夏休みはどう過ごす?~体験を深める夏の工夫|服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第36回目となる今回は、「夏休みの過ごし方」についてです。

わが家の夏休みの過ごし方は?

麻子:今月は、わが家の夏休みの過ごし方についてお話ししてみましょう。

雄一郎:子どものいる家庭の夏休み、本当に大変だよね。うちは、いちばん上の子が小1になってから、今年で12年目の夏休み…。

麻子:さすがに中学生くらいになれば、手もかからなくなると思うけど…。小4の末っ子が中学生になるまでは、あと3年。

3年ほど前まではこんなに小さかった末っ子も、あと3年で中学生

雄一郎:わが家は高知で自然が豊かだし、自営なので、家で何となく目をかけることができたり、昼食も一緒に食べられたり、という点では、有利な部分もあったけど。

麻子:でも、逆に言えば、仕事ができないプレッシャーと常に隣り合わせ。その意味では、お勤めの家庭とはまた違う大変さがあると思う。それぞれ良いところ、大変なところがあるよね。

雄一郎:そんなわが家が試行錯誤してきた「夏休みの過ごし方」、振り返ってみましょう!

最小限のコストで「祖父母宅へひとり旅」

麻子:まず、目玉はこれ。わが家の子どもたちの夏休みと言ったら、「関東の祖父母宅」なくしては語れません!

雄一郎:家族そろっての帰省ではなく、「子どものひとり旅」というところがミソ。家族で帰省するととんでもないお金がかかるところ、子どもの航空券だけで乗り切ってしまうというアイディア。

麻子:JALもANAも、たしか小1くらいから、親なしの搭乗をサポートしてくれる無料サービスがあります。それをわが家はフル活用させていただき、いちばん上の子は(軽度知的障害があるにも関わらず)小3から、真ん中の子は小1から、親なしで搭乗させてもらってきました。これはすごくありがたいサービス!

小1だった娘の親なし搭乗デビュー。セキュリティゲートの手前のガラス越しに、ドキドキしながら見守りました

雄一郎:毎年あたたかく受け入れてくれた祖父母たちには感謝しかないけど、祖父母たちも「家族全員で来ると大変だから、子どもたちだけの方がありがたい」って(笑)。そういう意味では、わりに理にかなったやり方だった。

麻子:そして、「子どもも多いと大変だから、なるべくひとりずつ時期をずらしてほしい」ってね(笑)。だから、まん中の娘も2年生くらいからひとりで飛行機に乗って。これはかけがえのない体験になったんじゃないかな。

雄一郎:飛行機代は正直大変だったし、「空の旅は温室効果ガスが…!」という部分もあるけど、逆に家族全員で移動しなかった分、温室効果ガスは減らせたとも言えるし。何より、子どもたちの世界が格段に広がったと思う。

麻子:身内の祖父母宅の家とは言え、ふだんの暮らしとはまるきり違う生活になるわけだから。ごはんだっておやつだって全然違うし、生活用品も違うし、「異文化体験」くらいに楽しそうにしてるよね。

雄一郎:機内では、子どもへのサービスとして、プラ製おもちゃがプレゼントされてしまいます。ゼロウェイスト的には大迷惑なんだけど、特にうちの子たちにとっては「またとないプラ製おもちゃをもらえる機会」だから、その機会を奪うのは酷かな…と静観していたら、3度目くらいに、子どもが「毎回同じものをもらっても意味ないから、いりませんって言ったよ」と!期せずして、自主的なリフューズの機会となったりもしました。

キャンプや子ども向けイベントで「体験の夏」

麻子:その他、夏休みには子ども向けの様々なキャンプやイベントが開かれていて、そういったものにもずいぶん参加させてもらったね。

雄一郎:ほかの地域ではどうなのかわからないけど、高知ではすごく参加費が安くて。1泊2日のキャンプでも(子どものみ参加)たしか4000円以下みたいな感じで、本当にありがたい。1500円で、1日がかりの「わくわく科学教室」に参加できたり。

麻子:先週は末っ子が、車で45分ほどの場所にある芸西天文台の「望遠鏡づくり」のワークショップに参加。わずか2500円の参加費で、結構本格的な自作望遠鏡を持ち帰ってきて、本当に地域に助けられていると感じます。

宇宙好きの末っ子にとっては念願の望遠鏡。安上がりで親孝行!

雄一郎:わが家は、おそらく一般的な家庭ほどには、「夏祭り」とか「花火大会」とか、いわゆる夏休みらしい行事をたのしまないんだけど、その分、こうしたキャンプやイベントがすばらしい「体験の夏」をつくり出してくれている気がする。

麻子:私は打ち上げ花火は好きだから、行きたい気持ちもある。でも、人混みが苦手。そして、出店の食べ物は高いし、ごみも出るし。こどもたちにとって出店はすごい魅力だと思うから、「まったく買わない」とまでは言わないけど、わが家はやっぱり最小限かな~。

雄一郎:お祭りも花火も、本質は貴重な「体験」のはずだけど、実際は「買い食いメイン」みたいな、わりに消費と廃棄の渦に巻き込まれがちなところがあるよね。近所のお祭りだと、オーガニック系の知り合いが出店してたり、良心的な素材&価格の出店があって助かるけど。それを思うと、子ども向けのキャンプやイベントはとても地に足がついていてありがたい。

麻子:今回は「家の外」メインでお話ししましたが、「家の中」でもいろいろ工夫してきた部分があって。その辺については後編でお話ししますね!

ある夏の思い出「駐車場でパーティ」。ご近所さんには不審がられたかもしれません

【⬇︎後編はこちら】

子どもと過ごす夏休みの工夫~料理、勉強、外出…|服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア


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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola