ゼロウェイストなお店が集まる「Osakaほかさんマップ」とは?大阪府の担当者に聞いてみた

Osakaほかさんマップ

日本では、ペットボトルや食品トレーなどの使い捨てプラスチックがリサイクルのために回収されていますが、ほとんどはイメージするような、モノからモノに生まれ変わるリサイクルはされていません。回収されたプラスチックの約半分は焼却処理をして、その熱を利用することを「リサイクル」と呼んでいます。また、焼却時に発生するCO₂は、地球温暖化などの原因になってしまっています。

この社会課題に対し、地域ぐるみで取り組むためのオンラインプラットフォーム「Osakaほかさんマップ」を運営し、プラスチックごみ削減に挑んでいるのが大阪府循環型社会推進室です。Osakaほかさんマップでは、マイボトルやマイ容器を使えるお店やスポットを検索できるサービスを提供することで、地域を巻き込み、大阪府全体での使い捨てプラスチックごみ削減をサポートしています。

このモデルは大阪府だけではなく、全国の自治体で導入できるため、日本全国へのインパクトが期待されています。今回は、大阪府環境農林水産部、循環型社会推進室室長の大西秀紀さんと、同室資源循環課総括主査の曽和朋弘さんに、Osakaほかさんマップの取り組みや、プラスチックごみ削減のポイントなどについてお伺いしました。

資源循環課総括主査曽和さん(左) 循環型社会推進室室長大西さん(右)

“ほかさん”に込められた、プラごみ削減に対する思い

Q.Osakaほかさんマップの事業が始まった経緯について教えてください。

大西さん:Osakaほかさんマップには、使い捨てプラスチック容器を“ほかさん”(大阪弁で捨てない)という意味が込められています。2019年に大阪府と大阪市が共同で「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」をしました。また、同年に行われたG20大阪サミットで、日本は、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案し、2021年5月現在、87の国と地域が共有しています。

これらの動きの中で、大阪府では使い捨てプラスチックのごみの削減や資源循環を推進しており、2020年から、事業者や各種団体と行政が連携し、マイボトル利用の普及に取り組んでいます。

曽和さん:他の自治体のプラスチックごみ対策をみても、マイボトル止まりのところが多いと感じていたので、大阪ではもう一歩進んだ取り組みを行いたいと考えました。そこで、マイボトルに加えて、マイ容器の利用を普及させることで、使い捨てプラスチック容器の使用をもっと減らせるのではないか。そうすることで、大阪府のプラごみを削減できる。そんな思いで、Osakaほかさんマップを作成しました。

地球にやさしい買い物体験で、大阪を盛り上げたい

Q.Osakaほかさんマップの特徴について教えてください。

大西さん:現在マップには500を超えるお店が掲載されており、簡単に近所のマイ容器が使えるお店を探せるようになっています。マイ容器を持って買い物に行けばプラスチック容器ごみを削減できます。しかし、これまでは、どのエリアのどのお店でマイ容器やマイボトルを使えるのかわからないという課題がありました。そこで、大阪府で、Osakaほかさんマップを作り、府内でマイ容器やマイボトルが使えるお店を紹介することにしました。

もともと大阪では、買い物の際に値切ったり、店主とコミュニケーションを図る文化があります。量り売りのお店で買い物する時や、購入した商品をマイ容器に入れてもらう際に交わされる会話に抵抗がなければ、こうした取り組みも受け入れやすいのではないかと考えました。

Q.Osakaほかさんマップを作る際、こだわった点を教えてください。

曽和さん:ごみを減らすということは生活に密着していることなので、誰が見てもわかりやすく、気軽に使えて楽しいと感じられるものを作りたいと思いました。また、マイ容器が使えるお店のリストだけだと、こんなリストがあるのかで終わってしまいます。そこで、ごみゼロにもっと意識を向けてもらうために、お店の様子がわかる写真入りのマップにしました。

さらに、ただお店をマップ化するだけでなく、利用者は各店舗の最新情報を知ることができます。登録事業者にアカウントを発行して、お店側からも自由にPRができるようになっています。事業者さんにもプラスチックごみ削減に積極的に取り組んでもらいOsakaほかさんマップに登録していただく。お店はOsakaほかさんマップというプラットフォームを利用して消費者に直接PRすることができる。こうした取り組みを継続的に行っていきたいので、店側にもメリットがある仕組みを構築しました。

