海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第66回目となる今回は、「ゼロウェイストな旅の持ち物」です。
ゼロウェイストな旅の準備
麻子:今月は「なるべくゼロウェイストな旅」についてお話ししましょう。
雄一郎:旅先はどうしても、ふだん家にいる時よりもごみが出やすくなりがち。そんな中でもできるだけスッキリ過ごせるように工夫したいよね。「捨てまくる旅」みたいにはなりたくないので。
麻子:旅は「事前準備」がポイント! 出発してしまったら、現地でできることは限られてしまうから。
雄一郎:そんなわが家の「いつもの旅セット」をご紹介しましょう。
洗面道具
麻子:まずは洗面道具。
雄一郎:歯ブラシ、シルクの生分解性フロス、ステンレスの両刃カミソリのほか、最近はタブレット型歯みがき(=歯みがきタブレット)が便利で気に入っています。
麻子:「歯みがきチューブ」は国際線で液体扱いとなって機内持ち込みができないことも。それを考えるとタブレット型歯みがきは安心。プラ削減グッズとして人気が高いけど、意外なメリット。
雄一郎:使う個数も1日1個なので、僕は使う個数だけ、紙の封筒に入れて持っていってる。
麻子:逆にカミソリの機内持ち込みは?
雄一郎:国内線では大丈夫なことが多いけど、国際線では「ダメ」と言われたこともある。両刃カミソリは刃がちょうど4cmなんだけど、機内持ち込みのルールが「4cm以下はOK」だったり「4cm以上は不可」だったり、ちょうど微妙なラインなんだよね。僕は引っかかるとイヤなので基本は預け荷物に入れてます。
麻子:シャンプーやリンス類は、最近はアメニティ提供が減って、バスルームに備え付けタイプのホテルが増えてきたので、持っていかなくても大丈夫なことも。でも、実際行ってみないとわからないし、固形石鹸や固形シャンプーなら持ち運びもラク。私は旅先でも使い慣れたものを使いたいタイプなので、持参します。
雄一郎:エコな洗面道具、持ち運びやすいものが多くて、旅先では意外に利点が多いよね。
飲食編
麻子:お次は飲食編。まず、「マイボトル」は絶対。私は必ず家からお茶を入れていきます。
雄一郎:国内線なら保安検査場も通れるしね。
麻子:コロナ以降、機内のドリンクサービスはマイボトル対応してもらえないケースが増えている印象だけど、「マイお茶」があれば怖いものなし! 国際線の保安検査場は液体はNGなので、その場合は空の水筒を持参して、保安検査場を通った先の給水所で給水すれば、「マイ水」を機内に持ち込める。
雄一郎:無料で給水できるスポットの検索には「mymizu」というスマホアプリが便利です。インストールしておけば、近くの給水スポットを簡単に検索できる。空港内の給水所も、町中の給水所も、かなりの数のスポットが掲載されています。
麻子:そして、忘れてはいけないのがお弁当箱!
雄一郎:旅先で、ちょっとしたテイクアウトの食べ物を買うのに大活躍するよね。
麻子:海外ではレストランで残ったものも気軽に持ち帰れるので、そんな時にも重宝する。
雄一郎:買ったものをホテルの部屋で食べる時は「お皿代わり」にもなる。ホテルの部屋には意外に「お皿」はなかったりもするので…。
麻子:出発の時は、おにぎりやお弁当を詰めて持っていくことも多いです。機内食が苦手なのと、旅先は外食が多くなりがちなので、最初の1食くらいは「普段通り」で。体調も整うし、出費も減らせて、良いことばかり!
雄一郎:空港の待ち時間とかに食べられるとホッとするよね。あとはマイ箸・マイカトラリーも忘れずに持っていく。使い捨てプラのカトラリーとは食べ心地がちがうから。家族全員分持っていくのが負担な場合は、「1~2セットだけ持っていく」のもおすすめ。旅先は「ちょっと買う」みたいなことも多いので、むしろ「全員分必要」というケースは少ない気がするな。
最強のヘチマ!
麻子:そして、お弁当箱やマイカトラリーを洗う必携アイテムがヘチマ!
雄一郎:これが本当にすばらしい。この速乾性。ふつうの四角いスポンジやびわこふきんではこうは行かなくて、生乾きのものを持ち運ぶ羽目になってしまうけど、ヘチマならすぐにカラッと乾いてくれるのでノーストレス。
麻子:入浴用にも使えるし、軽いので、1つ2つ荷物に忍ばせておくと大活躍だね。
その他
雄一郎:あとは「マイバッグ」的に布袋や紙袋を複数枚。現地で荷物が急に増えた場合、スーツケースの中で荷物を小分けにしたい場合に欠かせません。そして、現地では余計な袋はすべてリフューズ!
麻子:私は新聞紙を何枚か(笑)。新聞紙があれば、手軽に「新聞紙袋」をつくれるので。家から持っていったちょっとしたおみやげを現地の友人たちに配るのにいつも重宝してる。
雄一郎:新聞紙は緩衝材としても使えるしね。ベンチが汚れているときに敷いたり、雨で靴が濡れた時に中につめたり、いろいろ使える。
麻子:「傘」も迷うアイテムのひとつだけど…。
雄一郎:天気予報を見て判断するけど、行き先が東京など都会なら、現地でシェア傘を借りることのできる「アイカサ」というアプリに頼るのも手です。自分の傘をわざわざ持っていかなくても、降り始めたタイミングで借りて、降り終わった時に返せる。料金も1日140円と安く(※2024年現在)、どのスポットでも返せるので旅先でも利用しやすい。余計な傘をずっと持ち運ばずに済むのはポイント高い。
麻子:小雨だったらフード付きのアノラックみたいなのが1枚あると便利。防寒にもなるしね。以上、わが家の旅の基本アイテムをご紹介しましたが、旅は予期せぬことの連続。何もかもが思い通りになるわけじゃない。荷物が多くなりすぎても大変だし、ある程度の「割り切り」も必要かな。
雄一郎:うん、そう思う。「基本のセットを準備して、それで足りない部分は仕方ない」くらいに思っておくとバランスがいい気がしますね。
麻子:旅先で「これ持ってきて正解!」という場面になると、思った以上にうれしい。ゴミを減らすだけでなくて、快適だったり、便利だったり。これからもいろいろ試してみたいですね!
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服部雄一郎 服部麻子
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