当連載ではエコライターの曽我 美穂が海外在住の方に、その土地ならではのゼロウェイストな試みをお聞きします。今回は、台湾在住のryoさんに、現地の暮らしで見つけたゼロウェイストな取り組みを教えていただきました。
ryoさんのプロフィール
1990年生まれ、東京都出身。学生時代より中国やイギリスに滞在したのち、2014年より台湾在住。シンガポールのデジタルマーケティング企業に勤めつつ、紙面・メディアへの執筆や翻訳活動をしている。台湾人の夫と寅年生まれの0歳の息子と台北に暮らす。
ブログ:Place In Taipei
台湾はどんなところ?
台湾は日本から旅行に行く人が多い身近な国ですが、あまり知られていないこともあります。例えば、台湾は「ジェンダー平等」がアジアでトップ。2016年から女性の総統(大統領)が活躍しています。2019年に、アジアで初めて同性婚の合法化が実現されたことも話題になりました。また、国民の10%がベジタリアンで、素食文化がとても豊かです。
そんな先進的な取り組みが多い台湾での暮らしの中で発見した、ごみ問題に関するゼロウェイストな取り組みを今回はお伝えします!
政府管理の衣類回収ボックスがある!
私が台湾に住んでいて「すごいな」と感じるのは、町のあちこちに、政府が管理する衣類回収ボックスがあることです。この回収ボックスは、誰でも無料で利用できます。
回収ボックスには、入れてもOKな「可回収」のものと、NGの「不可回収」のものが、イラストと文字で分かりやすく説明されています。トップス、パンツ、ジャケット、女性下着、スカーフ、帽子や手袋など清潔なものは全て回収ボックスに入れられますが、靴やバッグ、ぬいぐるみや、衣料品でないものは入れられません。
回収ボックスの横には、1枚のTシャツを回収することで2500リットルの節水になること、それに、これにより1人が9日間で使用する水量が節水できる、との記載があります。
反対側には1着の衣類を回収することで4.2kgの炭素の排出を減らすことができ、これは1本の木が3ヶ月かけて吸収する二酸化炭素の量に値する、と書かれたステッカーが貼ってあります。「政府・住民の環境意識の高さがうかがえるな」と感じました。
ごみは、細かく分別して回収!
ごみの出し方は、住まいの形式によって異なります。アパートや一軒家の場合は、地域のごみ捨てルールに従ってごみを分別し、週に3〜6回、1日に1〜2回来てくれるごみ収集車に、自分でごみを投げ入れるケースが多いです。
管理人付きのマンションの場合は、マンションの中にごみ捨て場があり、24時間いつでも、どんなごみでも捨てられます。私が住んでいるマンションには、上の写真のようなごみ捨て場があるのですが、アパートや一軒家のごみ収集車とは管轄が別なので、さらに細かく資源ごみを分別して、捨てる仕組みになっています。
生ごみは、専用の冷蔵庫へ!
台湾では、生魚、食べ残し、麺類、肉類、魚や海老の殻などの生ごみは、乾かした状態で捨てる、というルールになっています。そのうえで、指定された曜日に、ごみの回収場所に置いてある、生ごみ専用の冷蔵庫(上の写真)に出しに行きます。
ふたをあけると、こんな感じです。
業者に回収された生ごみは、処理施設で肥料と家畜(主に豚)の餌にリサイクルされています。なお、 厚い果物の皮や大きな骨、硬い殻は一般ごみとして捨てなければなりません。
スーパーで購入できる有料の袋は、国が指定したごみ袋だけ!
これまで台北市のスーパーでは年間2000万個以上のレジ袋が生産、使用されていたのですが、2018年から、スーパーで購入できる有料の袋は、政府指定のごみ袋のみになりました。
こちらが、政府指定のごみ袋の写真です。エコバックに入りきらないものを購入した時に、1枚3元(約15円)で私が購入したものです。
ごみの行方を意識しながら、リサイクルやごみ減量に取り組みたい
衣類の回収ボックスや政府指定のごみ袋など、台湾では、政府の提案に住民が協力しながら、ごみ問題に取り組んでいます。
私も、ここに住む住民の一人として、資源ごみはきちんと使い切ってきれいに洗ってから出す、食べ残しもできるかぎり減らす、といったことをしっかり続けていきたいです。
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曽我 美穂
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