているはず。

苦しみの中でしか感じられないものがあり、それを経ることでしか、たどり着けない場所や、目にできない景色がある。

そして、その繰り返しが他のだれでもない自分を作っていくのだとと思います。そう俯瞰できるのは、往々にしてかなり後になってからだったりもするのだけれど。

加奈子の変化に対する思いや、航海の途中で危機的な状況(!)になったときの対処法も、ぜひ聞いてみたいです。

もうじき次の航海ですね。ハワイから赤道へ。なんだかダイナミックすぎて、想像ができません。

話を聞くのを楽しみにしています。

高知の麻子より

撮影 著者

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服部麻子

高知の山のふもとで、ちいさな畑、野草茶ブレンド、保存食づくりを楽しむ。 日々のごはんはそのとき「あるもので」作っています。著書に『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)(写真 衛藤キヨコ)Instagram:@asterope_tea