【Osakaほかさんマップを歩く】地元のモノをほかさんで作った、日本一かわいい道の駅「道の駅ちはやあかさか」

道の駅ちはやあかさか

大阪市内から電車とバスで約1時間。日本の棚田百選にも選ばれた下赤阪の棚田を有する、大阪府で唯一の村「千早赤阪村」に、日本で一番かわいい道の駅があります。

施設内のマーケットには、村で採れた新鮮な野菜や果物が並んでいます。どれも地元の生産者が採れたてを、直接道の駅に届けてくれます。村の新鮮な野菜や果物、またそれらを使った加工品を求めて、村の外からも人がやってくる。地域の人も村を訪ねてきた人も、ふらっと立ち寄りたくなる、そんな心地よい空気が流れている場所です。

村の空き家の解体時に出た廃材を使ってつくられた建物内では、地元の農産物で作った食品類や有機フルーツジュース、自家焙煎コーヒー、そしてお茶などのドリンク類が販売されています。2階には、新鮮な食材をふんだんに使った特製カレーライスや、近隣のタナカファームさんの卵を使用した、卵かけごはん定食が食べられるカフェスペースも。窓の外に広がる村の景色に癒されつつ、地元の食材を堪能しましょう。

コーヒー、カフェオレ、オーガニック紅茶、有機オレンジジュース、有機りんごジュースは、マイボトル(200ml以上)の利用が可能。さらに、マイボトルを持っていることで、無料の給水サービスも利用できます。

訪問した日は「もったいない・循環」をテーマとした「そだてるマーケット」が広場で開催されていました。そこで、イベントを運営する、道の駅ちはやあかさかの主催者、菅原さんからお話を伺いました。
売店カンター

“おすそわけ”の精神で、人とモノが集まる場づくり

収穫した野菜や果物を届けに、次から次へと地元の人がやって来る「道の駅ちはやあかさか」。当日はイベントを開催していたこともあり、平日にも関わらず、マーケットやカフェ目当ての人の姿が多く見られました。そんな人やモノが行き交う「場」づくりについて、菅原さんに伺いました。

「都市に近い土地柄ゆえ、この辺りは大量生産が可能な専業農家の方ではなく、どちらかといえば家庭菜園の延長で、自分たちが食べる分の農作物を作っている方が多いのです。せっかく手をかけて野菜を作っても、自分たちだけでは食べきれない。せっかくだから誰かに「おすそわけ」をしたい。そんな村の生産者の想いを実現する場所を作りたいと思いました。基本は路地栽培なので旬のものしか並びませんが、誰がどこで作っているのかがわかるので、安心安全な食材を消費者の方に届けられます。」

野菜販売所

産直野菜の販売以外にも、こだわりの商品が並ぶマーケットや、地元の食材を使った料理を提供するカフェを目当てにやってくる方も多いと、菅原さんは言います。

「平日は30代や40代の主婦の方、オーガニックや環境に配慮したモノを選びたい方。ほかにも友人や知り合い同士でやって来る、道の駅巡りが好きな50・60代の方もよく見かけます。土日は子どものいるファミリー層が多いです。なぜか居心地がいいようで、近隣の自然を眺めてアウトドア気分を味わいながら、広場でのんびり過ごすご家族もいらっしゃいます。」

カフェカレー

村のモノは捨てずに、そこにあるストーリーを大切にする

道の駅ちはやあかさかは、「ずっと前からここにある」ような、どこか懐かしい温もりを感じる場所。建屋や什器、また広場のテーブルや椅子も、村内の使われなくなったモノでできています。まるで子どもたちがつくる秘密基地のようで、これからもどんどん変化していきそうなわくわく感を覚えます。そんな場づくりで、菅原さんが大切にしていることを教えてくれました。

「建物やマーケットの屋台、テーブル・椅子、看板に至るまで、基本的に村の空き家や古家を解体した時に出る廃材や廃棄物を使用しています。実は廃材ってとても使いづらいのです。使えるようにするには、釘を一本一本抜いたり、適当な大きさに切り出したりするので、本当に面倒くさい。でも、捨てがたいんですよね。村から出た廃棄物は村の中で循環させたい。その仕組みのひとつとして、この場所を活用しています。」

コーヒースタンド
手間がかかるにもかかわらず、菅原さんが古くて捨てられてしまうモノを使い続ける理由は、「そこに小さな喜びの瞬間が生まれることにある」と言います。

「古いモノには、村やそこに住む人、生きてきた人のストーリーがあります。例えば、広場にある机と椅子は千早小学校から持ってきたもの。千早町生まれの子どもたちにとって、学校といえばこの机と椅子なんです。ここに来たおじいちゃんやおばあちゃんが、それに気づいて喜んでくれる。そういう瞬間が大好きなんです。古くて使えないからと手放さず、モノを通して、村の人の想いを未来へとつないでゆく。そうしたことをこれからも大切にしていきたいです。」

千早赤阪村

菅原さんにお話しを伺っている間にも、野菜を運ぶ村の人や、マーケットや食事を楽しみに訪れる人が来ては去り、また来ては去り。皆さんここで思い思いの時間を過ごしてる様子。広場の角の焚き火からは、焼き芋の香ばしい匂いも漂ってきて…。あまりの居心地の良さに、取材をしている私たちも、つい時間が経つのを忘れてしまいそうになりました。

大阪府の南東部、金剛山の麓の村にある、地元のモノを「ほかさん」で創った、人とモノが集まる日本一かわいい道の駅「道の駅ちはやあかさか」。ぜひ、マイボトルを持って訪ねてみてください。

Osakaほかさんマップ利用情報

【関連ページ】ゼロウェイストなお店が集まる「Osakaほかさんマップ」とは?大阪府の担当者に聞いてみた
【参照サイト】道の駅ちはやあかさか | 公式ホームページ

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Life Hugger 編集部

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