先月、6月6日は、習い事を始めると上達すると言われる「芸事の稽古始め」でした。この日は「おけいこの日」「楽器の日」ともされているので、新たに何か楽器を習い始めたという方もいらしゃるのではないでしょうか。そんな「稽古始め」にちなみ、今回は楽器とのお別れの仕方についておつたえします。
楽器を買うのはワクワクすることですが、実は、買う前から手放すときのことを考えることはとても大切です。というのも、楽器は処分の仕方が種類によってもまちまちで、ごみとして出す前にしっかり調べる必要があるからです。そこで今回は、楽器の処分についてお伝えします。
買う前に検討を!
どんなに安い/小さい楽器でも、買う前に以下を心に留めて検討してみてください。
価値が高いものを買う
楽器は、ものによって価値が様々です。安いものを買うと壊れやすく、音もイマイチ。そればかりか、処分するときも価値が低いので中古として売ることができません。修理に出す時に「直すより、新品を買うほうが安い」と言われてしまうこともあります。
一方、バイオリンやピアノの例を考えると分かりやすいと思いますが、価値が高いものを買えば、手放す時に高値で売ることができます。それに、クオリティの高い楽器を奏でるのは至福の時間になります。
購入する前に、レンタルを利用する
何か新しい楽器を始めたいけれど、長続きするかどうか分からない。子どもが楽器を始めるけれど、長く続けられるか分からない。バイオリンのように成長に伴って大きいサイズを買う必要が出てくる。そんな時はまず、楽器レンタルのサービスを利用しましょう。多くの大手楽器メーカーが楽器レンタルのサービスを実施しているので、調べてみてください。
処分することになったら
大切に使っていたけれど手放すことになった時は、以下の方法で処分方法を決めてください。
人に譲る
友人知人に個別、またはSNSなどを使って「楽器が欲しい人はいませんか?」と呼びかける方法です。筆者は引っ越しなどに伴い電子ピアノを手放さなければならなくなった時に、よく家に遊びに来て、楽しくピアノで遊んでいたご近所さんに譲ったことがあります。お子さんが喜んでくださり「譲ってよかった!」と感じました。また、祖母はアップライトピアノを弾かなくなった際、幼稚園に寄付をしたことがあります。幼稚園ではピアノは必須なので、大いに活用いただけたようです。
寄付する
現在、様々な方法で楽器の寄付ができるようになっているので、自分にあった方法を検討してみてください。以下に、いくつか紹介します。
楽器寄付ふるさと納税
ふるさと納税の仕組みを活用し、自治体を通じて学校などに楽器を寄附すると、楽器の査定額分の税金が控除される制度です。寄付した楽器は、楽器不足に悩む全国の学校や施設に届けられ、活用されます。
お宝エイド
「お宝エイド」は、自宅の不用品を換金し、その査定額を非営利団体に寄付する仕組みで、楽器も受け付けています。また、寄付先として一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)といった音楽関連の非営利団体を選ぶこともできます。
認定NPO法人 子どものための国際音楽交流協会 (AIMEC)
子どもたちが世界の共通語である音楽を通して交流し、相互の理解と友好関係を推し進めることにより、世界平和の進展に寄与することを目的としているNPOです。楽器そのものの音色が出るものであればどんな楽器でも受け付け、寄贈した楽器については「基本的に海外の子供たちにAIMECが責任をもって贈呈」してくださるそうです。
楽器専門の買い取り業者に相談する
楽器専門の買い取り業者と一言で言っても、詳しく事前査定してくれるところ、出張買取をするところ、宅配買取をするところ、ピアノに強いところ、ギターに強いところ、管楽器に強いところなど様々な特徴があります。ご自身の楽器やニーズに合ったところに相談しましょう。
リサイクルショップに持っていってみる
楽器の種類によりますが、比較的多くの人に人気で、持ち運びが容易なウクレレやギターなどの楽器は、リサイクルショップで売れる可能性もあります。筆者は、どうしても手放さなければならなくなったギターをリサイクルショップに持って行ったところ、思わぬ高値で売れました。また、リサイクルショップで買ったギターを大切に弾いている友人もいます。事前に電話で問い合わせて、売却できそうなお店なら、持っていてみましょう。
自治体に聞く
どうしても引き取り手が見つからず、ごみとして処分しなければならなくなったら、ひと手間にはなりますが、必ず自治体に処分の方法を聞いてください。楽器の素材、その自治体の方針によって、燃えるごみになるか、燃えないごみになるかが変わってきます。
心を豊かにする楽器とは、心地よいお別れを
楽器は、日々の生活を豊かにする素晴らしいツールです。何らかの事情で手放すことになったら、お別れの時まで丁寧に扱い、できればゼロウェイストな方法で、それが無理な場合も少しでも環境負荷が低い形でさよならするようにしましょう。
曽我 美穂
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