虫の季節~なるべくエコに対策!服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第32回目となる今回は、「虫対策」についてです。

ゴキブリは手づくりホウ酸団子でラクラク駆逐

雄一郎:梅雨がはじまり、今年も虫の季節がやってきました。

麻子:今月は、わが家の「なるべくエコな虫対策」についてお話ししてみましょう。

雄一郎:具体的には、ゴキブリ、ハエ、アリ、蚊など。わが家は田舎なので虫は多めだと思うけど、種類的には都会と同じですよね?

雄一郎:まずはトップバッター。嫌がられる虫の筆頭、ゴキブリです。これは簡単。手づくりホウ酸団子をしかけておけば、家の中で遭遇することはほとんどありません。とても安心。

麻子:うちはもう何年もつくり続けているよね。

写真がぶれていてすみません…。白玉団子の要領で丸めて乾かしたものを家中にしかけます

雄一郎:毎年、ゴールデンウィークの頃に作って、家の隅々に仕かけておけばいい。微量のホウ酸は、人間には無害だけど、虫は脱水症状を起こして、水を求めて屋外に逃げてしまうらしくて。だから、家の中で死骸を見ることすらほとんどないのはありがたい。

麻子:作り方は?

雄一郎:何年も作ってるのに、毎年わからなくなって、適当にネットで調べて作ってる(笑)。ホウ酸と、小麦粉と、玉ねぎのすりおろしと、牛乳などを混ぜています。みなさんも適当に調べて作ってみてください。とても簡単です。

ハエ対策には、ハエたたき!

雄一郎:ハエは、こちら、すがすがしい棕櫚のハエたたきが大活躍。

棕櫚の葉の美しいハエたたき

麻子:棕櫚の葉っぱの形状をそのまま生かして、割いた葉先を編み合わせただけ。見事な知恵です。本当にすばらしいよね。

雄一郎:葉っぱとは思えぬ強度で、とても使いやすい。バシッと、かなりの確率でしとめられます。

麻子:摩耗してきたら、植物なのでそのまま土に戻せるのもすばらしい(※ただし、化繊の糸は外す)。うちの地域では、近くの直売で、季節限定でひとつ150円とかで販売されています。

雄一郎:年配の方々はよく「子どもの頃は使ってた」とおっしゃるけど、最近は手に入りづらいかもね。デザイン的にも美しいし、ヘチマたわし同様、また復権するといいな。

麻子:器用な方は、わりに簡単に手づくりもできるみたいです。YouTubeで作り方が紹介されているので、ぜひ。

雄一郎:ちなみにコバエは、お酢と食器用洗剤でつくるトラップもよくネットで紹介されてます。うちも何度か試しました。

麻子:効くこともあれば、効かないこともある。

雄一郎:とても不思議。コバエはわりに「原因ありき」なので、どちらかというと、原因をなくす方が簡単かな…。

麻子:そう言えば!今だから言えるけど、以前コンポストトイレを使っていた時、たまにコバエが湧いて・・・。

雄一郎:そう!あれは恐怖体験だった…。お客さんに見られたらどうしようとパニックに。でも、キンチョールとか使いたくなくて、試しに唐辛子のパウダーを多めに振りかけてみたら、一発で消滅。

麻子:すごい効き目だったよね。同じコンポストトイレを使っている友人にも教えてあげたら、すごく感謝されて。

雄一郎:今はコンポストトイレは使ってませんが、「万が一」のための天然の忌避剤として、唐辛子パウダーを常備しているわが家です。

アリ対策はホウ酸と砂糖で!

麻子:一方、アリは手づくりの毒餌が抜群に効いた。

雄一郎:そう、詳しい顛末はこちらの記事を読んでいただけたらと思いますが、砂糖とホウ酸でトロリと仕上げた毒餌で、わが家では台所に出没するアリは完全制圧できました。

ホウ酸と砂糖をトロリと煮詰めたものを段ボール片に乗せて使います

麻子:その後引っ越して、今の新しい家では今のところ全然アリは出ないけどね。甘いものを出しっぱなしにしないなど、「予防」も大切だと思うけど、前の家は築80年の古民家だったから防ぎきれなかった。

雄一郎:特に小アリは、意外に市販の忌避剤が効かないこともあり、厄介な存在です。どうしても困る時は、↓こちらインドで学んだすばらしき知恵がおすすめです。

甘いものは水を張ったお皿の上へ! 言わば「お堀スタイル」!?

麻子:これには脱帽。インドは家の中にアリがいるなんて当たり前で、「どう避けるか?」の視点が日本とは全然違う。これは原始的なのに完璧で、美しくて、見事です。

蚊には菊花せんこう!

雄一郎:お次は蚊。これはやっぱり、市販の定番「菊花せんこう」が安心感抜群です。

麻子:私は一般的な蚊取り線香だとしんどいんだけど、これは殺虫剤等の化学成分が含まれないので、とてもありがたい。

20年くらい愛用している菊花せんこう

雄一郎:なるべく大切に使いたいので、「今日は蚊が多いな…」という日や、子どもの来客があって、きちんとドアを閉めてもらうのが難しい時などに主に使っています。

麻子:そして、手づくりのドクダミの花チンキ。末っ子が作ったものが結構わが家では人気を博しました。

花が茶色くなるまで漬けます。そんなに大量に使わないので、一度つくればかなり長持ち

雄一郎:作り方はこちらの記事をご覧ください。実際の効力はもちろん市販薬に比べれば相当マイルドだと思うけど、こういうのを使えるのはすごく気分がいい。

麻子:結局、蚊なんて「その時かゆい」だけで、しばらくすれば大体は自然に治るわけだしね。そういう意味では、「気休め程度」でも全然事足りる気もする。特に子どもたちなんて、「塗っただけで安心!」みたいなところもあるから。

雄一郎:あとは、「根本作戦」で、「庭になるべくため水を作らない」というのも注意してる。以前、「ディズニーランドに蚊がいないのはため水を作らないように注意しているお陰」と読んだことがあって。

麻子:ボウフラは1週間くらいで蚊になってしまうようなので、庭のバケツなど、こまめにチェックしていればいいわけね?

雄一郎:その通り。ふだん、わざわざボウフラを探すことなんてないから、僕も初めて水槽の中にボウフラを発見した時は驚愕だった。でも、子どもが水草を育てていて、流すわけにいかなかったから、わざわざおたまじゃくしをたくさん捕まえてきて放してみて。そしたら、すぐに1匹もいなくなって、ちょっと感動した。

麻子:生態系ってすごい!後編では、こうした虫対策を通して感じる「虫との付き合い方」について、さらに掘り下げてみましょう。

【⬇︎後編はこちら】

地方移住もうすぐ10年~虫との付き合い方|服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア


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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola