ネット通販もゼロウェイストに。-服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

りんご

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るプラスチックごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第5回目となる今回は、ネット通販のゼロウェイストについて教えてもらいました。

ネット通販をゼロウェイストに楽しむには

ゼロウェイスト

中身のプラスチック包装は避けられなくても、緩衝材がないだけで大違い!

麻子さん:買い物は、できるだけ地域の顔の見える方から直接したいと思ってますが、ネット通販に反対しているわけではありません。ネットでしか手に入らないものもたくさんありますし、環境に配慮している商品をはじめ、価値あると思える商品はむしろネットの方が見つかりやすい部分もあります。遠くにいる素晴らしい生産者さんも応援したいし、その意味では積極的にネット通販も活用したいと思ってます。

雄一郎さん:特に地方に住んでいると、買い物の選択肢は限られるので、「地元でしか買い物しない」と決めてしまうと、“買い物は投票”というような積極的なお金の使い方がしにくいです。せっかくの現代、価値ある買い物を暮らしに取り入れて、社会によい流れを生み出したいですね。

麻子さん:ネット通販でいちばん悩ましいのは緩衝材です。あのプラスチックの気泡緩衝材(プチプチ)…。壊れ物でもないのに厳重に巻いてあったり、量がすごく多かったり。再利用もできないし、処分するにも手間もお金もかかり、かなり困っていました。

雄一郎さん:ある時、「これは本当に意味がなくてイヤだ」と思い、注文時の備考欄に「ごみを減らしたいので気泡緩衝材等は一切入れないでください。破損のクレームはつけません」と書き込んでみました。すると、ダンボールに商品がゴロゴロッとそのまま入って届き、開封もラクで、まったくごみが出ず、すごく気持ちが良かったんです。以来、わが家は必ず備考欄にこの一文を書き入れるようになりました。

麻子さん:書き入れるだけで、ほぼ緩衝材なしで届くようになり、「こんなに簡単ならもっと早くはじめればよかった!」と思いましたね。一方、アマゾンなど一部の大手通販サイトは、注文時の備考欄がなく、リクエストを入れることができません。これは改善してほしいですね。なので、できるだけ備考欄があるサイトで買い物しています。

雄一郎さん:お店に負担をかけるのは本意ではないので、お店の方が戸惑わないように、というところは注意するようにしています。たとえば、ワレモノの場合は、「緩衝材なし」というわけにはいかないと思うので、通常通りの梱包を許容するか(=つまり、備考欄に何も書かない)、地元のお店で緩衝材なしで買うようにしています。

もっとできる!ネット通販のゼロウェイストなアイデア

ゼロウェイスト

麻子さん:緩衝材だけでなく、納品書やパンフレットがクリアファイルやきれいな封筒入りで同封されていることも多いですね。「不要なものを受け取らない」ことも大事。「納品書やパンフレット、サンプル類も入れないでください」と書き添えるようになりました。そうすると、箱に「商品だけ」が入って届くようになり、入っていても、せいぜい紙の緩衝材程度。これは自分たちでも再利用ができますし、紙なら資源物にもなるので、“ほぼごみゼロ”が実現して気持ちがいいです。

雄一郎さん:買う側はつい忘れがちですが、お店側はわざわざお金をかけて緩衝材を準備し、手間をかけて商品を包んでくれているわけですよね。それもこれも、お客さんから「万が一のクレームがこないように…」「より丁寧さが伝わるように…」ということ。お店の側からその習慣を変えるのは勇気がいると思うので、ここは購入する側から「そこまでしてくれなくて大丈夫ですよ」と伝えていくべきところかなという気がします。短期的には、変則的なリクエストで手間がかかったり、戸惑わせてしまうところもあるかもしれませんが、時代の要請でもあるし、何より、長期的には緩衝材のコストも手間も減って、お店にとってもメリットのあることだと信じています。

次回は、わが家お気に入りの“ゼロウェイスト通販”をご紹介します。

【⬇︎後編はこちらから】

ゼロウェイストなオンラインストア4選!ー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola