ノンシリコンでゼロウェイスト!日本製固形シャンプー開発秘話

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世界中で使い捨てのプラスチックごみに対する意識が高まる中、注目されているもののひとつが「シャンプーバー」。シャンプーを凝縮し、石鹸のように固形化されたもののことです。液体ではないのでプラスチックボトルが不要で、ごみを削減できると注目を集めています。しかし、まだシャンプーバーを使ったことがない方は、髪が軋みそう、ちゃんと泡立つ?など、使い心地が気になっているのではないでしょうか?

今回、Life Hugger編集部では、100年以上の歴史を持つ大阪の老舗企業・株式会社マックスが開発したシャンプーバー「The Bar」を取材。社長の大野範子さんからお話を伺いました。

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国産シャンプーバー「The Bar」開発秘話

Q.「The Bar」開発の背景を教えてください。

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2019年に開催されたG20大阪サミットで「海洋プラスチックごみ問題への取り組み」の発表を聞き、私たちが製造販売をしている液体シャンプーやコンディショナーのボトルやポンプといったプラスチックに着目したことがきっかけです。プラスチックごみの問題は深刻であり、世界のヘアケア製品からも、年間約40万トンが廃棄されていることを知りました。

また、2019年の秋にヨーロッパ出張をした際には、お店にシャンプーバーがずらっと並んでいて、それらを当たり前に購入していく人たちを目にしました。それと同時に、日本のコスメ業界の環境に対する取り組みの遅れを実感しましたね。「このままではいけない」と強く感じ、帰国後すぐに、液体シャンプーを固形化した試作品を500個も制作するなど、急ピッチで開発を進めました。

その結果として完成したのが「The Bar」です。2020年8月には特許も出願しています。

Q.シャンプーバー「The Bar」ならではの魅力を教えてください。

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「シャンプーがなくて石けんで洗ってみたところ、髪がゴワゴワしてしまった」という経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。あれは、石けん成分が水道水に含まれるミネラルと融合することで金属石鹸に変化し、髪に吸着してしまうからなのですね。そこで、その髪を軋ませる成分を入れずに固形化させることを目標に掲げました。

さまざまな成分を組み合わせ、泡立ちやすすぎ、洗髪後の髪のまとまりが総合的に良いと判断した成分でThe Barが誕生しました。特に「髪が軋まない」という点については、他社にはない大きな魅力と考えています。

また、The Barは溶け崩れることがないのも大きなポイントです。1人なら、約3ヶ月使い続けることができます。小さくなってきたら、新しいThe Barとくっつけてあげてください。より長持ちしますよ。

Q. これからシャンプーバーを取り入れようと考えている方へ、The Barのおすすめポイントを教えてください。

The Barのおすすめポイントはたくさんありますが、大きなところでは、1.プラスチックごみを削減でき、脱プラに貢献できる。2.髪が軋まずヘアケア効果が高い。3.速乾性があるのでドライヤーの熱から髪が守られ、電力消費の削減につながる。の3つですね。

シャンプーは泡立ててから、コンディショナーはそのまま直接髪につけてお使いいただけます。固形のシャンプーバーでありながら、泡立ちがとても良いので、快適な洗い心地を感じられますよ。

また、液体に比べて使用量が少なく、長持ちで節約につながる点もおすすめです。さらに付け加えると、液体ものは水分が含まれるためどうしても菌が繁殖しやすいので、酸化防止剤や防腐剤が含まれるものが多いです。その点、固形であればこれらの製材を極力低減することができます。頭皮にもやさしく、なおかつ、品質も安定します。結果的に、髪にとっても良い成分しか含まれておらず、髪の健康を保ちます。

製造過程で使用する水も少なくてすみますし、これといって大きな課題がないくらい、完成度の高い製品であると自信を持っています。環境意識が高い方や、ヘアケアに関心がある方にぜひおすすめしたいです。

太陽光発電を利用してエネルギーコストを削減

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Q.製造過程における環境への取り組みをお聞かせください。

製品の環境配慮をうたいながら、製造過程で環境負荷をかけるのは矛盾していますよね。弊社では2021年の1月に太陽光発電施設やコンプレッサー、チラー(液体を冷やす装置)、空調設備などを導入して、電力のピークカットに取り組んでいます。ものづくりの起点となる工場でも、エネルギーコストを軽減してCO2の削減を目指すなど、環境への配慮を心がけています。(広報担当 品川雅司さん)

大阪発、日本産のシャンプーバーを世界へ!

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Q.今後の展開について教えてください。

The Barを世界中の人に使ってもらいたいです。すでにフランスでは、12月から販売をスタートしています。フランスは比較的日本製品を受け入れてくれる傾向がありますが、The Barは、フランスで権威があると言われるビューティーアワード「VICTOIRES DE LA BEAUTE 2020-2021」を受賞しました。欧州は金属石けんが多く含まれる硬水が使われているので、The Barとは親和性が高いのかもしれませんね。

固形石けんの需要は減少していると言われていますが、プラスチックごみを削減できるなど、固形ならではの良さは少なくありません。固形化技術を有する弊社では、現在The Bar以外の固形化粧品の企画や開発を進めています。当社ならではの技術を活かした商品を通じて、お客様の日常生活の拠り所のような存在になっていけたら、とてもうれしいですね。

編集後記

プラスチックごみを減らしたくて使ってみたシャンプーバーの「The bar」ですが、本当に軋まずさらさらになりました。また、詰替えの手間やごみを捨てる手間も省けて、時短にもつながりました。一度使ってみると、これまでのシャンプーの常識がガラッと変わるはずです。

【参照サイト】The Barシリーズ|株式会社マックス
【参照ページ】ゼロウェイストなシャンプーバーおすすめ7選!メリット・デメリットも

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河端 麻紀

愛知県で働く30代のフリーランスライターです。旅行関連の記事を得意としています。SDGsについては現在勉強中で、働きがいも経済成長も感じられる社会を目指しているところです。休日は映画鑑賞とジョギングを楽しんでいます。