花の地産地消をめざそう!「スローフラワー」のすすめ

「スローフラワー」という言葉を聞いたことはありますか? これは、花の地産地消を表す言葉で、欧米で徐々に広まっています。日本では「スローフラワー」という言葉自体はあまり知られていませんが、実は私たちも既に実践していることや、取り組みやすいことばかり!今回はそのコンセプトと、私たちができることをお伝えします。

「スローフラワー」とは

「スローフラワー」とは、エシカルな取り組みやサステナブルな方法で生産された旬の花のこと。もう一つの特徴としては、地元や近隣の地域の農家で栽培された花であるることです。2000年代に米国で始まったスローフラワー運動で使われたことから、この考え方への共感が欧米を中心に広がりました。

現在、欧州や米国では、花の地産地消の認証制度ができたり、スローフラワーのコンセプトに合った生花店や花の農家を紹介するウェブサイトが立ち上がったり、多くの人の関心を集めています。

オンラインマガジン『SLOW FLOWERS JOURNAL』に載っている「A Slow Flowers Manifesto(スローフラワーズマニフェスト)」によると、「スローフラワー」の基準は以下のとおりです(要約しています)。

  • 花の旬を大切にしている
  • できるだけ地元に近い場所で花を調達し、輸送のカーボンフットプリントを削減している
  • 認証ラベルを通じて花農家をサポートしている
  • 花産業における廃棄物と化学製品の使用を排除しようとしている

では、普段の生活に「スローフラワー」を取り入れるにはどんな方法があるでしょうか?今回は、すぐに実践できる方法を5つ、紹介します。

自分で花を育て、飾る

花を育てる

プランターや花壇、庭で、花を育ててみましょう。自分で育てた花を摘んで花瓶に生けて飾ることも、スローフラワーの取り組みの一つです。輸送の際のカーボンフットプリント削減に役立つだけでなく、農薬や化学肥料を使わず、花をサステナブルに栽培することができます。また、自分の手で育てることで、花の旬を意識し、大切に考えられるようになります。まずは、ホームセンターなどで種や苗を買って、試してみましょう!

国産の花(できれば地元で栽培された花)を買う

花を買う

An Image of A Flower Shop

切り花の72%が国産の日本では、花の輸入の割合は低いです。しかし、カーネーションなど季節に合わせた花については、輸入されていることが多いです。生花店に行く際は、ぜひ、購入したい花が、どこから仕入れられているのかを調べてみてください。また、実際に購入する際に、お店で尋ねてみるのもよいかもしれません。どんな花がどこから来ているのか、花の産地や輸送の実態について知識を少しずつ身に付けることも大切です。

こだわりのあるお店・花農家から買う

花を買う2

スローフラワーのコンセプトを取り入れた、こだわりのある花農家から直接花を購入するのも良い方法です。例えば首都圏在住の方におすすめしたいのは、藤野(神奈川県)の里山にある無農薬、地産地消にこだわった花農家four peas flowersです。時々、都内でも販売しているので、インスタグラムをフォローして情報を集めてみてください。

ウェブ通販などで購入する際は、生産者から直接花が届けられる花チョクや、無農薬・減農薬・オーガニックの花を扱っているwanabiya吉垣花園などを利用してみましょう。

定期便サービスを利用すると、花農家や生花店が花の無駄を防げるので、気に入った場合は定期便を注文してみるのもオススメです。

「フラワーロス」に関わるイベントに参加する

日本では、スローフラワーが掲げている「花の廃棄物削減」の改善が大きな課題です。供給過多により花が廃棄される「フラワーロス」問題の解決を目指す取り組みやイベントも各地で開かれています。まずは、日本のフラワーロス問題の現状を知り、解決の一助となるイベントに参加してみてはいかがでしょうか。例えばフラワーライフ振興協議会では、行き場を失った花を生産農家から買い取り、公共施設や日本の歴史的建造物、駅などでイベントを実施しています。地域でフラワーロスに関わるイベントがある際は、ぜひ足を運んでみてください。

捨てられてしまう「ロスフラワー」を買う

ロスフラワー

「ロスフラワー」とは、廃棄される運命にある花のことです。最近では、こうしたロスフラワーを扱っているお店が増えているので、機会があったら買ってみましょう。東京都内の生花店、hanane(ハナネ)では、廃棄される花を「チャンスフラワー」と呼び、花農家から買い取ってカフェや商業施設で1本100円で販売しています。また、フラワーサイクリスト河島春佳さんの通販サイト、フラワーサイクルマルシェでは、主に花農家さんから直送する規格外のロスフラワーを販売しています。

東京・渋谷にあるLITTLE SHOP OF FLOWERSでは、生花店で廃棄になってしまう花を草木染めにして商品化しています。ボタニカル・ダイという手法で染色したボタニカル・マルチクロスは鮮やかな青色が素敵な一品。どんな時に使うか考えるだけで心がウキウキします。

スローフラワーで、私たちの毎日をよりハッピーに!

花の地産地消、ロスフラワー対策などのスローフラワー運動につながる取り組みは、言葉だけ聞くと少し難しそうですが、実は気軽にできることばかりです。誰かの幸せにつながる花を家に飾れば、飾る側の私たちも、よりハッピーな気持ちになれるはず。ぜひ、できることから実践してみてください。

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曽我 美穂

曽我 美穂(そが みほ)。2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。雑誌やウェブサイトで編集、撮影、執筆、翻訳などをおこなっている。主なテーマはエコな暮らしやSDGs、環境問題。私生活では2009年生まれの娘と2012年生まれの息子の二児の母でもある。現在、富山県在住。個人サイト:https://sogamiho.mystrikingly.com/