10月は食品ロス削減月間!未来のために私たちができることとは?

10月は「食品ロス削減月間」です。10月16日は「世界食料デー」、10月30日は「食品ロス削減の日」と、食品ロスについて考える機会が多くあります。

食品ロスは環境や経済にも深く関わる重要な問題です。この記事では、食品ロスがどのような影響を及ぼすのか、そして私たちの日常生活で何に気をつければよいかを分かりやすく説明します。「もったいない」の精神を大切にし、できることからはじめてみましょう。

食品ロス削減のアイディア募集中!「#食ハグチャレンジ」

Life Huggerでは、ご家庭で実践している食品ロス対策のアイディアを、10月31日(木)まで募集しています。

見切り品の購入や、無駄なく使えるレシピなど、みなさんが普段やっている食品ロス削減のアイディアを『#食ハグチャレンジ』をつけてInstagramXで投稿してください。

食品ロスとは


食品ロスとは、売れ残りや食べ残し、賞味期限切れなど本来は食べられるのに捨てられてしまう食品のことを言います。

農林水産と環境省の調査では、日本の食品ロスの量は年間で約472万tに達しているとされています。食品ロスは家庭からでる「家庭系食品ロス」と、スーパーでの売れ残りや返品、飲食店での食べ残しなどの「事業系食品ロス」の2つに分けられます。

家庭系食品ロスは、全体の約47%をも占めており、日本人1人当たりの食品ロス量として換算すると、毎日おにぎり1個分(約103グラム)の食品を捨てている計算になります。


【参照ページ】我が国の食品ロスの発生量の推計値|環境省
【参照ページ】食品ロスについて知る・学ぶ | 消費者庁

「食品ロス削減月間」が生まれた背景


食品ロス削減月間とは、政府が定めた食品ロス削減の意識を高めるための期間です。毎年10月16日は世界食料デーとなっており、日本では2019年に施行された食品ロス削減推進法第9条に基づき、10月の「食品ロス削減月間」と10月30日の「食品ロス削減の日」が定められました。

食品ロスがもたらす影響


食品ロスにはさまざまな面に大きな影響を与えます。環境・経済・社会問題とわかりやすく分けて説明します。

環境問題

食品ロスは、食べ物を無駄にするだけでなく、ごみの焼却による環境問題も深刻と言われています。水分を多く含む食品の焼却には、多くのエネルギーが必要となり、処理費用も必要です。そして、大量の二酸化炭素(CO2)が排出され、焼却後の灰を埋め立てる土地の問題も発生しています。

また、廃棄食品を埋め立てる際に排出されるメタンガスも、環境へ大きな影響を与えています。ごみ埋立地より発生するガスは「埋立地ガス」と言われており、ごみが土砂で覆われると排出されます。二酸化炭素同様に地球温暖化に影響をおよぼす温室効果ガスとされています。

日本では食品廃棄物は焼却処理をしていますが、世界の多くの国々では埋め立てられています。メタンガスは二酸化炭素よりも強い温室効果があると言われており、食品ロスが増えることで、さらに地球温暖化が進行してしまいます。

【参照ページ】埋立地メタン|国立環境研究所

経済問題

食べ物を廃棄することは、生産者をはじめ携わってきたすべての人たちの時間と費用を無駄にすることになります。

例えば、お米を生産する際には、農家の方の労働力や農機具代、肥料代などさまざまな費用が必要です。また、食品の加工や流通では、運送業者やスーパーマーケットで働く方々の労力と時間を必要とします。

もちろん廃棄する際にも費用がかかります。環境省によると、2020年におけるごみ処理に必要とした費用は20,000億円を超えています。ごみ処理にかかる費用は年々増しており、今後も増加していくと推定されています。

【参照ページ】一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について|環境省

社会問題

捨てられる一方、世界中で飢餓問題が発生しています。特にアフリカ諸国などの発展途上国では、食料不足や栄養不足の問題が深刻です。国際協力NGOによると、2021年における世界の飢餓人口は約7億3500万人であり、11人に1人が飢餓に直面している状況です。

また、世界の5歳未満児の死亡原因では、全体の約半数が栄養不良と関係しています。発展途上国でその日食べる物を得るのにも苦労している人たちがいるという事実の反面、先進国で暮らす人たちは食べ物に困ることはなく、むしろ余ってしまうことが原因で多くの食べ物を捨てているという、倫理的な問題が発生しています。

【参照ページ】飢餓とは? 「飢餓をゼロに」の現状や取り組みを知ろう|HUNGER FREE WORLD

食品ロスの削減目標

日本政府は、2030年度の日本の食品ロスを2000年度と比べて半減させることを目標としています。2015年度をピークに減少傾向にあり、2022年度には半減の目標を達成しているものの、この先も継続していけるかどうかが鍵となります。そのためにも、企業規模での取り組みをはじめ、私たち個人も食品ロス削減の意識を持って取り組むことが大切です。