Q.Osakaほかさんマップの開発で一番苦労したことは何ですか。

曽和さん:大変だったのは掲載店舗を集めることでした。やはり、家の近くや通勤・通学エリアにマイ容器を持って行ける場所がないと、なかなか取り組んでもらえません。ウェブサイトやSNSでマイ容器が使えるお店をみつけて、直接行って交渉したり、周辺のお店に声をかけたり、事業者の組合に行って話をするなど、手当たり次第声をかけて集めました。

大西さん:マイ容器を使って何か問題が起きた時に、どこが責任を負うのかという、衛生面の問題で断られるということがありました。大手チェーンなどで、そうした心配をされたところがあります。やらない・やれない理由は探せばあります。でも、まずはやってみよう!“やってみなはれ”と思いました。そうしないと、こうした動きは広がらないと思います。

大阪・関西万博に向けてプラごみ削減をリードしていきたい

Q.最後に、今後の展望について教えてください。

大西さん:マイ容器を使うことは、単にごみを減らすということだけでなく、地産地消や地域循環共生にも繋がるのではないでしょうか。初めて訪れたお店でマイ容器を使う時は緊張しますが、やってみるとごみが出ないことを実感できて嬉しいし、また次のお店でもやってみようという気持ちになります。また、消費者がマイ容器を使うことで、お店側の意識も変わっていき、社会全体が良い方向に進むきっかけになればと思います。

今後、マップを使いマイ容器で買い物した人に、その体験をインスタグラムなどのSNSで発信してもらうといった、双方向の取り組みも検討しています。

曽和さん:Osakaほかさんマップが、地球の未来のためにごみを少しでも減らしたいと考えている人の手助けになってほしいと思います。そのために、掲載するお店の数を増やして、マップをより充実させたいと考えています。お店側にもPR情報をどんどん出していただいて、より魅力的なコンテンツを増やし、より多くの方にマップを見ていただきたいです。

大西さん:多くの人にOsakaほかさんマップを使ってもらうことで、より大きな規模でプラごみ削減を進めることができます。またそれが、お店側の、そして地域経済の活性化につながってくれたら嬉しいです。また、2025年に開催の大阪・関西万博に向けて、Osakaほかさんマップをはじめとした大阪のプラスチックごみ削減に向けた取り組みを、世界に向けて発信していきたいと考えています。

編集後記

今回の取材を通して、市町村の枠を超えた都道府県規模のプロジェクトとして、大阪府が率先してプラスチックごみ削減に取り組んでいることに、大きな希望を感じました。東京や大阪などの都市部を抱える自治体は、他の都道府県よりも多くのごみを排出しています。そうした意味で、大阪府の取り組みは、今後の日本の持続可能性へのヒントになるのではないでしょうか?

今後は、大阪ローカル企業が開発した、プラスチックごみを出さない生活に役立つ製品やサービスを紹介していく取り組みも検討していくそう。古くからモノづくりの町、商売の町として、日本を支えるイノベーションや企業を生み出してきた大阪。そんな大阪府の取り組みに注目していきたいです。

Osakaほかさんマップの趣旨や目的をご理解いただき、掲載いただける店舗・スポットを随時募集しています

<マップ掲載のメリット>
●マップへの掲載費用は無料です!
●お店に掲示できるステッカー、ポスターなどを提供します!
●お店の使い捨てプラスチック削減の取組みをPRでき、容器コストの削減にもつながります!

<対象店舗>
●マイ容器・マイボトル対応店舗、スポット
●リユース容器を使用し、使い捨てプラスチックなどの削減に取り組む店舗

<対象品目>
●料理、総菜(テイクアウトなど)
●飲食店での食べ残し
●飲み物(無料の給水・給茶サービスや無料給水機も可)
●食料品
●日用品(洗剤やシャンプーなど)
●その他マイ容器で対応できる商品

すでにマイ容器・マイボトルの利用に対応されている店舗はもちろん、これから取り組まれる店舗も大歓迎です。下記よりお申込みください。
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【参照サイト】おおさか ほかさん マップ【大阪府公式】
【参照サイト】環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
【関連ページ】【大阪府】大阪府のプラごみゼロチャレンジ!「Osakaほかさんマップ」
【関連ページ】【2021年最新版】Zero waste(ゼロウェイスト)生活で役立つアプリ・マップまとめ

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Life Hugger 編集部

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