徳島県上勝町は、徳島市街から車でおよそ1時間程の場所にあり、勝浦川の上流部に位置する人口約1500人程の四国で一番小さな町です。 国の重要文化景観に認定された「樫原の棚田」などで知られており、江戸時代から変わらない日本の農村の風景が残っています。また、「日本の美しい村100選」にも選ばれています。そんな上勝町は、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った町として世界中に知られています。
上勝町では、新しくゴミを燃やす焼却炉を建てる財政的な余裕がなかったため、ゴミそのものを減らす仕組みやゴミを焼却しない方法を模索していました。結果的にこの取り組みが「上勝町ゼロ・ウェイスト宣言」へのきっかけとなりました。
上勝町ゼロ・ウェイスト宣言
2003年の「上勝町ゼロ・ウェイスト宣言」では、未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のゴミをゼロにすることを決意し、ごみゼロ(ゼロウェイスト)を宣言しました。さらに2020年には、2030年に向けて新たな「ゼロ・ウェイスト宣言」を採択しました。
2. 町でできるあらゆる実験やチャレンジを行い、ごみになるものをゼロにします。
3. ゼロ・ウェイストや環境問題について学べる仕組みをつくり、新しい時代のリーダーを輩出します。
ゼロ・ウェイストアカデミーとは?
「特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミー」は、上勝町のゼロ・ウェイスト宣言をきっかけに、住民と行政が力を合わせてゼロウェイストを進めていくために2005年に設立。ダボス会議の共同議長に選ばれた、坂野晶さんが理事長を務めています。上勝町のゼロ・ウェイスト活動を推進するだけでなく、法改正や脱焼却炉活動をリードする団体としても活動しています。
上勝町の取り組みを学べる場所 上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY
2020年には、上勝町の取り組みを学べる場所、「上勝町ゼロ・ウェイストセンター WHY」がオープンしました。
ごみステーション
上勝町はゴミ収集を行わないので、ゴミ収集車が走っていません。生ごみは各家庭で電動生ゴミ処理機などを使い堆肥化されます。その他のゴミは、各自で「WHY」にある「ごみステーション」まで運び、45種類ある分別ルールに沿って細かく分別し再資源化されています。そうすることで、上勝町のリサイクル率は80%を超えています。ごみステーションにはスタッフが常駐しているので、ゴミの分別などでわからないことがあれば教えてもらえます。
くるくるショップ
「WHY」内にある「くるくるショップ」には、まだ使えるけれども不要になったものが持ち込まれます。ショップを訪れた際、もし気に入った物があれば、誰でも無料で持ち帰ることができるシステムになっています。
HOTEL WHY
ゼロ・ウェイスト ステーション WHYには、宿泊施設「HOTEL WHY」も併設されており、ゼロウェイストな生活を泊まって体験できます。部屋の家具やベッドなどもリユースされたものが使われていたり、食事やアメニティまでゼロウェイストな取り組みが徹底されています。滞在後には、滞在中に出たゴミを各自で「ごみステーション」に持って行き分別します。
ゼロウェイスト・レストラン「RISE & WIN Brewing Co.BBQ & General Store」
上勝町には、ゼロウェイストに取り組むレストランやカフェがたくさんあります。「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」は、上勝町にあるクラフトビールの醸造所で、レストランとストアが併設されています。これまで廃棄されていた果汁を絞ったあとの柚香の皮を使ってビールを醸造するなど、できるだけゴミを出さないような工夫がされています。併設のストアでは、計り売りでお土産を買うこともでき、ゼロウェイストを楽しみながら体験できる場所になっています。
上勝町は、町をあげてゼロウェイストに取り組むだけでなく、さまざまな体験を通して、環境について学ぶ場の提供やリーダーの育成なども行っています。私たちが日々当たり前に出してしまっているゴミについて考えたり、ゼロウェイストなアイデアや地方創生など、学ぶことが多い町です。上勝町からゼロウェイストな循環の輪が世界中へとどんどん広がっています。
【参照サイト】上勝町ゼロ・ウェイストセンター
【参照サイト】RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store
【関連ページ】ゼロ・ウェイストとは・意味
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