食品ロス削減月間に関するイベント紹介

2024年に開催される、気軽に参加できる食品ロス削減に関するおすすめのイベントを紹介します。

「世界食料デー」月間2024/アフリカ日本協議会、ハンガー・フリー・ワールド

「世界食料デー」の公式サイトでは、2024年10月1日(火)~10月31日(木)の期間中に、食品ロスやフードシステムなどに関するイベント・キャンペーン・コンテストなどの紹介、食に関する意識が高まる情報、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みなどをチェックすることができます。

【参照サイト】「世界食料デー」月間 みんなで食べる幸せを

おにぎりアクション2024/TABLE FOR TWO

「おにぎりアクション」は、参加者が自作のおにぎりの写真を投稿することで、途上国の子どもたちに給食を提供するキャンペーンの特設サイトです。2024年10月3日(木)~11月16日(土)の期間中に、「#OnigiriAction」をつけてSNSに投稿すると、1投稿につき学校給食5食分がアフリカやアジアの子どもたちに寄付されます。

【参照サイト】おにぎりアクション2024 – おにぎりで世界を変える

令和6年度「めざせ!食品ロス・ゼロ」川柳コンテスト/消費者庁

消費者庁が主催する特設サイト「令和6年度『めざせ!食品ロス・ゼロ』川柳コンテスト」では、2024年10月1日(火)~10月31日(木)の期間に、食品ロス削減をテーマにした川柳を募集しています。優秀作品には内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞・消費者庁長官賞などが授与されます。

【参照サイト】令和6年度「めざせ!食品ロス・ゼロ」川柳コンテスト

その他

今回紹介したイベント以外にも、さまざまな取り組みがおこなわれています。イベントでは、楽しく「食べ物を大切にすること」を学ぶことができます。気になるイベントや参加できそうな最寄りのイベントが見つかるかもしれません。

【関連ページ】10月は食品ロス削減月間!楽しく学べるイベントで“もったいない”をゼロにしよう

私たちにできること


私たちが暮らしの中でできることから少しずつ取り組んでみましょう。

「食品ロス」について知る

まずは、私たちひとりひとりが食品ロスの現状や問題点などについて知り、次にどのようなことができるかを考えることが大切です。一度、家族と一緒に学ぶ機会を作ってみてください。家族で共通意識を持つと日常生活の中でより取り組みやすくなります。

買い物の時

スーパーの商品棚の手前にある賞味期限が近い商品から積極的に選ぶ「てまえどり」を意識しましょう。また、クリスマスなどの季節のイベント時には、季節商品の売れ残りの廃棄問題を防ぐため「食べる分だけ」予約して購入するようにします。購入後は「食材が長持ちする方法で保存する」ように心がけましょう。

外食する時

外食の場合も「食べれる分だけ」注文します。環境省がすすめる、食べきれなかった料理を持ち帰る「mottECO(もってこ)」に取り組む飲食店もあります。また宴会では、乾杯からの30分間と終了前の10分間は自分の席で料理を楽しみ、食べ残しを減らすキャンペーン「3010(さんまるいちまる)運動」を、食事を共にする友人や会社の人たちで心がけてみるのもおすすめです。

家庭で食品が余った時

「フードドライブ」に協力してみましょう。フードドライブとは、余っている食品を、最寄りのスーパーや自治体などの回収場所やイベントに持ち寄り、食べ物を必要とする団体や施設に寄付することです。実施する団体は増えてきているので、近くで開催されていないかチェックしてみてください。

【関連ページ】【2024年】食品ロス回収を実施している企業や店舗まとめ!フードドライブとフードバンクの違いも

さいごに

私たちの食卓に届けられる食品は、目には見えませんがとても多くの人たちが携わっています。食品を無駄にしないよう、まずは家庭でできることから始めてみましょう。

発展途上国で暮らす人たちの栄養不足や飢餓問題が少しでも解決の糸口へと繋がっていくことを信じて、取り組みの輪を広げていきましょう。


【参照ページ】食品ロスって何が問題なの?|農林水産省
【関連ページ】「消費期限」と「賞味期限」とは?違いを理解して食品ロスを減らそう!
【関連ページ】食品の「3分の1ルール」とは? 食品ロスを防ぐために私たちができること

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中池 梓

現在は子育てに奮闘しながら、頑張り過ぎずエコで優しい生活を目標に田舎暮らし。最近の趣味は、小説の深読み(植物が登場する作品に限る)。参考文献などを読みあさり自己流に作品を分析してマニアックに楽しむことにはまっている。