SNSを活用してゲーム感覚でごみ拾い。Facebook上のコミュニティがARフィルター「ポイトリ」を発表

ARフィルターポイトリ成果発表会

Facebook上で同じ目的を共有するコミュニティ同士をつなげる「コミュニティマッチングプログラム on Facebook」。その第一弾としてマッチングされたのが、陸と海でクリーン活動を行うふたつのコミュニティです。

今回は、彼らの「ポイ捨てゴミを減らしたい」という共通の目標を達成するために制作されたARフィルター『ポイトリ』に注目。SNSを活用したゴミ拾いとはどのようなものなのか。コミュニティの代表者が登壇した成果発表会を取材しました。

ARフィルター『ポイトリ』とは?

陸と海という異なる環境でのクリーン活動を行いながらFacebook上で全国の人とつながり、ゴミ拾いの成果や情報を日々発信してきた『世界ゴミ拾い習慣化軍団~世界一清潔な日本の文化を広げよう~』と『宮古の海を綺麗にし隊』。

この2つのコミュニティが、今回Facebook Japanの新しいコミュニティ支援の取り組みである「コミュニティマッチングプログラム on Facebook」で出会い、話し合いを重ねる中で制作に至ったのが、FacebookやInstagramのストーリーズ機能で使用できるARフィルター『ポイトリ』(「ポイ捨て」の逆の意)です。

ポイ捨てされているゴミを “モンスター” に見立てて撮影。オリジナルの名前や発見場所、エピソードなどと共に「#ポイトリ」 とつけて投稿すると、Facebookグループアルバムに順次格納され、“『ポイトリ』でつくるゴミモンスター図鑑” のデータをつくることができるというものです。

ゴミ拾いに大切なこととは?

「ゴミ拾いをしていて思うのは、楽しむということがいかに大事かということ。やらされているのではなく、やりたいからやる。そういう点では子どもの力ってすごく大きくて、お子さんが楽しそうにゴミを拾っているとまわりの大人のアクションにもつながりやすいんですね」、そう話すのは『世界ゴミ拾い習慣化軍団~世界一清潔な日本の文化を広げよう~』キャプテンの皆倉 慶彰さん。

「世界ゴミ拾い習慣化軍団~世界一清潔な日本の文化を広げよう~」キャプテン・皆倉 慶彰さん

皆倉 慶彰さん

「たとえば、拾ったゴミの中にライターがあるとその分別方法を調べてみたり、ファストフードのゴミが多いとどの店のものが多いかという話になったり。そういう日常生活ではあまり目を向けることがないようなことを知るきっかけにもなります。メンバーの中には、毎回横綱級の巨大ゴミを拾う人や、拾ったゴミを花畑とともに撮影・投稿して、楽しませてくれている人もいます」。そんな皆倉さんが2年前にひとりで始めたゴミ拾いの輪は、今では国内外で900人ほどに。

「子どもの影響力という点には、私も大きな可能性を感じています」、そう話すのは『宮古の海を綺麗にし隊』隊長の井上 美香さん。「以前とある中学校の講義で、ゴミ問題をいかに自分ごととして捉えてみるかという話をしました。おうちの庭にゴミが落ちていたらきっと拾うよね。自分の街や国、そして世界全体を同じ感覚で見てみるのはどうだろうと」。

井上さんが10年前に仲間と始めたゴミ拾い活動に今では約1,200人のメンバーが参加。週1回、毎週火曜日の朝、住民や旅行者とともに宮古島でビーチクリーンを行っています。

井上 美香さん

井上 美香さん

実際に『ポイトリ』を使ってみよう

ARフィルター「ポイトリ」の使い方

画像はInstagramのストーリーズ機能

まずはFacebookまたはInstagramでストーリーズ機能を開き、画面下のアイコンから虫眼鏡マークをクリック。次に画面右上の虫眼鏡マークをクリックし、検索ボックスが出てきたら「ポイトリ」と打ち込みます。陸地でのゴミを撮影する際には「陸ゴミモンスター」を、ビーチでのゴミを撮影する際には「海ゴミモンスター」を選択します。

ARフィルター「ポイトリ」

筆者も『ポイトリ』に初チャレンジ。まずは「陸ゴミモンスター」のフィルターを開き、ポイ捨てゴミ(吸殻入りのペットボトル)を枠内に収まるように撮影。その後、テキストや手書き機能を使い、自由に投稿内容を作成。絵文字機能を使うことで、デコレーションも簡単に。最後に #ポイトリ とつけて投稿すれば、図鑑データとして格納されます。画像を一旦保存すれば、あとからでも投稿することもできます。 ※図鑑データとして格納されるのは公開アカウントからの投稿のみです。

今後取り組みたいこと

コミュニティ同士で交流を始めたことでお互いに感じたこと、それは「陸と海はつながっているということ」だといいます。「宮古島のビーチには海外から流れついたゴミも多いのです。たとえば、漁具やペットボトル飲料、あとはメッセージボトルなどもあります。つまり裏を返せば、私たちが落としたゴミが海外に行ってしまっている可能性も十分にあるということ」。井上さんが島の人からよく聞くのは、30年前とはゴミの量も質も大きく変わったという声だそうです。

ポイトリ成果発表会

井上さんが今まで拾ったゴミの中でいちばん印象的だったのは、ビーチサンダルのソールをくり抜いた後の大きな型。皆倉さんはこの日成果発表会に来る途中でスニーカーから剥がれ落ちたであろう靴底を拾ったのだそう。

今後は『ポイトリ』を使い撮影されたゴミモンスターたちを「コミュニティマッチングプログラム」のFacebookグループ内のアルバムに集め、図鑑として一覧化する予定だとのことです。

「図鑑にすることで子どもたちにも興味をもってもらえると思います。夏休みの自由研究などで親御さんと一緒に楽しみながら、ポイ捨てゴミに関心をもっていただけるとうれしい」と皆倉さん。

「図鑑にたくさんのゴミが登録されたら、ユニークなゴミモンスターを決定する『ポイトリグランプリ』のようなイベントを開催できたらと考えています。宮古島はエコアイランドなので、島ぐるみでゴミ問題に関心をもつ人を増やしていけたら!」(井上さん)と、会の最後に、そうそれぞれの展望を語ってくれました。

簡単に情報を発信できて、誰とでもつながることが可能なSNSというツールを介することで、ゴミ拾いというアクションをより身近に感じるきっかけになるかもしれません。撮影・投稿をした後は、実際にポイトリする(=ゴミを拾う)こともお忘れなく!

◎『ポイトリ』は以下のリンクからもご利用いただけます。:

● 陸ゴミモンスターver.
Facebook
Instagram

● 海ゴミモンスターver.
Facebook
Instagram

【参照サイト】「『ポイトリ』で作るゴミモンスター図鑑」 Facebookグループ
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アリタ チユキ

外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経てライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。週一で台湾朝ごはんとヴィーガンスイーツのポップアップを開催中。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。国際薬膳師。中医薬膳師。家庭薬膳アドバイザー。ワインエキスパート。